金曜の夜、お店は満席。 でも月末に売上を見ると「あれ、こんなもん?」と思うことはありませんか。
満席なのに売上が伸びない。その原因は回転率にあるかもしれません。
テーブルが1時間に1回しか入れ替わらないのか、2回入れ替わるのかで、同じ席数でも売上は2倍変わります。
回転率の計算方法、業態別の目安、そして現実的にできる改善策を順番に見ていきます。
まとめ
- 回転率 = 来店組数 ÷ テーブル数(時間帯ごとに計算すると便利)
- 業態別の目安:牛丼店 8〜12回転 / ラーメン 5〜8回転 / レストラン 2〜3回転
- 日本の飲食店の平均客席稼働率は65〜70%
- 回転率が0.5回転上がるだけで、月の売上が数十万円変わる
- 稼働率(席がどれだけ埋まっているか)もセットで見ないと判断を間違える
回転率って何?
回転率は「1日の営業で、各テーブルが何回お客さんを受け入れたか」を示す数字です。
回転率 = 来店組数 ÷ テーブル数
計算してみよう
テーブル15卓の居酒屋で、金曜の夜に30組が来店した場合:
30組 ÷ 15卓 = 2回転
同じお店で土曜は45組来店した場合:
45組 ÷ 15卓 = 3回転
1回転分の差は15組分。客単価3,000円なら、1日で45,000円の売上差になります。
業態別の回転率目安
回転率の「正解」はお店の業態で全然違います。ファストフードと割烹を同じ基準で比べても意味がありません。
| 業態 | 平均滞在時間 | 回転率の目安 |
|---|---|---|
| 立ち食いそば・牛丼 | 10〜15分 | 8〜12回転 |
| ラーメン店 | 15〜25分 | 5〜8回転 |
| 定食屋 | 20〜30分 | 4〜6回転 |
| カフェ | 30〜60分 | 3〜5回転 |
| 居酒屋 | 90〜120分 | 2〜3回転 |
| レストラン | 60〜90分 | 2〜3回転 |
| 高級レストラン・料亭 | 120分〜 | 1〜2回転 |
自分のお店の過去データと比べるのが一番大切です。 業界平均はあくまで参考値。先週の自分の数字と比べましょう。
回転率と客席稼働率の違い
回転率だけ見ていると、盲点があります。
4人テーブルに2人で座ってもらった場合、テーブル回転率は1です。でも客席稼働率は50%。2席が空いたまま使えていません。
客席稼働率 = 実際の来店人数 ÷ 総席数
例
- 総席数:40席
- ランチの来店人数:56人
- 客席稼働率:56 ÷ 40 = 140%(1.4回転)
日本の飲食店の平均客席稼働率は**65〜70%**と言われています。自店がこの範囲を下回っているなら、回転率よりも先に「席の埋め方」を見直したほうが効果が出ることもあります。
回転率が売上に与えるインパクト
売上の公式はシンプルです。
売上 = 席数 × 稼働率 × 回転率 × 客単価
席数は固定。稼働率は70%前後が限界。客単価も急には上げにくい。
だから回転率が最も動かしやすいレバーなんです。
具体例:定食屋(20席・客単価1,200円)
| 回転率 | 1日の売上 | 月商(25日) |
|---|---|---|
| 3回転 | 72,000円 | 180万円 |
| 3.5回転 | 84,000円 | 210万円 |
| 4回転 | 96,000円 | 240万円 |
稼働率100%の場合の参考値ですが、0.5回転の差で月に30万円変わります。
回転率が上がらない5つの原因
回転率を上げようと思ったら、まず「どこで時間がかかっているか」を把握するのが先です。
1. 注文までが遅い
着席してからメニューを見て、店員を呼んで、注文が確定するまでに5〜10分。この時間は調理にもサービスにもなっていない「空白時間」です。
2. 調理時間のばらつき
あるメニューは5分で出せるのに、別のメニューは15分かかる。同じテーブルの料理が揃わず、全員が食べ始めるまでに時間がかかります。
