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立ち飲み屋の原価ガイド:小皿とドリンク比率で利益を守る

立ち飲み屋の原価を小皿フード・ドリンク・回転率に分解して計算。盛り付けのブレ、ドリンク比率の最適化、客単価を上げるセット設計を実例で解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

立ち飲み屋の良いところは、席がないから回転が早いこと。悪いところは、1品の単価が安すぎて利益が見えにくいこと。

ポテサラ380円、煮込み420円、ハイボール350円。1品ずつは安い。でも1日100人来て客単価1,500円なら、売上は15万円。ここからフード原価を引いて、家賃と人件費を引いて……残るのは数万円、という店は珍しくありません。

問題は、どこで利益が出ていて、どこで漏れているかが分かりにくいことです。小皿が20種類あって、全部ちょっとずつ利益が出ているように見える。でも実際は、盛りの多い3品が赤字で、ドリンクの利益を食っている——そんな構造になっていることが多い。

フード原価、ドリンク比率、回転率——この3つを分解すると、どこを直せば利益が残るかが見えてきます。


先に結論

  • 立ち飲み屋の利益はドリンクで作るのが基本。フードは「来店動機」
  • 小皿フードは1品ずつの原価が小さく見えるが、盛りのブレが利益を削る
  • ドリンク売上比率を60%以上に保つと、全体原価率が25%以下に収まりやすい
  • セット提案で客単価を上げるのが、値上げより効果的
  • 回転率は「滞在時間」ではなく「1時間あたりの客数」で管理する

立ち飲み屋の利益構造を理解する

普通の居酒屋と立ち飲み屋では、利益の出方が違います。

項目着席型居酒屋立ち飲み屋
客単価3,000〜5,000円1,200〜2,000円
滞在時間90〜120分30〜60分
1時間あたり客数0.5〜0.7人/席1.5〜2.5人/スペース
ドリンク注文数3〜5杯2〜3杯
フード注文数4〜6品2〜3品

客単価は半分以下ですが、回転率が2〜3倍。だから1日の売上はそれほど変わらない。問題は原価率です。

1品の単価が安いので、フード原価が50円ブレただけで原価率が10ポイント以上動きます。着席型なら5,000円の客単価で50円のブレは1%。立ち飲みの1,500円で50円のブレは3.3%。この差が、月末に効いてきます。


小皿フードの原価を分解する

例:代表的な小皿メニュー5品

メニュー標準量原価売価原価率
ポテトサラダ80g65円380円17%
もつ煮込み150g95円420円23%
枝豆100g40円330円12%
鶏皮ポン酢70g55円380円14%
マカロニサラダ90g60円350円17%

フード単体で見ると原価率12〜23%。優秀に見えます。

でもこの数字は**「標準量を守った場合」**の話です。


原価が崩れる4つの原因

1. 盛り付けが毎回違う

立ち飲みの小皿は、忙しい時間帯にスタッフが感覚で盛ります。ポテサラ80gのつもりが100gになっていたら、原価は65円→81円。売価は同じ380円なので、原価率は17%→21%。

1品で4ポイントのズレ。 これが20種類のメニューでランダムに起きていると思ってください。

対策は単純です。小鉢のサイズを統一して、「この鉢に8分目」というルールにする。計量は毎回やる必要はなく、小鉢を決めれば自動的にブレが小さくなります。

2. ドリンク注文率が低い

立ち飲みは「ちょっと1杯」のつもりで来る客が多い。でもフードだけ食べてドリンクを1杯しか頼まない客が増えると、利益構造が崩れます。

ドリンクの原価率は低い:

ドリンク原価売価原価率
生ビール(中)120円450円27%
ハイボール45円380円12%
レモンサワー50円380円13%
日本酒(1合)150円500円30%
ウーロンハイ35円350円10%

ハイボール1杯で335円の粗利。ポテサラ1皿で315円の粗利。金額はほとんど同じですが、ドリンクの方が提供に手間がかからない

ドリンク売上比率が50%と65%では、全体の利益率が5〜8ポイント変わります。

3. サイドメニューの原価が見えていない

「お通し代わり」に出している漬物やナッツ。無料で出していませんか?

枝豆100g=40円、柿ピー50g=30円。無料提供していると、1日100人で月に10〜21万円の原価です。300円のお通しとして出すか、メニューに載せるか。「無料」は利益を確実に削ります。

