要点まとめ
先に押さえる要点は、弁当屋の原価率は35-45%が目安だが、容器代込みで計算する、容器・箸・袋で1食あたり30-80円のコストがかかる、イートイン型と同じ原価率では利益が出ない、品数を増やすほどロスも増えるです。
弁当・テイクアウトは原価率の考え方がイートイン型とは大きく異なる。
「弁当屋の原価率は40%でいい」と信じて痛い目にあう方が少なくない。
弁当・テイクアウトの原価率はなぜ高い?
弁当屋の原価率が**35〜45%**と高めなのには理由があります。
| 要因 | 説明 |
|---|---|
| 品数が多い | 主菜+副菜2〜3品+ご飯で食材数が多い |
| 容器代が発生 | 弁当容器・蓋・箸・袋で1食あたり30〜80円 |
| 見た目が重要 | 彩りのために原価率の高い食材を使いがち |
| 保存性の制約 | 傷みやすい食材が使いにくく、選択肢が限られる |
ただし、弁当屋が40%で成り立つのはホールスタッフが不要、客席の家賃がないからです。飲食店がテイクアウトを「追加」する場合は、既存の経費構造があるため、同じ原価率では利益が出ません。
原価計算の基本:容器代込み
弁当の原価 = 食材費 + 容器代 + 調味料
イートインと違い、テイクアウトでは容器・箸・袋が毎回の消耗品コストとして加わります。
具体例:日替わり弁当(鶏の唐揚げ弁当)
食材費の内訳
| 食材 | 使用量 | 単価 | 原価 |
|---|---|---|---|
| 鶏もも肉 | 120g | 0.92円/g | 110円 |
| 片栗粉 | 15g | 0.4円/g | 6円 |
| 揚げ油(使用分) | 30ml | 0.4円/ml | 12円 |
| 白米 | 200g(炊飯前) | 0.6円/g | 120円 |
| 卵焼き(卵1個分) | — | — | 30円 |
| きんぴらごぼう | 50g | — | 25円 |
| ほうれん草のおひたし | 40g | — | 20円 |
| 漬物 | 15g | — | 8円 |
| 醤油・にんにく・生姜 | — | — | 10円 |
| 食材費 合計 | 341円 |
容器・消耗品
| 品目 | 単価 |
|---|---|
| 弁当容器(蓋付き) | 35円 |
| 割り箸 | 3円 |
| レジ袋 | 5円 |
| おしぼり | 3円 |
| ラベルシール | 2円 |
| 容器代 合計 | 48円 |
1食あたり総原価
食材費 341円 + 容器代 48円 = 389円
価格設定
| 販売価格 | 原価率 | 判定 |
|---|---|---|
| 650円 | 59.8% | ❌ 赤字の可能性大 |
| 750円 | 51.9% | ⚠️ 弁当専門店でもギリギリ |
| 850円 | 45.8% | ✅ 弁当屋なら適正ライン |
| 980円 | 39.7% | ✅ 飲食店のテイクアウトなら適正 |
弁当専門店なら850円前後、飲食店のテイクアウトなら980円前後が適正な価格帯です。
業態別の原価率目安
| 業態 | 原価率の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 弁当専門店 | 35〜45% | ホールスタッフ不要、家賃が安い |
| 飲食店のテイクアウト | 28〜35% | 既存の経費構造を考慮 |
| 惣菜・デリカ | 35〜45% | 品数と見た目が原価を押し上げる |
| 高級仕出し弁当 | 40〜50% | 食材のグレードが高い、包装も豪華 |
| デリバリー弁当 | 28〜32% | プラットフォーム手数料が別途15〜35% |
原価率だけでなく、FLコスト(食材費+人件費)を60%以内に抑えることが重要です。弁当屋は人件費が低い分、原価率を高くできます。飲食店はその逆です。
飲食店がテイクアウトを始める場合の注意
やってはいけないこと
弁当屋の原価率(40%)をそのまま真似する
弁当屋が40%で成り立つ理由:
- ホールスタッフがいない(人件費が低い)
- 客席スペースの家賃がない
- 設備投資が飲食店より少ない
飲食店はこれらの経費が既にかかっているため、テイクアウトでも30〜35%の原価率を維持する必要があります。
正しい考え方
テイクアウト価格 = (食材費 + 容器代) ÷ 目標原価率
食材費300円 + 容器代50円 = 350円350円 ÷ 0.33(原価率33%目標)= 1,061円
「1,000円の弁当」として販売すれば、原価率35%。飲食店のテイクアウトとしては適正です。
利益を上げる5つの工夫
1. 容器代を「見える化」する
容器代は1食30〜80円。月に500食売れば15,000〜40,000円の経費です。
| 容器タイプ | 単価の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 発泡スチロール | 15〜25円 | 最安だが安っぽい印象 |
