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飲食店の変動費と固定費|分け方と3つの売上ライン

費用を変動費と固定費に分ける判断を1つの質問に整理し、記入用の仕分け表、限界利益率、損益分岐点売上、目標利益込みの必要売上までを計算例つきで出します。売上が落ちた月にどこから手を付けるかを決めるための手順です。

著者 KitchenCost
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更新 2026年8月3日
飲食店 変動費 固定費飲食店 変動費とは飲食店 固定費 例損益分岐点限界利益率原価計算
目次

飲食店の費用を分けるとき、迷う必要があるのは一度だけです。

来月の売上がゼロでも、その費用は出るか。

出ないなら変動費、全額出るなら固定費。一部だけ出るなら、その費目は2つに割って持ちます。会計の科目名は関係ありません。売上に連動して動くかどうかだけを見ます。

来月の売上がゼロでもその費用は出るかという質問で、変動費・固定費・分けて持つ費目に分岐する判断図

この記事で決めること

売上が落ちた月に、どの費用から手を付けるか。

そのために必要なのは、費用を分けた後に出てくる3つの数字です。

  1. 限界利益率 — 売上1円のうち、固定費の回収に回る割合
  2. 損益分岐点売上 — 赤字にならない最低ライン
  3. 目標利益込みの必要売上 — 残したい利益を決めたときのライン

まず記入する:仕分け表

先月の試算表を出して、金額が大きい順に10費目だけ書き出してください。全部を分類する必要はありません。

費目金額売上ゼロでも出るか変動費固定費
  円出ない/全額出る/一部 円 円
  円  円 円
  円  円 円
  円  円 円
  円  円 円
合計** 円**** 円**** 円**

「一部だけ出る」に入った費目は、この目安で割ります。

費目固定として持つ部分変動として持つ部分
光熱費基本料金使用量に応じた従量料金
人件費固定給、最低配置分追加シフト、繁忙日の増員
決済サービス月額基本料決済額に応じた率手数料
デリバリー月額ツール利用料注文ごとの販売手数料と包材

請求書に内訳が載っている費目は、その内訳をそのまま使えます。載っていない光熱費は、営業日数が極端に少なかった月の請求額が基本料金側の目安になります。

計算例:月商1,200,000円の店

以下はモデル店の記入例です。自店の金額に置き換えて読んでください。

費目金額分類
食材費360,000円変動費
包材48,000円変動費
決済手数料36,000円変動費
追加シフト人件費180,000円変動費
光熱費(従量部分)50,000円変動費
家賃210,000円固定費
固定給150,000円固定費
通信・サブスク24,000円固定費
光熱費(基本料金)10,000円固定費
変動費 = 360,000 + 48,000 + 36,000 + 180,000 + 50,000 = 674,000円
固定費 = 210,000 + 150,000 + 24,000 + 10,000 = 394,000円

変動費率   = 674,000 ÷ 1,200,000 = 56.2%
限界利益   = 1,200,000 − 674,000 = 526,000円
限界利益率 = 526,000 ÷ 1,200,000 = 43.8%

限界利益率は「売上が1円増えたとき、固定費の回収と利益に回る金額の割合」です。この店では43.8銭。売上を1万円伸ばしても、手元の改善は4,380円です。

3つの売上ライン

限界利益率43.8%のモデル店で、損益分岐点売上約898,859円、今月の売上1,200,000円、月20万円の利益に必要な売上約1,355,133円を売上軸に並べた図

損益分岐点売上

損益分岐点売上 = 固定費 ÷ 限界利益率
              = 394,000 ÷ (526,000 ÷ 1,200,000)
              = 約898,859円

月商が約90万円を下回ると、この費用構造では赤字になります。今月の1,200,000円は、そこから約30万円上にいます。

計算するときは、率を丸めてから割らないでください。43.8%に丸めて割ると約899,543円で、金額のまま割った約898,859円と684円ずれます。この規模なら実務上は問題になりませんが、丸めた率を毎月使い回すとずれは積み上がります。エクセルで組む場合の並べ方は損益分岐点を3セルで出す方法に分けています。

目標利益込みの必要売上

必要売上 = (固定費 + 目標利益) ÷ 限界利益率
        = (394,000 + 200,000) ÷ (526,000 ÷ 1,200,000)
        = 約1,355,133円

