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飲食店のまかない、経理処理どうする?勘定科目で迷わない実務ガイド(2026)

勘定科目は後です。本人負担50%以上と会社負担月7,500円以下の2判定が先。負担率ちょうど50%なら食事価額は1人月15,000円(税抜)が上限になります。

著者 Jaden
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更新 2026年9月2日
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目次

先に答え:勘定科目より先に、本人負担50%以上と会社負担月7,500円以下の2判定を置く

まかないの経理でつまずくのは科目選びではなく、判定に必要な記録が残っていないことです。国税庁 No.2594「食事を支給したとき」は令和8年4月1日現在法令等として、現物の食事を給与課税しない扱いに本人負担50%以上会社負担月7,500円以下の2条件を同時に求めています。この2つを金額で言い換えると、本人負担がちょうど50%の店は、1人あたり月15,000円(税抜)の食事価額で限度に届きます(筆者算出、算出方法は「7,500円 ÷ (1 − 本人負担率0.50)」、確認日2026-09-02)。1食500円なら月30食です。科目は、この判定と月次の記録が確定してから決めます。

今週やる3ステップ

  1. 先月の食事提供を従業員別に数える(20分):日付、提供方法、1食の食事価額、1食あたり本人負担、食数の5列だけで足ります。
  2. 1人ずつ2条件を計算する(10分):本人負担率 = 本人負担合計 ÷ 食事価額合計会社負担 = 食事価額合計 − 本人負担合計。税込の請求書は税抜へ直してから。
  3. どちらかを外した従業員を洗い出し、税理士へ渡す資料を決める(10分):科目を先に決めず、外した理由(負担率か限度額か、現金か現物か)を書き添えます。

まかない税務・給与記録ワークブック(Excel)には、100件の提供記録、30人分の月次集計、30人分の給与明細照合欄があります。これは記録・確認補助であり、税務・法務の結論を出すものではありません。実運用は税理士・社会保険労務士等へ確認してください。

現行ルールは2条件を同時に確認する

国税庁 No.2594「食事を支給したとき」は、令和8年4月1日現在法令等として、現物の食事を給与課税しないために次の両方を求めています。

  1. 従業員が食事価額の半分以上を負担している
  2. 食事価額から従業員負担を引いた会社負担が、1人あたり月7,500円以下である

2つ目は、消費税・地方消費税を除いた会社負担額で判定します。どちらか一方だけでは足りません。条件を満たさない場合、食事価額から本人負担を引いた金額が給与扱いになります。超えた分だけではなく、会社負担の全額です。

本人負担率ごとの「1人あたり月の食事価額の上限」

会社負担は「食事価額合計 ×(1 − 本人負担率)」なので、限度額7,500円から逆算すると、本人負担率ごとに1人あたり月の食事価額の上限が出ます。

食事価額合計の上限 = 7,500円 ÷ (1 - 本人負担率)
本人負担率1人あたり月の食事価額の上限(税抜)1食500円なら月の食数判定
49%条件1を満たさない。金額に関係なく会社負担の全額が給与扱い
50%15,000円30食両条件の境界。1食でも増えると限度超過
55%16,666円33食7,500 ÷ 0.45 = 16,666.7 を切り捨て
60%18,750円37食7,500 ÷ 0.40
70%25,000円50食7,500 ÷ 0.30
80%37,500円75食7,500 ÷ 0.20
100%上限なし上限なし会社負担0円。ただし本人からの回収を給与控除で行うなら労基法24条の確認が別に必要

上限額は筆者算出です(確認日2026-09-02)。本人負担率を上げるほど限度額に余裕が出ますが、賄い代を上げれば従業員の手取りは減ります。率を動かす前に、いま何食出しているかを数えてください。

食事価額の決め方

国税庁は食事価額を次のように示しています。

提供形態食事価額
仕出し弁当など購入した食事業者へ支払う購入価格
店内・会社で調理した食事食事の材料に要した直接の食材費と調味料費

自社調理で、人件費や家賃を推測で食事価額へ配賦する話ではありません。一方で、食材費の一部だけを恣意的に抜くのも避けます。レシピ、仕入伝票、食数の根拠を同じ月に保存します。

判定は税抜です。請求書が税込なら、軽減税率8%は ÷ 1.08、標準税率10%は ÷ 1.1 で直してから使います。税込550円の仕出し弁当なら 550 ÷ 1.08 = 509.26 で、食事価額は509円です。

