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飲食店の人件費率ガイド——「原価率は低いのにお金が残らない」の正体

原価率は30%で管理できているのに資金繰りが苦しい。その原因は人件費率にあるかもしれません。計算式、含めるべき費用、FL比率からの目標設定まで、2026年版でまとめました。

更新 2026年2月18日
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目次

「原価率は30%前後で管理できているのに、資金繰りが苦しい」

この状態は、人件費の見え方が実態より軽くなっているケースで起きやすい。特に多いのは、仕込み・片付け時間の未計上と、オーナー自身の労働を無料扱いにしているパターンだ。

先に結論

  • 人件費率 = 人件費 ÷ 売上(税抜)× 100
  • 時給・月給だけでなく、社会保険料・手当・残業代・オーナー労働まで含める
  • 目標はFL比率(食材費+人件費の割合)から逆算する
  • 令和7年度の最低賃金は全国加重平均で1,121円

計算式

人件費率(%)= 人件費 ÷ 売上(税抜)× 100

消費税を含む売上で割ると比率が実態より低く見える。必ず税抜売上を使うこと。

人件費に含める項目

  • アルバイト・パートの時給
  • 正社員給与
  • 残業代
  • 社会保険料・労働保険料(事業主負担分)
  • 交通費・各種手当
  • 現場に入るオーナー労働(時給換算)

「給与だけ」で計算すると、ほぼ必ず実態より低く出る。

最低賃金の確認(2026年2月時点)

厚生労働省の令和7年度改定で、全国加重平均は1,121円(前年度比+66円)。

代表例:

  • 東京都:1,226円
  • 神奈川県:1,225円
  • 大阪府:1,177円

人件費計画は、店舗所在地の最新最低賃金を前提に更新すること。

5分でできる月次計算(例)

ある店舗の1ヶ月データ:

  • 売上(税抜):380万円
  • 時給スタッフ賃金:86万円
  • 月給スタッフ:24万円
  • 社会保険・手当(事業主負担分):11万円
人件費合計 = 86万 + 24万 + 11万 = 121万円
人件費率 = 121万 ÷ 380万 × 100 = 31.8%

この数字を原価率と合わせてFL比率を見れば、適正範囲に収まっているか判断できる。

目標はFL比率から逆算する

目標人件費率 = 目標FL比率 − 目標原価率

例:

  • FL比率目標:60%
  • 原価率目標:31%
目標人件費率 = 60% − 31% = 29%

この形で設定すると「人を減らすかどうか」ではなく**「どの時間帯・工程を改善するか」**を具体化しやすくなる。

人件費率が悪化する典型パターン

  • 仕込み時間がシフトに反映されていない。 営業時間外の労働が計上漏れ
  • 閑散時間帯に人数を固定で置いている。 14時〜17時に3人必要か?
  • 残業が毎日積み上がっている。 30分の残業×20日=10時間。時給1,121円なら月11,210円×人数分
  • オーナー労働を無料扱いにしている

今月やること

  • 先月の税抜売上を確定する
  • 給与・残業代・保険料・手当を合算する
  • オーナー労働を時給換算で追加する
  • 人件費率とFL比率を同時に確認する
  • 閑散時間帯の配置を30分単位で見直す

関連ガイド

参考資料


KitchenCostを使えば、原価率と人件費率をまとめて管理できます。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

人件費率の目安は何%ですか?

業態で変わりますが、FL比率(食材費+人件費の割合)60%を目標にして逆算するのが実務的です。原価率30%ならば人件費率は30%が上限。これを超えると家賃や光熱費を払ったあとに利益が残りにくくなります。

オーナーが現場に入る時間も人件費に入れるべきですか?

入れるべきです。オーナー労働を無料扱いにすると、実態より利益が高く見えて判断を誤ります。最低賃金1,121円以上で時給換算してください。

最低賃金が上がったときは、何を先に見直せばいいですか?

ピーク外時間帯のシフトを30分単位で見直すのが最初の一手です。次に仕込み導線と残業。単純な人員削減より生産性改善を先に行うほうが安全です。

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