4. 廃棄が多い

小皿メニューは作り置きが多い。煮込み、ポテサラ、マカロニサラダ——仕込んだものが売れ残ると、そのまま廃棄です。

仕込み量を曜日別に記録して、過去4週の同じ曜日の平均で決めるのが基本です。金曜に50食仕込んで月曜にも同じ量を仕込んでいたら、廃棄は避けられません。


ドリンク比率を上げる5つの工夫

1. 1杯目を安くする

ハッピーアワーではなく、全時間帯で1杯目だけ50円引きにする方法。来店直後の注文ハードルが下がります。

2. ドリンクのおかわり声かけ

グラスが空いたら「次どうされますか?」の一言。これだけで平均注文杯数が0.3〜0.5杯増えるという飲食業のセオリーがあります。

3. フードとドリンクのペアリング提案

メニュー表やPOPに「もつ煮込みにはハイボールが合います」のような一言を添える。選択肢を減らしてあげると注文が早くなり、ドリンク追加率も上がります。

4. ドリンクのバリエーションを増やす

レモンサワーだけでなく、グレープフルーツサワー、梅サワー、ライムサワー。原価はほぼ同じで、選ぶ楽しさが増える

5. ボトルキープ制度を導入する

常連客向けにボトルキープを用意すると、来店頻度とドリンク注文率の両方が上がります。焼酎やウイスキーのボトル原価率は20〜25%程度で利益率も良い。


セット提案で客単価を上げる

値上げが難しい立ち飲みでは、セットで客単価を上げるのが現実的です。

セット例

セット内容単品合計セット価格割引率実質原価率
ドリンク1杯 + 小皿2品1,130円1,000円12%18%
ドリンク2杯 + 小皿3品2,120円1,800円15%17%
ドリンク3杯 + 小皿2品1,840円1,500円18%15%

セットに含まれるドリンクの比率が高いほど、全体の原価率は下がります。

「セットを頼んだ方が得」と感じてもらえば、客単価は単品注文より150〜300円上がります。月間でいえば、100人/日 × 200円アップ × 25日 = 月50万円の売上増。原価率は下がっているので、利益はそれ以上に増えます。


回転率の管理

立ち飲みの強みは回転率です。でも「回転率が良い」とは具体的に何を指すのか。

回転率の測り方

1時間あたり客数 = 1時間の来店数 ÷ 立ち飲みスペース数

10人分のスペースで1時間に15人来店なら、回転率は1.5。目安として、ピーク時間帯で2.0以上あると利益が安定します。

回転率が落ちるサイン

  • 常連客の滞在時間が90分を超えている
  • 食事目的の客が増えている(ドリンクなし)
  • ピーク時間帯に「満席で入れない」が頻発

対策として、メニューに「お一人様90分制」を記載するのが一番角が立ちません。声をかけるのはスタッフの負担になるので、ルールとして掲示する方が自然です。


月次の利益シミュレーション

前提

  • 営業日数:25日
  • 1日の平均客数:80人
  • 客単価:1,500円
月間売上 = 80人 × 1,500円 × 25日 = 3,000,000円

ドリンク比率60%の場合:
ドリンク売上 = 1,800,000円(原価率15%)→ 原価 270,000円
フード売上  = 1,200,000円(原価率28%)→ 原価 336,000円
合計原価    = 606,000円
全体原価率  = 20.2%

ドリンク比率45%の場合:
ドリンク売上 = 1,350,000円(原価率15%)→ 原価 202,500円
フード売上  = 1,650,000円(原価率28%)→ 原価 462,000円
合計原価    = 664,500円
全体原価率  = 22.2%

ドリンク比率が15ポイント変わるだけで、月の原価が58,500円変わります。年間70万円以上の差。


今週やること

  • 小皿ごとに「この小鉢に8分目」のルールを決める
  • ドリンク売上比率を先週のPOSデータで確認する(目標60%以上)
  • 無料提供しているもの(お通し・漬物)をリストアップする
  • フード+ドリンクのセットを1つ試験導入する
  • 曜日別の仕込み量を過去4週分で確認し、適正量に調整する

関連ガイド


小皿ごとの原価を登録すれば、フード全体の利益率がひと目で分かります。ドリンクとフードのバランスも数字で確認できる。KitchenCost は無料で使えます。

よくある質問

立ち飲み屋のフード原価率は何%が目安?

フード単体は28〜35%が目安です。ただし立ち飲み屋の利益はドリンクで作るのが基本。フード原価率が30%でも、ドリンク比率が売上の60%以上あれば、全体原価率は22〜25%に収まります。

小皿メニューは赤字になりやすい?

なりやすいです。ポテサラ80gのつもりが120g盛ってしまうと、原価が1.5倍になります。380円の小皿で原価が50円ブレると、原価率が13ポイント動きます。グラム基準を決めて計量するだけで、月の利益が2〜3万円変わるケースもあります。

客単価を上げるにはどうすればいい?

セット提案が最も効果的です。「ドリンク+小皿2品で1,000円」のようなセットを用意すると、単品注文より客単価が150〜200円上がります。ドリンク原価率が15%前後なので、セットに含めるほど全体利益率が改善します。

チャージや席料は取るべき?

立ち飲みでチャージを取ると客離れのリスクがあります。ただし混雑時間帯の回転を守りたいなら、90分制やドリンク1杯目注文必須ルールの方が自然です。お通しを300円で出して実質チャージにする方法もあります。

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