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赤字メニューの見つけ方 - メニューエンジニアリング入門

メニューエンジニアリングで、どのメニューが利益を生み、どのメニューが赤字なのかを分析する方法をご紹介します。スター、金のなる木、パズル、負け犬の4分類でメニュー構成を最適化しましょう。

更新 2026年2月18日
メニューエンジニアリングメニュー分析貢献利益収益性メニュー最適化
目次

メニューの中には、売れれば売れるほど儲かるものと、売れるほど損をするものがあります。

「よく売れているから良いメニューだ」と思っていると、大きな落とし穴にはまるかもしれません。メニューエンジニアリングでお店のメニューを点検する方法を整理します。


要点まとめ

  • メニューエンジニアリング = 人気度 + 貢献利益でメニューを分類
  • スターは守り、金のなる木は利益を上げ、パズルは宣伝し、負け犬は外すか変える
  • 3ヶ月ごとに見直してメニュー構成を最適化
  • 「よく売れる ≠ 儲かる」を忘れない

メニューエンジニアリングとは?

**メニューエンジニアリング(Menu Engineering)**は、1982年にアメリカのミシガン州立大学ホスピタリティ経営学部のマイケル・カサバナ教授とドナルド・スミス教授が開発したメニュー分析手法です。

簡単に言うと:

「このメニューがどれくらい売れているか」 + 「どれくらい利益が出ているか」

この2つの基準でメニューを分類する方法です。

総務省統計局のデータでは、外食の消費者物価指数は2024年に前年比2.6%上昇(2020年=100で111.8)しています。原価や人件費が上がる局面では、メニューの収益性を数字で見直すことが重要です。


2つの指標を押さえましょう

1. 人気度(どれくらい売れているか?)

全注文の中で、このメニューが占める割合です。

人気度 = (このメニューの販売数 ÷ 全体の販売数)× 100

例えば、1ヶ月で全体1,000食売れて、そのうち豚骨ラーメンが200食なら:

豚骨ラーメンの人気度 = (200 ÷ 1,000)× 100 = 20%

2. 貢献利益(どれくらい儲かるか?)

販売価格から原材料費を引いた金額です。

貢献利益 = 販売価格 - 原材料費

900円で販売している豚骨ラーメンの原材料費が280円なら:

貢献利益 = 900円 - 280円 = 620円

貢献利益が高いほど、このメニューが売れるたびに固定費(家賃、人件費など)をカバーする力が大きいということです。


メニュー4分類:スター、金のなる木、パズル、負け犬

すべてのメニューを4つのカテゴリーに分類します。

分類人気度貢献利益説明
スター(Star)エースメニュー!よく売れて、よく儲かる
🐴 金のなる木(Plowhorse)お客様に人気だが、あまり儲からない
パズル(Puzzle)儲かるのに、売れない
🐕 負け犬(Dog)売れない、儲からない

どうやって分類するの?

基準値を決めます:

  • 人気度の基準:全メニュー平均人気度の70%
  • 貢献利益の基準:全メニュー平均貢献利益

この基準より高ければ「高」、低ければ「低」と分類します。


実践例:小さなラーメン店

5つのメニューの1ヶ月データ:

メニュー販売数販売価格原材料費貢献利益
豚骨ラーメン500杯900円280円620円
醤油ラーメン400杯850円320円530円
チャーシュー麺200杯1,100円400円700円
餃子(6個)150皿450円150円300円
ライス50杯200円80円120円

全体販売数:1,300個

人気度の計算

メニュー計算式結果
豚骨ラーメン500 ÷ 1,300 × 10038.5%
醤油ラーメン400 ÷ 1,300 × 10030.8%
チャーシュー麺200 ÷ 1,300 × 10015.4%
餃子150 ÷ 1,300 × 10011.5%
ライス50 ÷ 1,300 × 1003.8%

平均人気度:20%(= 100% ÷ 5品)基準値(70%):14%

貢献利益の基準

平均貢献利益:(620 + 530 + 700 + 300 + 120)÷ 5 = 454円

分類結果

メニュー人気度貢献利益分類
豚骨ラーメン38.5%(高)620円(高)スター
醤油ラーメン30.8%(高)530円(高)スター
チャーシュー麺15.4%(高)700円(高)スター
餃子11.5%(低)300円(低)🐕 負け犬
ライス3.8%(低)120円(低)🐕 負け犬