売価を食事価額にしない

まかないに出した料理の売価を、そのまま食事価額として記録している店があります。売価と直接食材費は別物です。日本政策金融公庫「2025年度 小企業の経営指標調査」(2026年8月公表)の一般飲食店464社は売上高総利益率が平均65.0%で、ここから導出した会計上の原価率は35.0%です(筆者算出、算出方法は「100% − 売上高総利益率」)。売価1,000円の一品を1,000円の食事価額として記録すると、この平均を当てはめた350円という規模感とは3倍近く離れ、本人負担率も会社負担額も実態から外れます。

ただしこの35.0%も食事価額の根拠にはできません。統計上の売上原価の範囲は各社の会計処理に従うため、食材費だけとは限らないからです。自店の食事価額は業界平均ではなく、レシピと仕入伝票から出します。

従業員別に判定する計算例

架空の1か月の記録です。すべて税抜、同じ月内の集計です。

従業員提供方法1食の食事価額1食あたり本人負担食数食事価額合計本人負担合計会社負担本人負担率判定
A自社調理520円270円2211,440円5,940円5,500円51.9%2条件とも満たす
B仕出し弁当650円330円2616,900円8,580円8,320円50.8%負担率は満たすが会社負担が限度超過。8,320円が給与扱い
C自社調理(無料)480円0円188,640円0円8,640円0%負担率0%で条件1未達。8,640円が給与扱い
D現金の食事手当月10,000円現物ではないため2条件の判定対象外。原則として給与

計算はすべて同じ式です。

食事価額合計 = 1食の食事価額 × 食数
本人負担合計 = 1食あたり本人負担 × 食数
会社負担     = 食事価額合計 - 本人負担合計
本人負担率   = 本人負担合計 ÷ 食事価額合計

Aは 520 × 22 = 11,440270 × 22 = 5,94011,440 - 5,940 = 5,5005,940 ÷ 11,440 = 51.9% です。Bは負担率50.8%で条件1は満たしますが、会社負担8,320円が限度を超えるため、超過分の820円ではなく8,320円全額が給与扱いになります。ここを取り違えると源泉徴収額がずれます。

この表は入力例です。実際の判定は、食事価額の算定根拠、消費税の基準、提供実態を含めて初めて成立します。表の形だけを写して非課税の結論にはしません。

食材費が上がると、先に負担率の条件から外れる

自社調理の食事価額は直接の食材費と調味料費です。つまり仕入価格が上がれば食事価額も上がります。本人負担額を据え置いていると、負担率が自動的に下がります。

総務省統計局の消費者物価指数(2026年7月・全国)では、生鮮食品を除く食料が前年同月比+3.1%です。この上昇率をそのまま食事価額に当てはめると、次のようになります。

項目現在食材費+3.1%後判定
1食の食事価額(直接食材費・調味料費、税抜)500円515.5円
① 本人負担を250円で据え置く場合の負担率50.0%48.5%250 ÷ 515.5 で条件1未達
② 本人負担を50%に合わせる場合の金額250円258円515.5 × 0.5 = 257.75 を切り上げ
②のときの1食あたり会社負担250円257.5円
②で月30食のときの会社負担7,500円7,725円257.5 × 30 で条件2未達
②で限度内に収まる月の食数30食29食7,500 ÷ 257.5 = 29.1

上昇率は総務省の全国平均であり、自店の仕入品目の構成とは違います。上の計算は「食材費がこの率で上がったと仮定した場合」の試算で、実測値ではありません。それでも順番は変わりません。**据え置き運用の店は、限度額7,500円より先に50%の負担率から外れます。**月次で見るのは会社負担額だけでなく、負担率も同時です。

現物、会社契約、現金補助を分ける

実務では、支払先と提供方法を記録します。

  • 店が調理して従業員へ食事を提供する
  • 会社が弁当業者等と契約し、会社から業者へ支払って食事を提供する
  • 従業員が購入し、会社が後から現金を精算する
  • 給与に食事補助として現金を加える

前の2つは現物提供として食事価額と本人負担を確認する入口になります。後の2つは従業員への金銭支給です。国税庁の質疑応答では、現金による食事補助は原則として給与とされます。22時から翌5時の深夜勤務者で現物支給が困難な場合は、1食650円以下などの限定要件がありますが、勤務条件や支給方法を含めて税理士へ確認してください。

