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レシピ原価計算の完全ガイド|飲食店・カフェ・テイクアウト向け

レシピの原価計算方法を具体例付きで解説。食材費・歩留まり・FLコストの目安から、メニュー価格の決め方まで。2026年版。

更新 2026年2月4日
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目次

飲食店・カフェ・テイクアウト専門店を経営しているなら、レシピの原価計算は利益を左右する最も重要な作業です。

「なんとなくこのくらい」で価格を決めていませんか?この記事では、実際の食材価格を使った具体的な計算方法と、業態別の原価率の目安をまとめます。


レシピ原価計算とは?

レシピ原価計算とは、メニュー1品(または1バッチ)を作るのに必要な食材費の合計を正確に出す作業です。

原価がわかれば:

  • 目標原価率に合った販売価格を設定できる
  • 儲かるメニューと赤字メニューを見分けられる
  • 食材費の変動に素早く対応できる
  • 仕入先の見積もりを具体的な数字で比較できる

5つの基本公式

1. 可食部量(歩留まり計算)

可食部量 = 購入量 × (1 − ロス率)

例:鶏もも肉1kgを購入、ロス率15%(皮・脂・筋の除去)→ 可食部量 = 850g

2. 単価計算

g単価 = 購入価格 ÷ 可食部量

購入価格 780円の鶏もも肉:780 ÷ 850 = 0.92円/g

3. 材料別原価

材料原価 = g単価 × レシピ使用量

レシピに200g使用:0.92 × 200 = 184円

4. 合計原価

合計原価 = すべての材料原価の合計

調味料・油・薬味も忘れずに含めます。

5. 1食あたり原価

1食原価 = 合計原価 ÷ 出来上がり数量

6食分できるレシピなら:合計原価 ÷ 6 = 1食あたりの材料費


具体例:鶏の照り焼き定食

6食分のレシピで計算します。

材料費の内訳

食材購入単位購入価格ロス率可食部量使用量原価
鶏もも肉1kg780円15%850g900g825円
白米5kg2,980円0%5,000g1,200g(6膳分)715円
醤油1L398円0%1,000ml90ml36円
みりん1L498円0%1,000ml90ml45円
砂糖1kg248円0%1,000g30g7円
サラダ油1L398円0%1,000ml30ml12円
キャベツ1玉(1kg)198円20%800g300g74円
ミニトマト1パック(200g)298円5%190g120g188円
味噌汁(味噌+具材)6杯分150円
合計2,052円

1食あたり原価

2,052円 ÷ 6食 = 342円/食

価格設定への反映

販売価格原価率判定
880円38.9%⚠️ ランチなら許容範囲だが利益は薄い
1,000円34.2%✅ 一般的な飲食店の目安
1,200円28.5%✅ しっかり利益が出る

342円の原価に対して1,000円の販売価格なら、原価率34.2%。一般的な飲食店の基準内です。


原価率の目安:業態別

原価率の計算式:

原価率(%) = 食材費 ÷ 販売価格 × 100

業態別の目安

業態原価率の目安補足
カフェ・喫茶店20〜30%ドリンクは原価率が低い。家賃・人件費の比率が高い
一般的な飲食店30〜35%最も一般的な基準
ラーメン店30〜38%スープの仕込みコストに注意
居酒屋28〜35%ドリンクで全体の原価率を下げる
高級レストラン35〜45%客単価が高いため原価率は高くても利益が出る
テイクアウト専門25〜32%容器代が別途かかる
デリバリー専門28〜32%プラットフォーム手数料15〜30%が別途
弁当・惣菜35〜45%品数が多い分、食材費が上がりやすい

原価率だけを見るのは危険です。FLコスト(食材費+人件費)を60%以内に抑えることが利益確保の本当の基準です。詳しくはプライムコスト完全ガイドをご覧ください。


販売価格の決め方

方法1:目標原価率から逆算

販売価格 = 1食原価 ÷ 目標原価率

1食原価342円 ÷ 0.30(原価率30%目標)= 1,140円

方法2:目標利益率から逆算

販売価格 = 1食原価 ÷ (1 − 目標利益率)

