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ラーメン一杯の原価、ちゃんと把握してますか?|原価内訳と利益を出す価格設定

ラーメン一杯の原価率は30〜35%が目安。麺・スープ・チャーシュー・トッピング別の原価内訳、スープ種類別の原価比較、サイドメニュー戦略まで具体的に解説。

更新 2026年2月7日
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目次

要点まとめ

  • ラーメン一杯の原価は200〜350円、原価率は**30〜35%**が目安
  • スープの種類で原価が大きく変わる(醤油・塩が低コスト、味噌・豚骨が高コスト)
  • サイドメニューで全体の原価率を調整する
  • FLRコスト70%以内を維持する

「一杯の原価、なんとなくで出してませんか?」

ラーメン屋を始めたとき、スープの材料費は計算した。麺の仕入れも確認した。でも、チャーシューの歩留まりは?ネギやメンマの一杯分のコストは?ガス代は?

——そう聞かれると、ちょっと自信がなくなりませんか?

2024年、ラーメン店の倒産は72件で過去最多を記録しました。2025年は46件(1〜9月)とやや減りましたが、帝国データバンクの調査ではラーメン店の約3割が赤字経営です。食材が上がり続けているのに、全国平均価格はまだ717円(2025年8月時点)。「1,000円の壁」を超えられない店が多いのが現実です。

原価を「なんとなく」で把握していると、この状況では耐えきれません。逆に言えば、一杯の原価を数字で押さえている店は、値上げのタイミングもメニュー構成の見直しも、根拠を持って判断できます。


ラーメン一杯の原価はいくら?

一般的なラーメン一杯の原価は200〜350円が目安です。ただし、スープの種類・使用する肉の品質・トッピングの量で大きく変わります。

全体像:一杯1,000円のラーメンの場合

要素原価目安メモ
スープ(出汁+タレ)60〜150円最も差が出る部分
50〜90円太さ・量で変動
チャーシュー40〜80円肉の種類で2倍以上の差
その他トッピング20〜50円メンマ・ネギ・海苔等
合計170〜370円
原価率17〜37%

黒字経営を安定させるには原価率30%以下が理想。でも「30%に合わせること」が目的になると、チャーシューを薄くしたりスープを薄めたりする方向に行きがちです。それは本末転倒——お客さんが気づいたら来なくなります。


スープ種類別の原価比較

スープはラーメンの原価で最も差が出る部分です。「うちのスープは何円かかっているか」を把握できていない店は、まずここから始めてください。

スープ+タレの原価目安(一杯あたり)

スープの種類スープ原価タレ原価合計特徴
醤油ラーメン50〜80円10〜15円60〜95円鶏ガラベースで比較的安い
塩ラーメン50〜80円10〜15円60〜95円醤油と同水準。出汁の質がポイント
味噌ラーメン50〜80円30〜50円80〜130円味噌自体が高い。量も1.5倍必要
豚骨ラーメン80〜120円10〜30円90〜150円大量の骨+8〜12時間煮込みのガス代
鶏白湯70〜100円10〜20円80〜120円鶏ガラ大量使用。豚骨よりはやや安い
煮干し・魚介60〜100円10〜20円70〜120円煮干しの価格が近年上昇傾向
二郎系80〜120円15〜25円95〜145円大量の豚骨+背脂。もやし等で原価増

醤油・塩ラーメンは利益を出しやすい。味噌・豚骨は原価が高い分、売価を上げるか回転率でカバーするしかありません。

豚骨の場合、スープ原価に加えてガス代も見落としがちです。8〜12時間煮込むと1バッチあたり200〜400円のガス代がかかります。これをスープ原価に含めないと、実質原価を低く見積もることになります。


麺の原価

製麺所から仕入れる場合

条件原価目安(一杯分)
標準的な麺(150g)50〜70円
太麺(200g)70〜90円
細麺・博多麺(120g)40〜55円
全粒粉入り60〜85円
特注麺(卵多め等)80〜100円

自家製麺にした方が安い?

