ドリンクの原価は、納品書の金額と実際に注ぐ量から計算します。樽ビールは販売できた液量、サワーは割り材と氷まで含めると、見落としていた差を確認できます。
以下は計算方法を示すための架空例です。仕入れ相場や業界平均ではありません。金額は消費税を除いた同じ基準でそろえ、実際に使うときは自店の単価・数量・費用範囲に置き換えてください。
1杯の原価を購入量と使用量から求める
材料単価 = 購入金額 ÷ 使用できる量
1杯の材料原価 = 各材料の(単価 × 使用量)を合計
材料原価率 = 1杯の材料原価 ÷ 販売価格 × 100
割り材、果汁、氷なども使う分だけ加算します。グラス洗浄、人件費、家賃、決済手数料をこの材料原価に含めていなければ、売価との差額は最終利益ではありません。
| ドリンクの仮定 | 1杯の材料原価 | 販売価格の仮定 | 材料原価率 | 材料費を引いた差額 |
|---|---|---|---|---|
| 生ビール、下記の樽ロスを含む | 240円 | 600円 | 40.0% | 360円 |
| レモンサワー | 60円 | 500円 | 12.0% | 440円 |
| ハイボール | 65円 | 550円 | 11.8% | 485円 |
| ソフトドリンク | 55円 | 350円 | 15.7% | 295円 |
この表の高低だけでメニューを決めず、次の内訳と販売数を確かめます。
生ビールは樽の量と販売できた量を分ける
20Lの樽を12,000円で購入し、液体として注ぐ量を1杯360mlと仮定します。ジョッキの表示容量ではなく、実際の液量で計算してください。
| 条件 | ロスを入れない計算 | 2Lを販売できなかった場合 |
|---|---|---|
| 購入量 | 20,000ml | 20,000ml |
| 販売に使える量 | 20,000ml | 18,000ml |
| 1mlあたり原価 | 0.60円 | 約0.667円 |
| 360mlの原価 | 216円 | 240円 |
| 600円で売る場合の材料原価率 | 36.0% | 40.0% |
2Lのロスは例として置いた10%で、標準的なロス率ではありません。開栓・洗浄時の廃棄、注ぎ直し、売れ残りなどを記録し、自店の実績で置き換えます。ロスを販売可能量に織り込んだ後、同じ廃棄分をもう一度費用に足さないようにしてください。
サワー・ハイボールは割り材まで登録する
レモンサワーの仮定は次のとおりです。
| 材料 | 購入・使用の仮定 | 1杯の原価 |
|---|---|---|
| 焼酎 | 4,000ml・2,000円から60ml使用 | 30円 |
| 炭酸水 | 使用分の原価 | 15円 |
| 果汁 | 使用分の原価 | 10円 |
| 氷 | 使用分の原価 | 5円 |
| 合計 | 60円 |
ハイボールは4,000ml・6,000円のウイスキーを30ml使うと45円。炭酸水15円と氷5円を足して65円です。ソフトドリンクは2,000ml・500円から200ml使うと50円、氷5円を足して55円になります。
銘柄や濃さを変えたら、その分量で計算し直します。名前を変えるだけで売価を上げられる、あるいは材料費が変わらないとは限りません。
店全体の率は売上と原価を合計して求める
上のドリンクを次の杯数だけ販売した仮定です。
| ドリンク | 販売数 | 売上 | 材料原価 |
|---|---|---|---|
| 生ビール | 20杯 | 12,000円 | 4,800円 |
| レモンサワー | 30杯 | 15,000円 | 1,800円 |
| ハイボール | 10杯 | 5,500円 | 650円 |
| ソフトドリンク | 10杯 | 3,500円 | 550円 |
| 合計 | 70杯 | 36,000円 | 7,800円 |
材料原価率は 7,800 ÷ 36,000 × 100 = 約21.7% です。各ドリンクの率を単純平均しても、この販売構成の原価率にはなりません。実際の値引きがあれば、分母も値引き後の売上にそろえます。
飲み放題は杯数と構成を一緒に変えて試算する
1,500円のプランで、ビール2杯、サワー3杯、ソフトドリンク1杯を提供した仮定では、材料原価は次のとおりです。
240円 × 2杯 + 60円 × 3杯 + 55円 × 1杯 = 715円
715円 ÷ 1,500円 × 100 = 約47.7%
材料費を引いた差額 = 1,500円 - 715円 = 785円
785円から、まだ含めていない人件費、洗浄・光熱費、決済手数料などを賄います。杯数が同じでもビールの割合が変われば材料原価が変わります。少なくとも「少ない杯数」「多い杯数」「ビールが多い構成」を、自店で観測した数量で比べてください。
プラン全体の実績は、対象客に提供した材料原価の合計を、そのプランの実際の売上で割って確認します。料理付きプランなら、料理代とドリンク代をどう配分したかもそろえます。
仕入れ変更を記録する
納品書の日付、商品名、購入量、購入金額、適用開始日を残すと、どの単価で計算したかを追えます。価格変更前の伝票で新しいレシピ原価を評価しないようにします。
財務省は、2026年10月1日にビール系飲料の税率を1klあたり155,000円へ一本化すると案内しています。これは酒税の情報で、飲食店への納入価格の保証ではありません。変更後の見積書・納品書で実際の単価を確かめてください。財務省「酒税に関する資料」
自店の1杯で確かめる
レシピ原価計算機で、購入価格・容量・1杯の使用量から材料原価を試算できます。ロスを入力に反映する場合は使用可能量の考え方をそろえ、二重計上を避けます。
レシピを継続して管理するなら、KitchenCostのダウンロード案内から試せます。材料単価を更新して原価を計算し直し、自分で決めた販売価格と比べる使い方です。上の洗浄費・人件費やプラン全体の採算表は別途管理してください。
関連ガイド
計算と出典について
表の価格、液量、販売数、ロス率は本記事の架空入力です。計算は表示した式で再現できます。税率に関する情報は財務省の上記ページを2026-09-17に確認しました。