麻辣湯専門店のオーナーに「1杯の原価はいくら?」と聞くと、答えに詰まることが多い。
当然だ。お客さんが具材を選ぶから、1杯ごとに原価が違う。
肉と海鮮ばかり選ぶ人もいれば、野菜と豆腐で済ませる人もいる。前者の原価率は40%超、後者は20%台。同じ売値なのに利益が倍以上違う。
だからこそ、麻辣湯の原価管理は**「どんな組み合わせでも利益が残る設計」**にすることが前提になる。スープベースの原価を固定し、具材はg単価でルールを作る。
先に結論
- スープベースは「1杯○円」で固定する。 仕込み品として管理し、ここはブレさせない
- 具材はg単価で3段階に分ける。 低原価(野菜・豆腐)、中原価(練り物・麺)、高原価(肉・海鮮)
- 高原価具材は量を制限するか別料金にする。 肉と海鮮を無制限にすると原価率が崩壊する
- 「基本スープ料金 + 具材量り売り」が利益を守る設計
麻辣湯1杯の原価を分解する
例:量り売りモデル(具材200g・税抜850円)
| 項目 | 原価 |
|---|---|
| スープベース(鶏ガラ+豚骨ベース) | 60円 |
| 麻辣スパイスオイル | 20円 |
| 具材(混合200g) | 120円 |
| 麺 or 春雨 | 25円 |
| 容器(テイクアウト) | 15円 |
| 合計 | 240円 |
原価率:240 ÷ 850 = 28.2%
ただしこれは「平均的な具材構成」の場合。肉と海鮮が多い客だと原価が倍近くなることもある。
スープベースの原価管理
スープは麻辣湯の命だけど、原価は比較的安い。ここを固定できると、具材の価格設計がやりやすくなる。
スープベース1バッチの例(50杯分)
| 材料 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 鶏ガラ | 2kg | 400円 |
| 豚骨 | 1kg | 200円 |
| ネギ・生姜・にんにく | 適量 | 150円 |
| 花椒 | 100g | 300円 |
| 唐辛子(乾燥) | 200g | 400円 |
| 豆板醤 | 200g | 200円 |
| その他スパイス | 各種 | 350円 |
| 食用油(スパイスオイル用) | 500ml | 200円 |
| 合計 | 2,200円 |
1杯あたりのスープ原価 = 2,200 ÷ 50 = 44円
スパイスオイル追加分 = 約20円
合計 = 約64円/杯
具材のg単価設計
量り売りの利益は、具材ごとのg単価で決まる。
3段階の具材カテゴリ
| カテゴリ | 代表的な具材 | 仕入れ原価 | 売価目安(10gあたり) | 目的 |
|---|---|---|---|---|
| 低原価 | 白菜、もやし、ほうれん草、豆腐、きくらげ | 3〜6円/10g | 10〜15円/10g | 利益の柱 |
| 中原価 | 練り物、はんぺん、麺、春雨、うずら卵 | 8〜14円/10g | 15〜20円/10g | バランサー |
| 高原価 | 豚バラ薄切り、牛肉、海老、つみれ | 18〜30円/10g | 25〜35円/10g | 客単価UP |
低原価具材をたっぷり置いて、自然と手に取ってもらう設計が大事。 ショーケースの手前に野菜・豆腐を並べて、肉・海鮮は奥に配置する——これだけで具材構成の平均原価率が2〜3ポイント変わることもある。
肉・海鮮の量制限ルール
肉と海鮮を無制限にすると、原価率が40%を超えるリスクがある。対策は2つ。
- 「肉類3種まで」のルールを設ける — 具材ケースに表示する
- 肉・海鮮は別料金にする — 基本料金(スープ+野菜具材)+ 肉トッピング+100〜200円
廃棄ロスの管理
麻辣湯の具材は仕込み済みで冷蔵ケースに並べるので、当日売れ残ると翌日使いにくいものが多い。
特に注意すべき具材:
- 葉物野菜(ほうれん草、白菜) — しなびると見た目が悪くなる
- 薄切り肉 — 変色すると出せない
- 豆腐 — 水分が出て崩れやすい
対策は、曜日別の仕込み量を過去4週のデータで決めること。金曜に多めに仕込んで月曜も同じ量を仕込んでいたら、月曜の廃棄は避けられない。
月次の利益シミュレーション
前提
- 営業日数:25日
- 1日の平均杯数:60杯
- 平均客単価:900円
月間売上 = 60杯 × 900円 × 25日 = 1,350,000円
原価率28%の場合(具材構成が良い):
原価 = 378,000円
粗利 = 972,000円
原価率36%の場合(肉・海鮮比率が高い):
原価 = 486,000円
粗利 = 864,000円
差額 = 108,000円/月 = 年間1,296,000円
具材構成の管理だけで、年間130万円の利益差になる。
今週やること
- スープベースを1バッチ単位で原価計算する
- 具材をカテゴリ分けして、g単価を設定する
- ショーケースの並び順を見直す(低原価を手前に)
- 高原価具材の量制限ルールを決める
- 1週間の具材廃棄量を記録する
関連ガイド
スープベースと具材を登録すれば、麻辣湯1杯の原価が自動で出ます。具材の仕入れ価格が変わっても原価率がすぐわかる。KitchenCost を使ってみてください。