カテゴリー別の対応戦略

⭐ スターメニュー → 守り育てる

豚骨ラーメン、醤油ラーメン、チャーシュー麺がスターです。

  • やるべきこと:品質維持、メニュー表の目立つ位置に配置、おすすめとして紹介
  • 注意:安易に値下げしない(お客様はすでに気に入っている)

🐴 金のなる木メニュー → 利益を上げる

この例にはありませんが、もしあれば:

  • 方法1:少し値上げする(50円上げるだけで利益率が大きく改善)
  • 方法2:原材料費を下げる(仕入先の見直し、使用量の調整)
  • 方法3:セット化する(利益率の高いメニューと組み合わせる)

❓ パズルメニュー → 宣伝するか変える

この例にはありませんが、もしあれば:

  • 方法1:メニュー表で目立つ位置に移動
  • 方法2:スタッフにおすすめさせる
  • 方法3:売れない理由を探る(価格?名前?見た目?)

🐕 負け犬メニュー → 改善するか外す

餃子、ライスが負け犬です。

  • 方法1:メニューから外す(在庫管理の簡素化、廃棄削減)
  • 方法2:新メニューに入れ替える
  • 方法3:付加価値をつけて値上げ(餃子→特製手作り餃子など)

補足:負け犬でもすぐに外さず、「なぜ売れないのか」をまず考えましょう。ライスや餃子はラーメンのサイドメニューとして必要な場合もあります。


3ヶ月ごとに見直しましょう

メニューエンジニアリングは一度やって終わりではありません

  • 季節によって人気メニューが変わります
  • 原材料費が上がれば貢献利益が減ります
  • 新メニューを追加すると全体のバランスが変わります

おすすめの見直し周期:四半期ごと(3ヶ月に1回)


メニュー分析、どう始める?

最初はExcelで行う方が多いですが:

  • メニューごとの販売数を手動で集計
  • 原材料費が変わるたびに手動で更新
  • 基準値を自分で計算

原価計算アプリを使えばもっと簡単です:

  • メニューごとの原価が自動計算される
  • 原材料費が変われば全メニューに自動反映
  • 貢献利益を一覧で比較できる

今すぐやること

  • 主力メニュー10品の販売数と貢献利益を集計する
  • 4分類(スター/金のなる木/パズル/負け犬)に分ける
  • 負け犬メニューの改善策を検討する
  • 3ヶ月後の見直し日をカレンダーに入れる

関連ガイド

まとめ

  1. メニューエンジニアリング = 人気度 + 貢献利益でメニューを分類
  2. スターは守り、金のなる木は利益を上げ、パズルは宣伝し、負け犬は外すか変える
  3. 3ヶ月ごとに見直してメニュー構成を最適化
  4. 物価上昇局面ほどメニュー構成の見直しが利益維持に直結

最も大切なのは:**「よく売れる ≠ 儲かる」**ということを忘れないでください。


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参考資料

よくある質問

メニューエンジニアリングとは何ですか?

メニューを「人気度」と「貢献利益(売価−原価)」の2軸で分類する分析手法です。スター(人気+高利益)、金のなる木(人気+低利益)、パズル(不人気+高利益)、負け犬(不人気+低利益)の4つに分けて、それぞれの改善策を考えます。

どのくらいの頻度で見直すべきですか?

3ヶ月に1回が基本です。ただし主要食材が大きく値上がりした時期や、新メニューを追加したタイミングでは臨時で見直すことをおすすめします。

負け犬メニューはすぐにやめるべきですか?

一概には言えません。ライスや餃子のようにメインメニューの補助として必要な場合もあります。まず「なぜ売れないのか」を考え、改善の余地がなければ入れ替えを検討してください。

人気はあるけど利益が出ないメニューはどうすべきですか?

「金のなる木」に分類されるメニューです。50円の値上げ、仕入れ先の見直し、使用量の調整、利益率の高いサイドメニューとのセット化などで利益を改善できます。

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