まかないの経理は、勘定科目を先に決めると記録が不足しがちです。まず、誰に、いつ、どの方法で、いくらの食事を提供し、本人がいくら負担したかを月次で残します。
先に要点
- 現物の食事を給与課税しない扱いには、本人負担50%以上と会社負担月7,500円以下という2条件の両方が必要
- 月7,500円は、消費税・地方消費税を除いた会社負担額で確認する
- 条件を満たさない場合は、食事価額から本人負担を引いた金額が給与扱い
- 購入食の食事価額は業者への購入価格、自社調理は直接の食材費・調味料費
- 現物提供、会社契約の食事提供、従業員へ現金を精算・支給する方法を分ける
- 現金の食事補助は原則給与。22時から翌5時の深夜勤務で現物支給が困難な場合は、1食650円以下などの限定要件を個別確認
- 勘定科目と給与課税は別の論点。記録だけで税務・法務の結論は出ない
まかない税務・給与記録ワークブック(Excel)には、100件の提供記録、30人分の月次集計、30人分の給与明細照合欄があります。これは記録・確認補助であり、税務・法務の結論を出すものではありません。実運用は税理士・社会保険労務士等へ確認してください。
現行ルールは2条件を同時に確認する
国税庁 No.2594「食事を支給したとき」は、令和8年4月1日現在法令等として、現物の食事を給与課税しないために次の両方を求めています。
- 従業員が食事価額の半分以上を負担している
- 食事価額から従業員負担を引いた会社負担が、1人あたり月7,500円以下である
2つ目の判定額は、消費税・地方消費税を除きます。どちらか一方だけでは足りません。条件を満たさない場合、食事価額から従業員負担を引いた金額が給与扱いになります。
食事価額の決め方
国税庁は食事価額を次のように示しています。
| 提供形態 | 食事価額 |
|---|---|
| 仕出し弁当など購入した食事 | 業者へ支払う購入価格 |
| 店内・会社で調理した食事 | 食事の材料に要した直接の食材費と調味料費 |
自社調理で、人件費や家賃を推測で食事価額へ配賦する話ではありません。一方で、食材費の一部だけを恣意的に抜くのも避けます。レシピ、仕入伝票、食数の根拠を同じ月に保存します。
現物、会社契約、現金補助を分ける
実務では、支払先と提供方法を記録します。
- 店が調理して従業員へ食事を提供する
- 会社が弁当業者等と契約し、会社から業者へ支払って食事を提供する
- 従業員が購入し、会社が後から現金を精算する
- 給与に食事補助として現金を加える
前の2つは現物提供として食事価額と本人負担を確認する入口になります。後の2つは従業員への金銭支給です。国税庁の質疑応答では、現金による食事補助は原則として給与とされます。22時から翌5時の深夜勤務者で現物支給が困難な場合は、1食650円以下などの限定要件がありますが、勤務条件や支給方法を含めて税理士へ確認してください。
月次で1人ずつ記録する
最低限、提供記録には次を残します。
- 日付
- 従業員ID・氏名
- 提供方法(現物 / 現金補助)
- 1食価額
- 1食あたり本人負担
- 食数
- 請求書、レシピ、控除記録などの証憑メモ
月次では、同じ従業員IDで集計します。
食事価額合計 = 1食価額 × 食数
本人負担合計 = 1食あたり本人負担 × 食数
会社負担 = 食事価額合計 - 本人負担合計
本人負担率 = 本人負担合計 ÷ 食事価額合計
架空の入力例
- 自社調理の食事価額:500円
- 本人負担:260円
- 月20食
食事価額合計 = 500 × 20 = 10,000円
本人負担合計 = 260 × 20 = 5,200円
会社負担 = 10,000 - 5,200 = 4,800円
本人負担率 = 5,200 ÷ 10,000 = 52.0%
記録上は本人負担50%以上、会社負担月7,500円以下の両方に入ります。ただし、食事価額の算定、消費税の扱い、提供実態が正しいかを含めて初めて判断できます。この例だけで非課税の結論にはしません。
勘定科目を一つの答えにしない
同じ「まかない」でも、現物提供、現金補助、本人負担の回収、給与課税の有無で仕訳の構成は変わります。福利厚生費、給与、材料費の振替など、どの科目を使うかは会計方針と取引実態を踏まえて決めます。
したがって、記事だけを根拠に一つの仕訳を全期間へ適用しないでください。税理士へ渡す資料は、次の4点です。
- 提供方法と支払先
- 食事価額の算定資料
- 従業員別の本人負担・会社負担・食数
- 給与明細と本人負担の回収方法
判断できる範囲とできない範囲
- ワークブックは記録漏れと計算条件を見つけるためのものです。
- 「確認補助」表示は、非課税、適法、正しい仕訳を確定しません。
- 消費税の処理、給与課税、源泉徴収、勘定科目は税理士へ確認します。
- 給与から本人負担を控除する場合は、税務とは別に賃金控除の根拠を確認します。
- 個人情報を含む実ファイルは社内規程に従って保管します。
月末チェックリスト
- 購入食と自社調理を分けた
- 自社調理の食事価額を直接食材費・調味料費で記録した
- 現物と現金補助を分けた
- 従業員別に食事価額、本人負担、食数を集計した
- 本人負担50%以上を確認した
- 会社負担月7,500円以下を税抜境界で確認した
- 現金補助がある従業員を税理士へ確認した
- 給与明細と本人負担の回収額を照合した
- 最終的な科目と税務処理を専門家へ確認した
原価記録を継続する場合
食事価額に使うレシピの直接食材費・調味料費を更新する必要がある場合は、KitchenCostで仕入価格変更を管理できます。税務判定や給与処理を自動で確定する機能としてではなく、算定根拠をそろえる補助として使ってください。
公式資料
確認日:2026-08-17
- 国税庁 No.2594「食事を支給したとき」(令和8年4月1日現在法令等) — 現物食の2条件、食事価額、条件未達時の給与扱い
- 国税庁「使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合」 — 現金補助の原則と限定的な深夜勤務者の例外
- e-Gov 労働基準法 第24条 — 賃金全額払いと控除の例外