材料費だけなら一杯30〜50円と安くなります。でも見えないコストがあります。

追加コスト金額目安
製麺機の減価償却月3〜5万円
人件費(製麺作業)月15〜25万円
電気代月1〜2万円
スペース店舗面積の10〜15%

月に3,000杯以上出る店なら自家製麺のコストメリットが出てきますが、開業直後は製麺所からの仕入れが無難です。自家製麺は「味へのこだわり」としての価値はありますが、コスト削減目的なら慎重に判断してください。


チャーシューの原価

チャーシューはトッピングの中で最も原価がかかる食材です。ここをどう設計するかで、一杯の原価が大きく変わります。

肉の種類仕入価格(kg)歩留まり率一枚あたり原価2〜3枚で
国産バラ肉1,200〜1,500円60〜65%25〜35円50〜105円
輸入バラ肉800〜1,000円60〜65%18〜25円36〜75円
国産肩ロース1,500〜2,000円70〜75%30〜40円60〜120円
輸入肩ロース1,000〜1,300円70〜75%20〜28円40〜84円
鶏むね肉(低温調理)300〜500円85〜90%8〜12円16〜36円

よく見落とされるのが歩留まり率です。1kgのバラ肉を買っても、脂身やスジを取ると使えるのは600〜650g。仕入れ値1,200円÷650gで、実質1gあたり1.85円。仕入れ値だけで計算した1.2円/gとは5割以上の差です。

コスト削減のヒント:

  • 煮豚の煮汁はチャーシューダレとして使い回す
  • 端材はチャーハンや賄いに回して廃棄率を下げる
  • 「薄切り3枚」と「厚切り1枚」は見た目の満足度がほぼ同じ。厚切りの方が作業時間は短い

その他トッピングの原価

トッピング一杯あたり原価
味付け玉子1/2個15〜25円
メンマ20g8〜12円
長ネギ10g3〜5円
海苔2〜3枚5〜10円
もやし50g3〜5円
コーン15g5〜8円
バター10g10〜15円
きくらげ5g3〜5円
ほうれん草30g10〜15円

もやし・ネギ・きくらげは原価が低いのに見た目のボリュームが出る食材。原価率を抑えながら「量が多い」と感じてもらうには、こういう食材を上手に使うのがコツです。


具体例:スープ別のラーメン一杯の原価

具体的な数字で見ると、スープの種類による差がはっきりわかります。

醤油ラーメン(売価 950円)

項目原価
スープ(鶏ガラ出汁)65円
タレ(かえし)12円
麺(中太150g)60円
チャーシュー(輸入バラ2枚)40円
メンマ10円
ネギ4円
海苔2枚6円
合計197円
原価率20.7%

サイドメニューと組み合わせれば十分利益が出る水準です。

豚骨ラーメン(売価 950円)

項目原価
スープ(豚骨白湯)110円
タレ20円
麺(細麺120g)45円
チャーシュー(輸入バラ2枚)40円
きくらげ4円
ネギ4円
紅しょうが3円
ごま1円
合計227円
原価率23.9%

スープ原価は醤油より45円高いですが、細麺(120g)で麺のコストを抑えています。ただしガス代を入れるとさらに上がります。

味噌ラーメン(売価 1,000円)

項目原価
スープ(豚骨+野菜出汁)70円
味噌ダレ45円
麺(太麺180g)75円
チャーシュー(国産肩ロース2枚)70円
もやし+キャベツ10円
コーン6円
ネギ4円
バター12円
合計292円
原価率29.2%

味噌はタレ・麺・肉すべてが高め。1,000円以上の価格設定が現実的です。

二郎系ラーメン(売価 1,000円)

項目原価
スープ(乳化豚骨醤油)100円
タレ20円
麺(極太300g)100円
豚(チャーシュー)80円
もやし(200g)12円
キャベツ(50g)8円
にんにく5円
背脂15円
合計340円
原価率34.0%

