焼肉の原価は、部位名から推測せず、自店の請求書価格と実測歩留まりから出します。仕入規格や整形方法が違えば、同じ部位名でも使用可能kg単価は変わります。
先に要点
実測歩留まり = 実測使用可能g ÷ テスト仕入g使用可能kg単価 = 仕入円/kg ÷ 実測歩留まり肉ポーション原価 = 使用可能kg単価 × 生ポーションg ÷ 1000- 1品原価にはタレ・付け合わせも足す
- メニュー構成は販売数量で加重し、品目原価率を単純平均しない
- 一部メニューしか入力していない結果を店全体原価率と呼ばない
- 食材粗利額は営業利益や限界利益ではない
焼肉・歩留まり・メニュー構成ワークブック(Excel)には、20食材分の歩留まり行と30メニュー分の計算行があります。入力例は架空で、市場相場や標準歩留まりではありません。文字、負数、ゼロ、使用可能重量が仕入重量を超える入力はエラーになります。
1. 請求書の仕入単価をそろえる
まず、納品書または請求書から税基準をそろえた円/kgを記録します。ケース価格しかない場合は、ケース重量と単価の根拠を残して円/kgへ換算します。
仕入円/kg = 請求金額 ÷ 請求重量kg
仕入先の表示単位、消費税の扱い、対象期間を混ぜないでください。相場記事の価格ではなく、実際に支払う自店の価格を使います。
2. 使用可能重量を同じロットで実測する
歩留まりは次の式です。
実測歩留まり = 実測使用可能g ÷ テスト仕入g
テスト仕入重量と使用可能重量は、同じロット、同じ解凍・整形条件で量ります。筋、脂、ドリップなど、何を除外したかも記録します。担当者や規格が変わったら再測定します。
架空の入力例
以下は式を確認するための架空値で、市場平均や推奨値ではありません。
- 仕入円/kg:3,600円
- テスト仕入重量:10,000g
- 実測使用可能重量:8,000g
実測歩留まり = 8,000 ÷ 10,000
= 80.0%
使用可能kg単価 = 3,600 ÷ 0.80
= 4,500円/kg
仕入時の3,600円/kgをそのままポーション原価へ使うと、整形後の原価を過小に見積もります。
3. 生ポーションとタレ・付け合わせを足す
肉の原価は、使用可能kg単価に生ポーション重量を掛けます。
肉ポーション原価 = 使用可能kg単価 × 生ポーションg ÷ 1000
上の架空例で生ポーション80gなら、次のとおりです。
肉ポーション原価 = 4,500 × 80 ÷ 1000
= 360円
ここへ、同じ提供単位のタレ、薬味、野菜などを足します。架空のタレ・付け合わせ原価を120円とすると、食材のみ1品原価は480円です。
食材のみ1品原価 = 360 + 120
= 480円
包材を含める場合は、全商品で同じ範囲にします。人件費、家賃、光熱費、決済手数料まで食材原価へ混ぜないでください。
4. 売価と販売数でメニュー構成を加重する
架空の税抜売価980円、販売数100食なら、品目の数字は次です。
品目食材原価率 = 480 ÷ 980
= 49.0%
売上 = 980 × 100
= 98,000円
販売食材原価 = 480 × 100
= 48,000円
食材粗利額 = (980 - 480) × 100
= 50,000円
複数メニューの率を合算するときは単純平均を使いません。
加重メニュー食材原価率
= Σ(食材のみ1品原価 × 販売数)÷ Σ(税抜売価 × 販売数)
販売数が多い商品の影響を反映するためです。率だけでなく、食材粗利額も並べます。ただし、食材粗利額は人件費や固定費を引く前なので、営業利益や限界利益ではありません。
5. 部分メニューと店全体を分ける
ワークブックでは、同期間の店舗税抜売上と入力メニューの売上合計を比較します。
- 一致する:全売上カバーとして加重率を確認
- 入力メニュー売上が少ない:
部分メニュー(店全体率ではない) - 入力メニュー売上が店舗売上を超える:期間・税基準・重複入力を確認
売上上位だけの入力でも、商品間の順位確認には使えます。ただし、その率を店全体の原価率として会議資料へ転記しないでください。
見直しの順番
- 請求書の円/kgと税基準を確認する
- 同じロットの仕入重量と使用可能重量を量る
- 生ポーションをスケールで量る
- タレ・付け合わせを提供単位で積み上げる
- POSの販売数と税抜売価を同じ期間で入れる
- 店舗売上とのカバー判定を見る
- 率と食材粗利額を並べて判断する
判断できる範囲とできない範囲
- ワークブックは食材原価の計算用です。人件費や固定費を含む収益性の結論は出しません。
- 歩留まりは自店の実測値です。他店や別規格へそのまま移せません。
- 架空例の価格、重量、売価はベンチマークではありません。
- 販売数がない商品は、メニュー構成の判断に含めません。
- 値上げ、量目変更、セット化の効果を保証しません。変更後の販売数を別に確認します。
原価会議のチェックリスト
- 請求書の円/kgと対象期間を確認した
- 同じロットで仕入重量と使用可能重量を量った
- 使用可能重量が仕入重量を超えていない
- 生ポーションgを計量した
- タレ・付け合わせ原価を入れた
- 売価と販売数を同じ税基準でそろえた
- 加重率を単純平均で置き換えていない
- 部分メニュー結果を店全体率と表示していない
- 食材粗利額を営業利益と呼んでいない
原価更新を継続する場合
請求書価格やレシピを継続更新する段階では、KitchenCostに確定した使用可能単価とポーションを登録できます。先に計量条件と対象範囲を決めてから使うと、更新箇所を絞れます。
関連ガイド
計算根拠と更新記録
確認日:2026-08-17
このページは外部の固定的な部位別相場、標準歩留まり、1人当たり摂取量を根拠にしていません。根拠として使う資料は、自店の請求書・納品書、同一ロットの計量記録、レシピ、POS販売数です。価格や規格が変わったときは、その資料と同時に更新します。