値入率とは、売価のうち粗利が何%残るかを見る数字です。
先に式だけ出すと、これです。
値入率 = (売価 - 原価) ÷ 売価 × 100
たとえば売価 1,200円、原価 480円なら、粗利は 720円。値入率は 720 ÷ 1,200 = 60% です。
つまりこの商品は、原価率40%、値入率60% です。

値入率・原価率・粗利率の違い
最初に言葉をそろえます。ここがズレると、価格決めもズレます。
| 指標 | 計算式 | 何を見る数字か |
|---|---|---|
| 原価率 | 原価 ÷ 売価 × 100 | 売価のうち原価が何%か |
| 値入率 | (売価 - 原価) ÷ 売価 × 100 | 売価のうち粗利が何%か |
| 粗利率 | (売価 - 原価) ÷ 売価 × 100 | この記事では値入率と同じ意味 |
覚える関係はひとつです。
原価率 + 値入率 = 100%
原価率が 35% なら、値入率は 65%。原価率が 42% なら、値入率は 58% です。
すぐ分かる計算例
前提:
- 原価:480円
- 売価:1,200円
粗利額 = 1,200 - 480 = 720円
原価率 = 480 ÷ 1,200 × 100 = 40%
値入率 = 720 ÷ 1,200 × 100 = 60%
このように、値入率は「いくら上乗せしたか」ではなく、売価の中でいくら残ったかを見ます。
値入率は何%ならよいか
飲食店の値入率に、全店共通の正解はありません。
ただし、食材原価だけを見るなら次のように考えると整理しやすいです。
| 目標原価率 | 対応する値入率 | 見方 |
|---|---|---|
| 30% | 70% | 食材原価をかなり抑えたい |
| 35% | 65% | 小規模店の価格検討でよく使う起点 |
| 40% | 60% | 高原価メニュー。客単価や回転で補う必要あり |
| 45% | 55% | 看板商品や集客商品なら理由が必要 |
注意点があります。
ここで言う値入率は、食材原価だけを見た粗利です。実際の利益には、人件費、家賃、光熱費、包材、決済手数料、外送手数料がまだ残っています。
だから「値入率60%だから安心」ではありません。高原価メニューなら、客単価、回転率、セット販売、廃棄率まで一緒に見ます。
よくあるミス:60%上乗せを値入率60%だと思う
一番多いミスは、原価に何%かを足す計算を、値入率だと思ってしまうことです。
たとえば原価 500円に 60% 上乗せすると:
売価 = 500 × 1.6 = 800円
粗利 = 800 - 500 = 300円
値入率 = 300 ÷ 800 × 100 = 37.5%
値入率60%にはなりません。

値入率60%を狙うなら、原価を「原価として残したい割合」で割ります。
必要売価 = 原価 ÷ (1 - 目標値入率)
原価 500円、目標値入率 60% なら:
必要売価 = 500 ÷ (1 - 0.60)
= 500 ÷ 0.40
= 1,250円
この差は大きいです。売価 800円で出してしまうと、思っていたより粗利がかなり少なくなります。
価格決めで使うなら逆算する
価格を決めるときは、原価に足すより、目標率から逆算するほうが安全です。
例:
- 原価:430円
- 目標値入率:65%
必要売価 = 430 ÷ (1 - 0.65)
= 430 ÷ 0.35
= 1,228.6円
現場では 1,230円、1,250円、1,280円 のように、メニュー表で扱いやすい価格に丸めます。
丸めた後は、もう一度原価率と値入率を見ます。
売価1,250円なら
原価率 = 430 ÷ 1,250 = 34.4%
値入率 = 65.6%
原価率と値入率、どちらを見るべきか
どちらか一方だけで十分、とは考えないほうがいいです。
- 仕入れやレシピ確認では、原価率を見る
- 価格決めでは、値入率を見る
- 値上げ判断では、粗利額も見る
たとえば値入率が高くても、販売数が少なければ利益は増えません。逆に原価率が少し高くても、客単価や回転が強ければ成立する場合があります。
まずは主力3商品だけで十分です。全部のメニューを一気に見るより、売上上位から直したほうが早く効きます。
今週のチェックリスト
- 原価率の式を店内で統一した
- 値入率と粗利率を同じ式で扱うか決めた
- 主力3商品の原価率と値入率を出した
- 「上乗せ率」と「値入率」を混同していないか確認した
- 目標値入率から必要売価を逆算した
KitchenCost で見るなら
KitchenCost では、レシピの原価を入れておけば、売価を変えたときの原価率をすぐ確認できます。
値入率を直接見る場合も、考え方は同じです。
値入率 = 100% - 原価率
原価率が予定より高い商品だけを先に見直せば、価格改定や配合変更の優先順位を決めやすくなります。
KitchenCost(無料ではじめる):https://kitchencost.app/ja/