麺300gと大量の具材で原価率は高い。でも「追加トッピング不要」で客単価が安定し、野菜のボリュームで見た目の満足度を確保できます。


「1,000円の壁」をどうするか

2025年のぐるなび調査では、消費者の9割が「ラーメンは1,000円未満が適正」と回答しています。一方で、ラーメンの原価指数は2020年比で約3割上昇。「上げたいけど上げられない」——これが多くの店の本音ではないでしょうか。

価格別の消費者の反応

価格帯反応対応
〜850円「普通」と認識。リピートしやすい原価率25%以下を目指す。サイドで利益確保
850〜1,000円「ちょっと高いけど妥当」こだわりが伝わる見せ方が必要
1,000〜1,200円「高い」と感じる人が急増トッピング込みの満足感で納得させる
1,200円〜高級ラーメンとして認知される食材・空間・サービスすべてで差別化

1,000円を超えても受け入れてもらう工夫

  1. セット価格で体感値を下げる — 「ラーメン+半チャーハンセット 1,180円」なら、ラーメン単体1,000円超の印象が薄まります
  2. 味玉やネギ増しを標準搭載 — 「全部入り」として出せば、有料トッピングを選ぶストレスがなくなります
  3. 「特製」「限定」で付加価値をつける — 「特製ラーメン 1,100円」は「ラーメン 1,100円」より自然に受け入れられます
  4. 替え玉無料 — 博多系で有効。替え玉の原価は麺50円だけですが、満足度と来店動機への影響は大きい

サイドメニューで全体の原価率をコントロールする

ラーメンの原価率が高めでも、サイドメニューで全体の原価率を下げるのが実際の経営手法です。

サイドメニューの原価率比較

メニュー売価原価原価率粗利
ライス150円30円20.0%120円
半チャーハン350円80円22.9%270円
餃子(5個)400円90円22.5%310円
唐揚げ(3個)350円80円22.9%270円
ビール500円120円24.0%380円
替え玉150円50円33.3%100円
味付け玉子120円25円20.8%95円
チャーシュー増し200円60円30.0%140円

実際のシミュレーション

客単価1,350円(ラーメン+サイド)の場合:

注文内容売価原価
醤油ラーメン950円197円
餃子400円90円
合計1,350円287円
原価率21.3%

サイドメニューが加わることで、利益額は大きく増えます。「ラーメンだけ食べて帰る」お客さんが多い店は、サイドメニューの訴求を見直してみてください。


光熱費とFLRコスト

ラーメン店はガス代が他の飲食店より高いのが特徴です。豚骨スープの長時間煮込みがあると、月のガス代が10〜20万円になることも珍しくありません。

FLRコスト(飲食店の3大コスト)

FLRコスト = Food(食材費)+ Labor(人件費)+ Rent(家賃)
コスト理想ラーメン店の実態
F(食材費)30%以下30〜35%
L(人件費)25〜30%20〜28%(少人数運営が多い)
R(家賃)10%以下8〜15%
合計(FLR)65〜70%60〜75%

FLRコストが70%を超えると赤字リスクが高まります。ラーメン店は食材費が高い分、少人数オペレーションで人件費を抑えるのが基本戦略。2〜3名で回せる仕組みを最初から設計しておくのが大事です。

光熱費の目安

項目月額目安
ガス代(スープ煮込み中心)8〜20万円
電気代3〜8万円
水道代2〜5万円
合計13〜33万円

豚骨スープの8〜12時間煮込みはガス代の大きな要因。圧力鍋やスチームコンベクションで仕込み時間を短縮すれば、光熱費は目に見えて下がります。


原価を下げる7つの実践テクニック

1. 仕入れ先を複数持つ

業務スーパー・卸売市場・製麺所・精肉店から相見積もりを取る。毎月比較するだけで5〜10%の差が出ることがあります。1社だけに頼っていると、値上げをそのまま飲むしかなくなります。

