値上げ幅は、まず1品あたり何円上げる必要があるかで考えます。
「原価が上がったから、なんとなく50円」ではなく、次の2式で十分です。
1品あたり追加コスト = 月のコスト増加額 ÷ 月の販売数
必要改定幅 = 1品あたり追加コスト ÷ (1 - 目標利益率)
たとえば月のコスト増が15万円、月の販売数が5,000食なら、1品あたり追加コストは30円。目標利益率10%も守るなら、必要改定幅は約34円です。

値上げ幅の早見表
目標利益率を10%として見ると、追加コストと必要改定幅はだいたい次のようになります。
| 1品あたり追加コスト | 計算 | 必要改定幅 | 実務上の候補 |
|---|---|---|---|
| 10円 | 10 ÷ 0.9 | 11.1円 | +10円または+20円 |
| 20円 | 20 ÷ 0.9 | 22.2円 | +20円または+30円 |
| 30円 | 30 ÷ 0.9 | 33.3円 | +30円または+40円 |
| 50円 | 50 ÷ 0.9 | 55.6円 | +50円または+60円 |
| 80円 | 80 ÷ 0.9 | 88.9円 | +90円または+100円 |
この表は「必ずこの金額にする」という表ではありません。
大事なのは、上げる前に不足額の目安を出すことです。そこからメニュー表の見え方、客単価、競合価格に合わせて丸めます。
具体例:月15万円のコスト増をどう分けるか
前提:
- 月のコスト増加:150,000円
- 対象メニューの月販売数:5,000食
- 目標利益率:10%
1品あたり追加コスト = 150,000 ÷ 5,000 = 30円
必要改定幅 = 30 ÷ (1 - 0.10)
= 30 ÷ 0.90
= 約33円
この場合、最初の候補は +30円 か +40円 です。

30円上げるか、40円上げるか
計算結果が33円だからといって、メニュー表に +33円 と書く必要はありません。
実務では、次のように判断します。
| 候補 | 向いている場合 | 注意点 |
|---|---|---|
| +30円 | 客数減を避けたい、低単価メニュー | 利益率は完全には戻らない可能性 |
| +40円 | 原価増が続きそう、包材や光熱も上がっている | 客数や注文数の変化を見る |
| +50円以上 | 高単価メニュー、セット商品、改定頻度を減らしたい | 告知とメニュー価値の見せ方が必要 |
迷うなら、主力商品だけ先に +30円 から始めて、2週間後に販売数と粗利額を見る方法が安全です。
一律値上げより、商品を3つに分ける
全部のメニューを同じ金額で上げると、原価増が大きい商品はまだ苦しく、原価増が小さい商品は上げすぎになることがあります。
まずは主力商品を3つに分けます。
| 分類 | 見る数字 | 対応 |
|---|---|---|
| A | 原価増が大きく、販売数も多い | 先に改定 |
| B | 原価増は中くらい、販売数も中くらい | 2段階目で改定 |
| C | 原価増が小さい、または集客用 | 据え置きも検討 |
最初に見るのは、売上上位5品で十分です。全部を一気に直すより、効くところから直したほうが早いです。
告知は短く、数字は店内で持つ
値上げ告知は長く書きすぎないほうが読まれます。
店頭やSNSでは、次の3点だけで十分です。
- 理由:原材料・包材・光熱費の上昇
- 対象:どの商品を何日から改定するか
- 姿勢:品質維持のための改定であること
細かい計算表はお客さんに見せるものではなく、店内で迷わないために持つものです。
2週間後に見る数字
値上げは、実施して終わりではありません。
2週間後にこの3つを見ます。
- 販売数はどれくらい落ちたか
- 客単価は上がったか
- 粗利額は増えたか
販売数が少し落ちても、粗利額が増えていれば成功です。逆に客単価だけ上がって粗利額が増えていないなら、値上げ対象や原価の見直しが必要です。
KitchenCost で見るなら
KitchenCost で商品ごとの原価を入れておくと、値上げ幅を決める前の確認が速くなります。
- 主力商品の現在原価を確認する
- 仕入れ値が上がった食材だけ更新する
- 改定後の売価で原価率を確認する
- A/B/Cの優先順位を決める
値上げは感覚で決めると不安になります。数字にすると、上げる商品と据え置く商品を分けやすくなります。
KitchenCost(無料ではじめる):https://kitchencost.app/ja/
今週やること
- 主力5品の追加コストを出す
- 月の販売数で割って1品あたり追加コストにする
- 必要改定幅を計算する
- A/B/Cで改定順を決める
- 告知文を3行で準備する
- 2週間後の確認日を決める