3. 会計に時間がかかる
レジが1台しかない、現金対応でお釣りに時間がかかる。特にランチタイムの行列はここがボトルネックになりがちです。
4. テーブルの片付けが遅い
食器を下げて、拭いて、セッティングし直す。このバス作業が遅いと、待っているお客さんを案内できません。
5. 客席の配置が合っていない
4人席にカップルが座る、2人席にお一人様が座る。結果として使えない空席が増えて、回転率が上がらないように見えます。
回転率を上げる5つの方法
1. モバイルオーダーやタブレット注文を入れる
着席→QRスキャン→すぐ注文。これだけで注文までの時間が5〜10分から1〜2分に縮まります。
店員の移動回数も減るので、少ない人数でまわせるメリットもあります。
2. メニューを絞る
メニューが30品あると、お客さんは決めるまでに5分以上かかります。10品以下なら1〜2分。
特にランチメニューは「今日のA・B・C」のような構成にすると、迷う時間もオペレーションも大幅に短縮できます。
3. 調理の事前準備を徹底する
・ご飯:ピーク前に十分に炊いておく
・タレ・出汁:前日に仕込む
・付け合わせ・小鉢:朝のうちにセット完了
「注文が入ってからゼロから作る」状態を減らすだけで、提供時間は大幅に変わります。
4. 片付けの動線を決めておく
ルール例:
・空いた皿は中間で下げる(食べ終わりを待たない)
・厨房に戻るときは必ず食器を持つ(手ぶらで歩かない)
・テーブルリセットは2分以内に完了
スタッフに「気づいたらやって」では効率は上がりません。仕組みとして決めておくことが大切です。
5. 会計を早く終わらせる
- テーブル会計(QRコード決済)を導入する
- 食券機やセルフレジを検討する
- 最低でも複数の決済手段に対応する
会計で3分短縮できれば、ランチの4時間で12テーブル分の追加案内が可能になります(1テーブルあたり平均30分の場合)。
注意:回転率を上げすぎると逆効果になる
回転率を上げるのは大事ですが、やりすぎるとお客さんに「急かされている」と感じさせます。
よくある失敗:
- 食べている最中に皿を下げようとする
- 食後すぐに「お会計いかがですか」と声をかける
- 混んでいない時間帯にも急かす雰囲気がある
一度「居心地が悪い店」と思われると、リピーターが減ります。Google口コミに「落ち着けない」と書かれると、新規客にも影響します。
「急かす」のではなく「待たせない」が正しいアプローチです。
お客さんが「もう出ようかな」と思うタイミングで、スムーズに会計が終わり、次のお客さんが座れる。この自然な流れを作ることがゴールです。
時間帯別に考える
回転率は1日通しで計算するよりも、時間帯で分けて見ると課題が明確になります。
ランチ(11:30〜14:00)
滞在時間の短い客層が多い。ここで回転率を稼ぐ。
- セットメニュー中心で提供スピードを重視
- カウンター席でお一人様の回転を上げる
- 目標:業態に合わせた上限値を狙う
ディナー(17:00〜22:00)
滞在が長い分、客単価で売上を確保する時間帯。
- ドリンク・サイドの追加注文を意識する
- くつろげる雰囲気を作って満足度を上げる
- 無理に回転率を上げる必要はない
アイドルタイム(14:00〜17:00)
ここの集客は難しいですが、カフェ利用やテイクアウトで売上を足す方法も。
今すぐやること
- 先週の来店組数を調べて、テーブル数で割る(=今の回転率)
- ランチとディナーに分けて計算してみる
- 滞在時間のボトルネックを3テーブル分だけ観察する(注文→提供→会計→退店)
- 一番時間がかかっている工程を1つ特定して、改善策を試す
関連ガイド
メニューの原価と利益率を正確に把握したいなら、KitchenCost を試してみてください。回転率を上げる前に、どのメニューが本当に利益を生んでいるか確認できます。