この記事の記入例では、かき氷1杯に使う氷は8円です。ブロック氷1kgを40円で仕入れ、200g使う条件で計算しています。
同じ記入例で、いちご練乳かき氷1杯の原価215円のうち氷は8円。残りの207円がいちご、シロップ、練乳です。
だから「かき氷は氷が安いから儲かる」という感覚は、原価表を作った瞬間に消えます。決めるべきなのは氷の量ではなく、フルーツを何g乗せて、いくらで売るかです。
この記事で決めること
主力のかき氷1杯を、今シーズンいくらで売るか。
そのために、次の順で計算します。
- フルーツの実質単価を出す(歩留まりと廃棄を含める)
- 1杯の原価を積み上げる
- 目標原価率から売価を逆算する
- テイクアウトを容器代と税率で別立てにする
まず記入する:1杯の原価表
自店の伝票を横に置いて、この表を埋めてください。金額欄は空です。埋める順番は左からです。
| 材料 | 仕入単価 | 歩留まり | 廃棄率 | 実質単価 | 使用量 | 原価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 氷 | 円/g | 100% | 0% | 円/g | g | 円 |
| フルーツ① | 円/g | % | % | 円/g | g | 円 |
| フルーツ② | 円/g | % | % | 円/g | g | 円 |
| シロップ | 円/ml | 100% | % | 円/ml | ml | 円 |
| 練乳・クリーム | 円/g | 100% | % | 円/g | g | 円 |
| 合計 | ** 円** |
実質単価の欄は、この式で埋めます。
実質単価 = 仕入単価 ÷ 歩留まり ÷ (1 − 廃棄率)
歩留まりは「仕入れた重さのうち、実際に器に乗る重さの割合」です。いちごならヘタと傷んだ部分を落とした後の重さ。廃棄率は「その日仕込んで、翌日に使えなくなった割合」です。どちらも1週間だけ実測すれば、感覚より正確な数字が出ます。
実質単価を出す
伝票の単価をそのまま使うと、原価は必ず低く出ます。
記入例で追います。いちごを1パック300g・450円で仕入れているとします。
仕入単価 = 450円 ÷ 300g = 1.50円/g
歩留まり75% → 1.50 ÷ 0.75 = 2.00円/g
廃棄率5% → 2.00 ÷ 0.95 = 2.105…円/g
1杯70g使用 → 端数処理前の2.105… × 70 = 147円
伝票の1.50円/gで計算すると1杯105円です。実質147円との差は42円。この42円は、ヘタを落とすときと、閉店時に捨てるときに、すでに払っています。
歩留まりと廃棄を外したまま原価率を出すと、記入例では23.1%と表示されます。実際は28.7%です。5ポイント以上の差が、原価表の上だけで消えています。
1杯の原価を積み上げる
いちご練乳かき氷の記入例です。売価は税抜750円としています。
| 材料 | 仕入単価 | 実質単価 | 使用量 | 原価 |
|---|---|---|---|---|
| ブロック氷 | 40円/kg | 0.04円/g | 200g | 8円 |
| いちご | 450円/300g | 2.11円/g(表示丸め) | 70g | 147円 |
| いちごシロップ | 1,200円/L | 1.20円/ml | 25ml | 30円 |
| 練乳 | 260円/130g | 2.00円/g | 15g | 30円 |
| 合計 | 215円 |
原価率 = 215円 ÷ 750円 = 28.7%
この215円は、この単価と、この歩留まりと、この使用量のときの数字です。仕入先が変われば全部変わります。市場の相場ではありません。
サイズを上げるときの計算
いちごを70gから90gにする場合。
追加原価 = 端数処理前の2.105…円/g × 20g = 42円
新しい原価 = 215 + 42 = 257円
売価が750円のままなら 257 ÷ 750 = 34.3%
氷を100g増やしても原価は4円しか増えません。増えるのはフルーツ側です。だからサイズ展開は、氷の量ではなくフルーツの量で価格差を付けるほうが、原価率が安定します。
目標原価率から売価を逆算する
原価に何割か足す方法だと、目標にした原価率になりません。割り算で戻します。
必要売価 = 原価 ÷ 目標原価率
記入例の215円で計算します。
