要点まとめ
- 新メニューを実際に作る前に数字でテストすれば、失敗リスクを0円で回避できる
- 原価率は35%以下、周辺相場と合った価格、既存食材の活用がポイント
- 新規食材が多すぎる場合は同じ食材で2〜3品を同時企画して在庫リスクを下げる
- シミュレーションで問題があれば次のステージに進まない
新メニュー導入前の原価シミュレーション - 失敗リスクを減らす方法
「新メニューを出せば売れるだろう」
この考えで新メニューを出したら、食材だけが溜まっていった…そんな経験はありませんか?
新メニューはお客様を呼び込む武器になります。しかし、準備なしに出すと、かえって足を引っ張ることも。
新メニューを出す前に**「このメニュー、利益が出るのか?」**を事前に確認する方法を解説します。
新メニューが失敗する3つの理由
1. 原価を把握せずに価格を決める
「似たようなメニューが800円だから、うちも800円で」
この決め方だと、より良い食材を使った場合に赤字になることがあります。
2. 既存食材を活用できない
新メニューに新しい食材ばかり使うと、在庫が増えます。売れなければ、そのまま廃棄になりますよね。
3. 調理時間を考慮しない
調理に20分かかるメニューをランチのピーク時に出したら?キッチンがパンクします。
原価シミュレーションとは?
新メニューを実際に作る前に、数字で先にテストすることです。
シミュレーションで確認すること:
- このメニューの原価はいくらになるか?
- 目標の利益率を達成するには、いくらで売ればいいか?
- 既存の食材をどれくらい活用できるか?
事前に計算しておけば、**「出してから引っ込める」**という事態を防げます。
5ステップ・シミュレーション・チェックリスト
ステップ1:レシピを整理する
まず、必要な食材と分量を書き出します。
例:クリームパスタ(新メニュー)
| 食材 | 使用量 | 単位 |
|---|---|---|
| スパゲッティ | 100 | g |
| 生クリーム | 100 | ml |
| ベーコン | 30 | g |
| 玉ねぎ | 50 | g |
| にんにく | 10 | g |
| パルメザンチーズ | 15 | g |
| バター | 10 | g |
💡 ポイント:「適量」ではなく、g・ml単位で記載しましょう。正確でないと計算ができません。
ステップ2:食材ごとの原価を計算する
各食材の単位あたりのコストを計算します。
食材原価表
| 食材 | 仕入価格 | 内容量 | 単位原価 |
|---|---|---|---|
| スパゲッティ | 300円 | 1,000g | 0.3円/g |
| 生クリーム | 400円 | 200ml | 2円/ml |
| ベーコン | 500円 | 200g | 2.5円/g |
| 玉ねぎ | 150円 | 1,000g | 0.15円/g |
| にんにく | 300円 | 200g | 1.5円/g |
| パルメザンチーズ | 600円 | 100g | 6円/g |
| バター | 400円 | 200g | 2円/g |
ステップ3:1人前の原価を計算する
1食分にかかるコストを合計します。
| 食材 | 使用量 | 単位原価 | 原価 |
|---|---|---|---|
| スパゲッティ | 100g | 0.3円/g | 30円 |
| 生クリーム | 100ml | 2円/ml | 200円 |
| ベーコン | 30g | 2.5円/g | 75円 |
| 玉ねぎ | 50g | 0.15円/g | 7.5円 |
| にんにく | 10g | 1.5円/g | 15円 |
| パルメザンチーズ | 15g | 6円/g | 90円 |
| バター | 10g | 2円/g | 20円 |
| 合計 | 437.5円 |
ステップ4:販売価格をシミュレーションする
目標原価率に基づいて販売価格を計算します。
計算式:販売価格 = 原価 ÷ 目標原価率
| 目標原価率 | 計算 | 販売価格 |
|---|---|---|
| 25% | 437.5 ÷ 0.25 | 1,750円 → 1,800円 |
| 30% | 437.5 ÷ 0.30 | 1,458円 → 1,500円 |
| 35% | 437.5 ÷ 0.35 | 1,250円 → 1,300円 |
どの価格が適切?