月20万円の利益を残すなら、今の1,200,000円では約155,000円足りません。値上げで埋めるのか、客数で埋めるのか、固定費を下げるのかは、この差額を見てから決めます。

売上が落ちたときに耐えられる幅

安全余裕率 = (1,200,000 − 898,859) ÷ 1,200,000 = 25.1%

売上が25.1%落ちるまでは赤字になりません。逆に言えば、それを超えたら固定費側に手を付ける以外の方法がなくなります。

原価率だけでは判断できない理由

食材原価率は、変動費の一部しか見ていません。

売価1,000円、食材費300円の商品で考えます。

食材原価率 = 300 ÷ 1,000 = 30%

ここに包材80円と決済手数料30円が乗ります。

変動費     = 300 + 80 + 30 = 410円
限界利益   = 1,000 − 410 = 590円
限界利益率 = 59.0%

原価率30%という数字は、固定費の回収に700円使えるように見せます。実際に使えるのは590円です。

この商品だけで固定費394,000円を回収するなら、394,000 ÷ 590 = 668食 が必要です。原価率で考えているあいだは、この食数が出てきません。

商品ごとの限界利益率をどう扱うかは限界利益率は何%ならよいかに、売価と原価率の関係は値入率とはに分けています。

どこから直すか

分けた後は、変動費率と固定費比率のどちらが重いかで、見る場所が変わります。

状態先に見る費目
変動費率が高い食材の使用量、包材、決済・販売手数料、値引き、追加シフト
固定費比率が高い家賃、リース、保険、通信、月額サブスク、電力契約
どちらも高い売上上位商品の売価と販売チャネル
売上が落ちた月だけ赤字固定費を回収できる売上ライン(損益分岐点)

固定費は「削れない費用」ではなく「すぐには動かせない費用」です。契約更新のタイミングでしか動かせないぶん、年1回まとめて見直す費目として扱うほうが現実的です。

今週やること

  • 先月の費用を金額が大きい順に10個書き出す
  • 上位5費目だけ、変動費と固定費に分ける
  • 「一部だけ出る」費目を、基本料金部分と従量部分に割る
  • 限界利益率を出す
  • 損益分岐点売上と、目標利益込みの必要売上を1回ずつ計算する
  • 今月の売上が、その2本のどこにいるかを確認する

KitchenCost で続ける場合

商品ごとの食材原価を登録しておくと、包材と手数料を足した後の限界利益が商品単位で見えます。固定費の回収に何食必要かを商品別に出すときの入力が、そのまま使えます。

KitchenCost(無料ではじめる)

関連ガイド

この記事の数字について

金額はすべて月商1,200,000円のモデル店の記入例です。業界平均でも調査値でもありません。費用の分類は税務や会計基準の判断ではなく、毎月の原価管理と価格判断に使うための実務上の分け方です。制度上の取り扱いが問題になる場面では、顧問税理士に確認してください。

よくある質問

変動費と固定費は何で見分けますか?

「来月の売上がゼロでも、その費用は出るか」で分けます。出ないなら変動費、全額出るなら固定費、一部だけ出るなら基本料金部分と従量部分に分けて持ちます。会計科目名ではなく、売上に連動して動くかどうかで判断します。

人件費は変動費ですか、固定費ですか?

分けて持つのが実務的です。売上やシフトで増減する時給人件費は変動費、毎月ほぼ一定の固定給と社会保険料は固定費として扱います。1つにまとめると、損益分岐点が実態から外れます。

損益分岐点売上はどう計算しますか?

固定費 ÷ 限界利益率 です。限界利益率は (売上 − 変動費) ÷ 売上 で出します。記事の記入例では固定費394,000円、限界利益率43.8%で、損益分岐点売上は約898,859円になります。

目標の利益を残すには売上がいくら必要ですか?

(固定費 + 目標利益) ÷ 限界利益率 です。記入例で月20万円の利益を残すなら、(394,000 + 200,000) ÷ 0.4383 = 約1,355,133円が必要になります。

原価率30%なら安心と考えてよいですか?

食材原価率だけでは判断できません。売価1,000円、食材300円でも、包材80円と決済手数料30円を足すと変動費は410円です。固定費の回収に使えるのは残りの590円で、原価率が示す700円ではありません。

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