| 目標原価率 | 必要売価(税抜) | メニュー表の価格 | 丸めた後の原価率 |
|---|---|---|---|
| 25% | 860.0円 | 880円 | 24.4% |
| 28% | 767.9円 | 780円 | 27.6% |
| 30% | 716.7円 | 750円 | 28.7% |
| 35% | 614.3円 | 620円 | 34.7% |
丸めた後にもう一度原価率を出すところまでが手順です。切り上げても切り下げても、狙った率からは動きます。
なお、ここで見ているのは食材原価だけです。人件費、家賃、決済手数料はまだ引かれていません。原価率が低いことと、手元に残ることは別の話です。店全体で見るならプライムコスト(FLコスト)の計算方法のほうが近い内容です。
テイクアウトは別の計算になる
かき氷の持ち帰りは、容器代と税率の両方が店内と違います。
容器代を足す
| 資材 | 1杯あたり |
|---|---|
| 断熱カップ | 円 |
| 蓋 | 円 |
| スプーン | 円 |
| 保冷材 | 円 |
| 合計 | ** 円** |
記入例では合計45円としています。すると持ち帰り1杯の原価は 215 + 45 = 260円 です。
税率が違う
店内で食べてもらう提供は「外食」にあたり、標準税率10%です。持ち帰りは飲食料品の譲渡として軽減税率8%が適用されます(国税庁 No.6102 消費税の軽減税率制度、確認日 2026-08-03)。どちらになるかは、提供する時点で判定します(国税庁 軽減税率Q&A(個別事例編))。
ここで起きやすいのが、店内とテイクアウトを税込で同じ価格にすることです。
店内 税抜750円 → 税込825円(10%) 原価215円 → 原価率28.7%
持ち帰り 税込825円 → 税抜763.9円(8%) 原価260円 → 原価率34.0%
税込で揃えると、持ち帰りの税抜売価は750円から763.9円へ13.9円増えます。ただし、容器代45円の増加のほうが大きいため、原価率は5.3ポイント開きます。同じ比率を保ちたいなら、丸めた28.7%ではなく元の比率を使い、260 × 750 ÷ 215 = 907円、税込では約980円です。
容器込みの計算をもう少し細かく詰めるなら、テイクアウトの原価計算と容器代とイートインとテイクアウトの消費税と原価にも分けて書いています。
仕込み量は前日の実績から決める
フルーツの廃棄率は、仕込み量の決め方で変わります。かき氷は天気と気温で出数が動くので、固定の仕込み量では合いません。
現実的なのは、記録を取ってから決める順番です。
- 2週間、日別に「気温・天気・曜日・出数・廃棄したフルーツのg数」を書く
- その2週間の実績から、自店の出数の幅を出す
- 仕込み量を出数の下限側に寄せて、足りない日は当日カットで足す
一般的な係数表は載せません。立地と客層で幅が違いすぎて、他店の数字を借りても廃棄は減らないからです。自店の2週間分のほうが、はるかに正確です。
廃棄率の出し方そのものはロス率の計算ガイドに、歩留まりの測り方は歩留まり計算ガイドに分けています。
今週やること
- いちごなど主力フルーツの歩留まりを、1回だけ秤で実測する
- 主力3品の使用量をグラムで決めて、スタッフ全員に同じ計量器を使わせる
- 実質単価の式で、主力3品の原価を出し直す
- 目標原価率から必要売価を逆算して、メニュー表の価格と比べる
- テイクアウトの容器代を1杯あたりで出して、税率8%で売価を別に決める
- 1週間だけ、廃棄したフルーツのg数を記録する
KitchenCost で続ける場合
実質単価と使用量をレシピに登録しておくと、いちごの仕入値が変わったときに、そのフルーツを使う全メニューの原価が一度に更新されます。旬の入れ替わりで単価が動く商材ほど、手計算より差が出ます。
関連ガイド
参考
制度の確認(確認日: 2026-08-03)
- 国税庁 No.6102 消費税の軽減税率制度 — 飲食料品の譲渡は8%、外食(飲食設備のある場所での食事の提供)は対象外
- 国税庁 消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編) — 税率の判定は飲食料品を提供する時点で行う
この記事の金額はすべて記入例です。仕入単価、歩留まり、廃棄率、容器代は店ごとに違うので、業界平均としては使えません。