月次で1人ずつ記録する

最低限、提供記録には次を残します。

  • 日付
  • 従業員ID・氏名
  • 提供方法(現物 / 現金補助)
  • 1食価額
  • 1食あたり本人負担
  • 食数
  • 請求書、レシピ、控除記録などの証憑メモ

月次では、同じ従業員IDで集計します。

食事価額合計 = 1食価額 × 食数
本人負担合計 = 1食あたり本人負担 × 食数
会社負担 = 食事価額合計 - 本人負担合計
本人負担率 = 本人負担合計 ÷ 食事価額合計

会社負担は従業員1人あたり月額で見ます。店の合計額ではありません。3人分を合算して「月20,000円だから超過」と判定するのも、逆に合算した平均で薄めるのも誤りです。

架空の入力例

  • 自社調理の食事価額:500円
  • 本人負担:260円
  • 月20食
食事価額合計 = 500 × 20 = 10,000円
本人負担合計 = 260 × 20 = 5,200円
会社負担 = 10,000 - 5,200 = 4,800円
本人負担率 = 5,200 ÷ 10,000 = 52.0%

記録上は本人負担50%以上、会社負担月7,500円以下の両方に入ります。会社負担4,800円は限度額まで2,700円の余裕があり、1食あたり会社負担240円で割ると、あと11食(2,700 ÷ 240 = 11.25)まで同条件で増やせる計算です。ただし、食事価額の算定、消費税の扱い、提供実態が正しいかを含めて初めて判断できます。この例だけで非課税の結論にはしません。

勘定科目を一つの答えにしない

同じ「まかない」でも、現物提供、現金補助、本人負担の回収、給与課税の有無で仕訳の構成は変わります。福利厚生費、給与、材料費の振替など、どの科目を使うかは会計方針と取引実態を踏まえて決めます。

したがって、記事だけを根拠に一つの仕訳を全期間へ適用しないでください。税理士へ渡す資料は、次の4点です。

  1. 提供方法と支払先
  2. 食事価額の算定資料
  3. 従業員別の本人負担・会社負担・食数
  4. 給与明細と本人負担の回収方法

判断できる範囲とできない範囲

  • ワークブックは記録漏れと計算条件を見つけるためのものです。
  • 「確認補助」表示は、非課税、適法、正しい仕訳を確定しません。
  • 消費税の処理、給与課税、源泉徴収、勘定科目は税理士へ確認します。
  • 給与から本人負担を控除する場合は、税務とは別に賃金控除の根拠を確認します。
  • 所得税の条件を満たしたことは、社会保険の現物給与価額の扱いを決めません。別に確認します。
  • 個人情報を含む実ファイルは社内規程に従って保管します。

月末チェックリスト

  • 購入食と自社調理を分けた
  • 自社調理の食事価額を直接食材費・調味料費で記録した
  • 売価を食事価額に代用していない
  • 税込の請求書を税抜へ直した
  • 現物と現金補助を分けた
  • 従業員別に食事価額、本人負担、食数を集計した
  • 本人負担50%以上を確認した
  • 会社負担月7,500円以下を税抜境界で、従業員1人あたりで確認した
  • 現金補助がある従業員を税理士へ確認した
  • 給与明細と本人負担の回収額を照合した
  • 最終的な科目と税務処理を専門家へ確認した

原価記録を継続する場合

食事価額に使うレシピの直接食材費・調味料費を更新する必要がある場合は、KitchenCostで仕入価格変更を管理できます。税務判定や給与処理を自動で確定する機能としてではなく、算定根拠をそろえる補助として使ってください。

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出典(最終確認: 2026-09-02)

関連ガイド

よくある質問

まかないはどの勘定科目で処理しますか?

提供方法、本人負担、給与課税の扱い、既存の会計方針で変わります。福利厚生費など一つの科目を全店共通の結論にはできません。記録をそろえて税理士へ確認してください。

現物の食事を給与課税しない条件は何ですか?

従業員が食事価額の半分以上を負担し、会社負担が1人あたり月7,500円以下(消費税・地方消費税を除く)という2条件の両方です。本人負担がちょうど50%なら、会社負担も食事価額の50%なので、1人あたり月15,000円(税抜)の食事価額で限度に届きます。

食事価額はどう決めますか?

購入した食事は業者への購入価格、自社で調理した食事は直接の食材費と調味料費で評価します。メニューの売価ではありません。

現金で食事代を補助する場合はどうなりますか?

原則として給与です。22時から翌5時の深夜勤務者で現物支給が困難な場合は、1食650円以下など国税庁の限定要件を個別に確認してください。

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