| PP(ポリプロピレン) | 25〜40円 | 電子レンジ対応、標準的 |
| 紙製・エコ素材 | 40〜70円 | 高級感があるが高い |
| 木製折箱 | 80〜150円 | 仕出し弁当向け |
容器で付加価値をつけるのも戦略の一つ。エコ容器を使って50円高く売れるなら、容器のアップグレード代(+20円)を上回る利益になります。
2. 副菜は共通化する
弁当の副菜を日替わりにすると食材管理が複雑になります。
おすすめ:副菜の2/3を固定メニューにする
- 毎日同じ:きんぴら、漬物
- 週替わり:おひたし類
- 日替わり:主菜のみ
食材の発注がシンプルになり、廃棄ロスが大幅に減ります。
3. ドリンク・汁物をセット販売する
| 単品 | 原価 | 販売価格 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| 味噌汁 | 25円 | 150円 | 17% |
| ペットボトル飲料 | 70円 | 150円 | 47% |
| 自家製ドリンク | 30円 | 200円 | 15% |
弁当+味噌汁のセット販売で、全体の原価率を下げながら客単価を上げることができます。
4. ロスを最小化する
弁当は売れ残りリスクが大きい業態です。
- 予約注文の比率を上げる(LINEや電話での事前注文)
- 製造数を段階的に増やす(開業初月は少なめに設定)
- 売れ残りが出やすい時間帯を把握して製造を調整
- 廃棄ロス率を記録し、月次で改善
飲食店の平均廃棄ロスは3〜8%ですが、弁当の場合は予約比率が低いと10%を超えることもあります。
5. 原価計算を定期的に更新する
2024年後半から食材価格の上昇が続いており、原価率の平均は36%前後まで上昇しています。特に影響が大きいのは:
- 米(2024年の「令和の米騒動」以降、価格上昇が続く)
- 鶏卵(鳥インフルエンザの影響で不安定)
- 食用油(輸入コスト上昇)
- 野菜(天候不順による価格変動)
最低でも月1回は原価を見直しましょう。
テイクアウト弁当の価格帯別モデル
500円弁当(コンビニ対抗)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食材費 | 180〜200円 |
| 容器代 | 20〜25円 |
| 原価合計 | 200〜225円 |
| 原価率 | 40〜45% |
利益を出すには大量生産と食材の共通化が必須。個人店には厳しい価格帯。
750〜850円弁当(個人弁当屋の標準)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食材費 | 280〜340円 |
| 容器代 | 30〜45円 |
| 原価合計 | 310〜385円 |
| 原価率 | 38〜45% |
最も競争が激しい価格帯。味と量のバランスが勝負。
1,000〜1,200円弁当(飲食店テイクアウト)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食材費 | 300〜400円 |
| 容器代 | 40〜60円 |
| 原価合計 | 340〜460円 |
| 原価率 | 32〜38% |
店の味をそのまま弁当にできる。ブランド力がある飲食店に適した価格帯。
まとめ
- 弁当の原価 = 食材費 + 容器代。容器代を忘れると原価が5〜15%ズレる
- 弁当専門店は原価率**35〜45%が目安、飲食店のテイクアウトは28〜35%**を目標に
- 飲食店が弁当屋の原価率をそのまま真似するのは危険。経費構造が違う
- 副菜の共通化、セット販売、予約比率の向上で原価率と廃棄ロスを改善
- 食材費の上昇が続く今、月1回の原価見直しは必須
今すぐやること
- 主力弁当の食材費を計算する
- 容器・箸・袋のコストを1食あたりで計算する
- 調味料・油のコストを加算する
- 目標原価率を決める
- 販売価格を逆算する
関連ガイド
- レシピ原価計算の完全ガイド — 原価計算の基本公式
- 原価率の目安 業種別ガイド — 業態別の適正原価率
- ロス率計算ガイド — 歩留まり率の目安
- プライムコスト完全ガイド — FLコスト管理
- からあげ専門店の原価計算ガイド
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参考資料
- スマレジ「弁当屋の原価率はいくら?」 — 弁当屋の原価率の基礎
- 山﨑株式会社「テイクアウトで成功するための原価率」 — テイクアウト特有のコスト構造
- 折箱堂「飲食店の原価計算方法」 — 容器代を含めた計算
- 飲食店経営PRO「2025年版 原価率低減ガイド」 — 最新の食材価格動向
- funfo「飲食店の原価率 目安30%はもう古い?」 — FLコスト管理の重要性