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和菓子店の原価計算——あんこ1kg仕込んで、出来上がりは何g?

和菓子の原価は「あんこの歩留まり」と「包材コスト」で決まる。小豆1kgからあんこ2kgの仕込み原価を分解し、大福・最中・どら焼きの1個原価、ギフト箱代が利益に与える影響まで実例で解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

和菓子の原価は、一見すると安く見えます。小豆、砂糖、もち粉、小麦粉。高級食材が入るわけでもない。

でも月末に数字を見ると、「あれ、思ったほど残っていない」。

理由は2つ。あんこの歩留まり包材コストです。

小豆1kgを炊いてあんこにすると約2kg。でも火加減や煮詰め具合で1.8kgしかできないこともある。この200gの差が、1日の仕込みで数百円、月に数万円の原価ブレになります。

さらに和菓子はギフト需要が多い業態。箱、のし紙、リボン、手提げ袋——商品原価の3〜4割が包材ということも珍しくありません。

先に結論

  • あんこの歩留まりが原価の鍵。 煮詰め後の出来高を毎回量る
  • 包材は原価の3〜4割を占めることもある。 箱代込みで価格設計する
  • 季節商品は廃棄リスクが高い。 仕込みは少なめ、追加製造で対応
  • 餅の端材は別商品に回す。 ロスをゼロにするより活用する方が現実的

あんこの仕込み原価を分解する

つぶあん1バッチ(出来上がり約2kg)

材料原価
小豆1kg1,200円
砂糖(上白糖)800g200円
水・光熱費50円
合計1,450円

出来上がり量:約2kg(歩留まりは火加減による)

あんこ1gあたり = 1,450円 ÷ 2,000g = 約0.73円

大福1個にあんこ40g使うなら、あんこ原価は約29円

歩留まりのブレが原価を動かす

煮詰め方で出来上がり量が変わります。

煮詰め具合出来上がりあんこ1gあたり
しっかり(硬め)1,800g0.81円
標準2,000g0.73円
ゆるめ2,200g0.66円

1gあたり0.15円の差。 小さく見えますが、1日にあんこ10kg使う店なら1,500円の差。月に37,500円です。

対策:毎回、仕込み後の出来高をkg単位で量る。 これだけで歩留まりの傾向が見えてきます。


和菓子の1個原価を分解する

大福(税込200円 → 税抜182円)

項目原価
もち生地(40g)15円
つぶあん(40g)29円
片栗粉(打ち粉)2円
合計46円

原価率:46 ÷ 182 = 25.3%

いちご大福(税込350円 → 税抜318円)

項目原価
もち生地(45g)17円
白あん(30g)25円
いちご(1個 L)80円
片栗粉2円
合計124円

原価率:124 ÷ 318 = 39.0%

いちごが入ると原価率が一気に上がる。 いちごは季節で価格が3〜5倍変動する食材。12月の高い時期に同じ価格で売ると原価率50%を超えることもあります。

どら焼き(税込220円 → 税抜200円)

項目原価
生地(小麦粉・卵・砂糖・みりん)20円
つぶあん(50g)37円
合計57円

原価率:57 ÷ 200 = 28.5%

最中(税込180円 → 税抜164円)

項目原価
最中皮(2枚)20円
つぶあん(35g)26円
合計46円

原価率:46 ÷ 164 = 28.0%


包材コストは無視できない

和菓子店の最大の特徴はギフト需要です。お中元、お歳暮、手土産、法事。箱入りの売上が全体の30〜50%を占める店もあります。

ギフト包材の原価

包材1セットあたり
6個入り箱80〜120円
のし紙15〜25円
リボン or 水引10〜30円
仕切り20〜30円
手提げ袋25〜40円
合計150〜245円

例:6個入り最中セット(税込1,320円 → 税抜1,200円)

項目原価
最中 × 6個276円(46円 × 6)
箱・のし・仕切り・袋200円
合計476円

原価率:476 ÷ 1,200 = 39.7%

原価の42%が包材。 商品本体より包材のほうが高い——和菓子のギフトでは珍しくない構図です。

包材のコスト削減は効果が大きい。同じ品質の箱でも仕入れ先を比較すると、1箱10〜20円の差があることもあります。年間5,000セット出る店なら5〜10万円の差です。


餅・求肥のロスを活かす

餅や求肥は成形時に端材が出ます。「ロスをゼロにする」のは現実的ではないので、端材を別商品に回すのが正解です。

端材活用メニュー
餅の切れ端おはぎ、ぜんざいの餅、焼き餅
求肥の端材ミニ大福、試食用
あんこの余りあんバタートースト(カフェ併設の場合)、あんこ販売

端材を活用するメニューを1〜2品持っておくだけで、廃棄コストが大幅に減ります。


季節商品の仕込みリスク

和菓子は季節商品が命です。でも季節商品は販売期間が短い=廃棄リスクが高い

季節代表商品販売期間注意点
桜餅、草餅、よもぎ大福2〜4月桜の葉の仕入れ時期が限定
水まんじゅう、わらび餅6〜8月日持ちが短い(2〜3日)
栗きんとん、月見だんご9〜11月栗の仕入れ価格が毎年変動
いちご大福、花びら餅12〜2月いちご価格が12月にピーク

季節商品の仕込みルール:

  1. 初日は少なめに仕込んで、売れ行きを見てから増やす
  2. 販売最終日の1週間前から仕込み量を減らす
  3. 売れ残りは翌日の試食 or 割引販売で回収

今週やること

  • あんこの仕込み後の出来高(kg)を記録する(3回分で傾向を掴む)
  • 主力3品の1個原価を計算する(あんこ・生地・包材すべて含めて)
  • ギフト包材の1セットあたり原価を計算する
  • 包材の仕入れ先を2〜3社比較する
  • 端材を活用できるメニューを1品考える

関連ガイド


あんこ・もち・包材の原価を登録すれば、和菓子1個の原価が自動で出ます。ギフトセットの包材込み原価率も確認可能。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

あんこの原価はどう計算する?

小豆1kgと砂糖800gで仕込むと、煮詰め後のあんこは約2kg。原価は小豆1,200円+砂糖200円+水光熱費50円で約1,450円。あんこ1gあたり約0.73円です。大福1個にあんこ40g使うなら原価は約29円。鍋ごとに出来高を量って歩留まりを把握するのが基本です。

箱や包装紙も原価に入れるべき?

必ず入れてください。和菓子はギフト需要が大きく、6個入りの箱・包装紙・リボンで150〜250円かかります。商品原価300円のセットに包材200円が乗ると、原価の4割が包材です。箱代込みで価格設計しないと利益が見えません。

季節商品は原価率を高くしても良い?

季節商品は話題性で集客する役割なので、原価率が40〜50%でも許容範囲です。ただし販売期間が短いぶん廃棄リスクが高い。仕込み量を少なめにして追加製造で対応するほうが、廃棄コストを含めた実質原価率は下がります。

餅の切りロスはどう減らす?

切りロスの原因は「形が揃わない→やり直し」がほとんど。型を使うか、カット後の端材を別商品(おはぎ、ぜんざいの餅)に回すのが現実的です。端材ゼロを目指すより、端材を活かすメニューを持つほうが利益に繋がります。

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