2. 端材を使い切る

チャーシューの煮汁→タレに転用。鶏ガラの残り→賄いに。野菜の端→スープの出汁に。廃棄率を1%下げれば、月数万円の原価削減につながります。

3. もやし・キャベツを活用する

もやし50gの原価は3〜5円。見た目のボリューム感に対してコストパフォーマンスが圧倒的に良い食材です。二郎系が野菜マシで成立しているのは、この原価構造が理由です。

4. スープの仕込み量を最適化する

余って捨てるスープはそのままロスです。天候・曜日別の来客データを取り、仕込み量を調整する。最初は感覚でも、2〜3ヶ月データを取れば精度が上がります。

5. チャーシューの切り方を工夫する

同じ重量でも「薄切り3枚」より「厚切り1枚」の方が手間は減り、見た目の満足度は変わりません。作業時間の短縮にもなります。

6. トッピングをグラム管理する

ネギ10g、メンマ20gと基準を決めて計量する。「ちょっと多めに」が1日50杯で積み重なると、月単位で数万円の差になります。

7. 価格改定は小刻みに

一気に100円上げるより、50円ずつ2回に分ける方が客離れが少ないです。同時にトッピングの追加やサービスの向上を行えば、値上げの印象を和らげられます。


繁盛しているラーメン店の経営パターン

パターンラーメン原価率サイド戦略全体原価率特徴
回転率重視型25〜30%サイド少なめ25〜30%駅前。ランチ需要。10分で提供
客単価重視型30〜35%セット+ドリンク25〜30%郊外。ファミリー層。セット中心
こだわり型35〜40%トッピング充実30〜35%専門店。食材にこだわり。高単価
テイクアウト併用型28〜33%容器代込み30〜35%デリバリー対応。キッチンカー

自分の店がどのパターンに近いかを意識すると、目指すべき原価率が見えてきます。


原価管理、Excelで止まっていませんか?

開業時にExcelで原価表を作った方は多いと思います。でも、3ヶ月もすると更新しなくなっていませんか?

食材の価格が変わるたびに数十のレシピを手動で直すのは、現実的に続きません。仕入れ値が上がっても面倒で放置して、気づいたら赤字メニューが増えていた——という話はよく聞きます。

レシピ原価計算アプリを使えば:

  • 食材の価格を1ヶ所変えるだけで、全レシピの原価が自動更新
  • 歩留まり率を反映した正確な原価を計算
  • 目標利益率から推奨販売価格を自動算出

最初の登録は手間がかかります。でも一度やれば、毎月の原価管理が格段に楽になります。

材料費をまとめて管理したい方は、KitchenCostを無料でお試しください。


今すぐやること

  • スープの1杯あたり原価を計算する(ガス代も含めて)
  • チャーシューの歩留まり率を計量して確認する
  • トッピングのグラム管理を始める
  • サイドメニューの原価率を計算する
  • FLRコストを確認する

関連ガイド:


参考資料

よくある質問

ラーメンの原価率はどのくらいが目安?

業界目安は30〜35%ですが、スープの種類で大きく変わります。豚骨は仕込みにガス代もかかるので実質35%を超えることも。自店のスープ原価を一度計算してみてください。

スープの原価はどう計算すればいい?

1バッチの仕込み材料費(豚骨・鶏ガラ・野菜・調味料)を合計し、完成量で割ります。たとえば材料費6,000円で20リットルできたら、1杯300mlで90円。ガス代(長時間煮込みなら1バッチ200〜400円)も忘れずに。

1,000円を超える価格設定は無理?

2025年のぐるなび調査では消費者の9割が「ラーメンは1,000円未満が適正」と回答しています。ただし『特製』『全部入り』のようなプレミアム名称なら1,000円超でも受け入れられやすい傾向があります。

価格を上げるべきタイミングは?

主要食材が10%以上値上がりしたとき、または原価率が目標より3ポイント以上超えたときが見直しサインです。一度に100円上げるより50円ずつ2回に分ける方が客離れしにくいです。

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