342円 ÷ (1 − 0.70) = 342円 ÷ 0.30 = 1,140円

⚠️ 原価率と利益率は表裏一体ですが、マークアップ率とは異なります。混同すると価格設定を間違えます。詳しくはマージン率とマークアップの違いで解説しています。


歩留まりを無視すると原価がズレる

歩留まりとは、購入した食材のうち実際に使える部分の割合です。これを無視すると、実際の原価が計算上の原価より高くなります

例:刺身用マグロ

  • 購入価格:3,980円/kg
  • 歩留まり率:65%(皮・骨・血合い除去)
  • 可食部量:650g/kg
  • 実際のg単価:6.12円/g(3,980 ÷ 650)

仕入れ値のg単価(3.98円/g)とは54%もの差があります。

主な食材の歩留まり率

食材歩留まり率(目安)ロスの内容
鶏もも肉85〜90%脂・皮・筋
豚ロース85〜90%脂身
牛肩ロース80〜85%脂・筋
刺身用魚(丸もの)40〜55%頭・骨・内臓・皮
刺身用魚(柵)90〜95%血合い程度
玉ねぎ88〜90%皮・根
キャベツ80〜85%外葉・芯
大葉・ハーブ類50〜60%茎・傷んだ葉
バター・油・調味料98〜100%ほぼロスなし

歩留まり計算の詳細は → ロス率計算ガイド


原価計算でよくある間違い

1. 調味料・油のコストを省く

「少量だから」と省略しがちですが、1日100食を出す店では1品あたり10〜30円の調味料コストが月3万〜9万円の差になります。

2. 購入単位の価格をそのまま使う

「醤油1本398円」ではなく、レシピに使う分だけの金額を計算しないと意味がありません。

3. 食材価格の変動を反映しない

野菜は季節変動が大きく、キャベツが1玉150円の時期もあれば400円を超える時期もあります。最低でも月1回は原価を見直しましょう。

4. 出来上がり量のブレ

レシピ上は6食分でも、実際は5.5食分しかできていなかったら、1食あたり原価は9%も上がります。

5. 一度計算して終わり

原価計算は一度きりの作業ではありません。食材費の変動、仕入先の変更、レシピ改良のたびに更新が必要です。


Excelとアプリの比較

多くの飲食店がExcelで原価管理を始めますが、3ヶ月もすると更新しなくなるケースが多いです。

課題Excelレシピ原価計算アプリ
食材価格が変わった使用している全セルを手動修正1箇所変更で全レシピ自動更新
仕込み品(タレ・ダシ)複雑な数式のネスト仕込み品登録で自動連携
歩留まり計算セルごとに計算式を入力ロス率入力で自動計算
目標価格の設定手動で逆算目標利益率を入れると推奨価格を表示
レシピの増加シートのコピー&ペーストデータベースで一元管理

ハワイ大学の研究では、スプレッドシートの88%にエラーが含まれているとされています。利益率が数%の飲食店で、高稼働メニューの計算ミスは月数万円の損失になりかねません。

詳しくは → Excel vs アプリ 原価管理比較


まずは始めてみる

5分でできること

一番売れているメニューの食材を書き出し、現在の仕入れ値で原価を計算してみてください。想定と違う金額になるはずです。

30分でできること

売上トップ5のメニューの原価を計算し、それぞれの原価率を出します。1つは想定より儲かっていて、1つは赤字に近いメニューが見つかるでしょう。

本格的にやるなら

全食材をツール(ExcelまたはアプリI)に登録し、歩留まり率を反映して全メニューの原価を計算します。目標利益率を設定し、販売価格を見直しましょう。


関連ガイド


まとめ

  1. レシピ原価 = 各材料の(g単価 × 使用量)の合計。歩留まりを必ず反映する
  2. 原価率の目安は**30〜35%**が一般的だが、業態によって異なる
  3. 歩留まりを無視すると原価が10〜50%もズレる。高価格食材ほど影響が大きい
  4. 月1回は原価を見直す。食材費は常に変動する
  5. レシピ原価計算ツールを使えば、更新の手間とExcelのエラーを同時に解消できる

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参考資料

よくある質問

原価率の目安はどのくらい?

業態で変わりますが、まずは自店の粗利・家賃・人件費を見たうえで決めます。迷ったら30%前後を起点に調整するのが現実的です。

原価計算は仕入れ価格でいい?

仕入れ価格を使いつつ、必ず歩留まりを反映します。提供量ベースの原価にしないと実際の利益とズレます。

原価の更新頻度は?

仕入れ価格が変わったら即更新が理想。難しければ月1回のチェックと、四半期ごとの全面見直しが最低ラインです。

小さな調味料や油も入れる?

必ず入れます。少額でも回数が多いと大きな差になります。1食あたりの固定原価として管理しましょう。

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