検討ポイント:
- 周辺の類似メニュー価格:1,200〜1,500円
- 自店の他のパスタ価格:1,200円
- 目標利益率:30%
➡️ 1,500円が適正!(原価率約29%)
もし周辺相場が1,000円なら?このメニューでは利益が出ません。食材を見直すか、導入を再検討する必要があります。
ステップ5:総合判断
最後に、このメニューが自店に合っているか確認します。
チェックリスト
| 項目 | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 原価率35%以下? | 29% | ✅ OK |
| 周辺相場と合う価格? | 1,500円(相場1,200〜1,500円) | ✅ OK |
| 既存食材を活用? | スパゲッティ、玉ねぎ、にんにく | ✅ 3品目 |
| 新規仕入れ食材? | ベーコン、生クリーム、パルメザン | ⚠️ 3品目 |
| 調理時間? | 約12分 | ✅ OK |
総合判断:導入可能!ただし、ベーコンと生クリームは他のメニューでも使えるようにして、在庫リスクを下げましょう。
シミュレーションのコツ
1. 既存食材から考える
新メニューを考えるとき、発想の順番を変えてみましょう。
❌ よくある順番
「何を新メニューにしよう?」→レシピを探す→食材を発注
✅ おすすめの順番
「今ある食材で何が作れる?」→レシピを考える→足りないものだけ追加
2. 最低3パターンの価格で計算
1つの価格だけでなく、複数の原価率で計算しましょう。
1,200円なら?→原価率36%(注意)
1,300円なら?→原価率34%(ギリギリ)
1,500円なら?→原価率29%(良好)
3. 隠れたコストを忘れずに
食材費だけで計算してはいけません。
| 追加コスト | 例 |
|---|---|
| 容器代 | テイクアウト容器50円 |
| デリバリー手数料 | 売上の35%前後 |
| 光熱費 | 長時間煮込む料理は高くなる |
デリバリー専用メニューなら、食材費+容器代+手数料をすべて含めて計算しましょう。
実践:こんな場合はどうする?
ケース1:原価率が高すぎる
問題:シミュレーション結果、原価率45%
解決策:
- 高い食材の量を減らす(パルメザン15g→10g)
- 代替食材を探す(輸入チーズ→国産チーズ)
- 販売価格を上げる(プレミアム路線)
- 導入を見送る(赤字メニューは出さない方がいい)
ケース2:新規食材が多すぎる
問題:新メニューに新規食材が5品目以上必要
解決策:
- 他のメニューでも使える食材を優先
- 同じ食材で2〜3品を同時企画
- 少量で仕入れられる業者を探す
例:ベーコンを新たに仕入れるなら
- クリームパスタ(新メニュー)
- ベーコンサラダ(サイド)
- 週末限定ブランチ
3つのメニューで使えば、在庫リスクが下がります。
ケース3:調理時間が長い
問題:シミュレーション結果、調理時間25分
解決策:
- 仕込みで準備(ソース、スープストックを事前に作る)
- ピーク時間外のみ提供(ランチ以外、ディナーだけ)
- 事前予約制(電話やアプリで事前注文)
シミュレーション vs 実際のテスト
シミュレーションは数字の確認、実際のテストは現場の確認です。
| ステージ | 確認内容 | コスト |
|---|---|---|
| 1. シミュレーション | 原価、販売価格、利益率 | 0円 |
| 2. 試作 | 味、盛り付け、分量 | 食材費のみ |
| 3. 限定販売 | 客の反応、注文数、オペレーション | 小規模 |
| 4. 正式導入 | 全体運用 | 全面導入 |
シミュレーションで問題があれば、次のステージに進む必要はありません。1段階目で判断すれば、損失は0円です。
まとめ:新メニューシミュレーション5ステップ
ステップ1:レシピ整理(食材、使用量)
ステップ2:食材ごとの単位原価を計算
ステップ3:1人前の原価を合計
ステップ4:目標原価率で販売価格を計算
ステップ5:総合判断(相場、食材活用、調理時間)
重要チェックポイント:
- 原価率は35%以下か?
- 周辺相場と合った価格か?
- 既存食材を活用できるか?
- 調理時間は自店のキッチンで対応可能か?
原価シミュレーション、難しくありません
最初は計算が面倒に感じるかもしれません。
でも、一度やってみると感覚がつかめます。
「このメニューは1,200円では無理だな」****「この食材を減らせば100円下がる」
こういう感覚が身につくと、新メニュー導入に自信が持てます。失敗する確率もぐっと下がりますよ。
今すぐやること
- 新メニュー候補のレシピを整理する(食材、使用量をg・ml単位で)
- 各食材の単位原価を計算する
- 1人前の原価を合計し、目標原価率で販売価格を計算する
- 既存食材の活用度と調理時間をチェックする
新メニューの原価シミュレーションを素早く行いたい方は、KitchenCostをお試しください。食材を登録してレシピを作れば、原価と販売価格がすぐに計算できます。
関連ガイド
- メニューエンジニアリング — 既存メニューの分析で新メニューの方向性を決める
- 食材原価率ガイド — 新メニューの目標原価率の設定基準
- マージン率とマークアップの違い — 新メニューの正しい価格計算
- モーニング・ブランチ原価ガイド — ブランチメニューの原価シミュレーション例
- 弁当・テイクアウト原価ガイド — テイクアウト新メニューのシミュレーション