喫茶店のコーヒーは、1杯あたり35円くらいで淹れられます。
450円で出せば原価率8%。利益率は92%。飲食業の中でもトップクラスの数字です。
「じゃあ喫茶店は儲かるはずだ」——と思いきや、月末に通帳を見ると思ったほど残っていない。
理由は2つ。モーニングセットの原価率が高すぎることと、客単価が低くて回転率でしかカバーできないこと。
コーヒー1杯の原価は低い。でもトーストとゆで卵とサラダを付けた瞬間に原価が跳ね上がります。さらにお客さんの滞在時間が60〜90分と長いので、回転率は居酒屋やラーメン店の半分以下です。
喫茶店の原価管理は、ドリンクの高利益をモーニングとフードが削らない設計にできるかどうかで決まります。
先に結論
- コーヒー原価率は8〜15%。 この利益率がフードに食われないようにする
- モーニングセットは原価率60〜70%。 集客装置として割り切るが、原価は把握しておく
- ミルクの量で月1万円以上変わる。 計量カップで固定する
- フードは客単価を上げる手段。 ナポリタンやカレーは原価率30〜40%でも粗利額で稼ぐ
ドリンクの原価を分解する
主な喫茶店ドリンクの原価
| メニュー | 原価 | 売価 | 原価率 | 粗利 |
|---|---|---|---|---|
| ブレンドコーヒー | 35円 | 450円 | 8% | 415円 |
| アイスコーヒー | 40円 | 480円 | 8% | 440円 |
| カフェオレ | 55円 | 500円 | 11% | 445円 |
| 紅茶 | 25円 | 450円 | 6% | 425円 |
| クリームソーダ | 80円 | 550円 | 15% | 470円 |
| オレンジジュース | 70円 | 480円 | 15% | 410円 |
コーヒーと紅茶は原価率10%以下。 ここが喫茶店の利益の源泉です。
ただし——
ミルク量でコストが変わる
カフェオレの原価55円の内訳は、コーヒー35円 + ミルク20円(100ml)。
ミルクを150mlに増やすと、ミルク代が30円。原価は65円に。「たっぷりカフェオレ」を謳うなら価格を50円上げないと利益が減ります。
ミルク50ml追加 × 30杯/日 × 25日 = 11,250円/月
「ミルク多め」の声に応えるたびに、月1万円が消える。 計量カップで100ml固定がベストです。
モーニングセットの原価率は本当に高い
例:ドリンク付きモーニング(税込550円 → 税抜500円)
| 項目 | 原価 |
|---|---|
| コーヒー | 35円 |
| トースト(6枚切り1枚) | 25円 |
| バター | 10円 |
| ジャム | 8円 |
| ゆで卵(1個) | 22円 |
| ミニサラダ | 35円 |
| 合計 | 135円 |
原価率:135 ÷ 500 = 27.0%
27%なら悪くない——と思うかもしれません。でもこれはトーストとゆで卵の安いパターン。
例:名古屋式モーニング(ドリンク代のみ 税込450円 → 税抜409円)
ドリンクを頼むとトースト・ゆで卵・小倉あんが無料で付く方式。
| 項目 | 原価 |
|---|---|
| コーヒー | 35円 |
| トースト | 25円 |
| バター | 10円 |
| 小倉あん | 18円 |
| ゆで卵 | 22円 |
| ミニサラダ | 35円 |
| 合計 | 145円 |
原価率:145 ÷ 409 = 35.5%
コーヒー単品なら原価率8%だったものが、モーニングにすると35%。原価率が4倍以上に跳ね上がる。
それでもモーニングを続けるのは、「午前中の空席を埋める」ため。席が空いている時間帯にお客さんが来てくれるなら、追加の家賃コストはゼロ。固定費を回収する手段としてモーニングは合理的です。
ただし原価を把握しないまま続けるのは危険。 トーストのサイズがブレたり、サラダを豪華にしたりすると原価率が50%を超えることもあります。
軽食フードの原価
喫茶店の定番フード
| メニュー | 原価 | 売価 | 原価率 | 粗利 |
|---|---|---|---|---|
| ナポリタン | 180円 | 750円 | 24% | 570円 |
| カレーライス | 200円 | 800円 | 25% | 600円 |
| ミックスサンド | 150円 | 680円 | 22% | 530円 |
| ピラフ | 160円 | 750円 | 21% | 590円 |
| ホットケーキ | 90円 | 600円 | 15% | 510円 |
ホットケーキは原価率15%で喫茶店フードの中では優秀。 粉もの系は利益が出やすい。
ナポリタンやカレーは原価率20〜25%だけど、粗利額は500円以上。フードを1品追加してもらえば、客単価が700〜800円上がります。
フードの原価が崩れるポイント
- パスタの量がスタッフで違う——乾麺80gと100gで原価20円差
- カレーのルウの量が「おたま1杯」で統一されていない——おたまのサイズで30〜50ml変わる
- 仕込みの余りを捨てている——ナポリタンソースの仕込みすぎで月に数千円の廃棄
喫茶店の利益構造を理解する
ドリンク中心の収益モデル
1日の売上イメージ(15席の喫茶店)
午前(8:00-11:00)モーニング:
20人 × 500円 = 10,000円(原価率30%)
午後(11:00-14:00)ランチ:
15人 × 900円 = 13,500円(原価率25%)
午後(14:00-18:00)カフェタイム:
20人 × 550円 = 11,000円(原価率12%)
合計:34,500円/日
月間:862,500円(25日営業)
カフェタイムが最も利益率が高い。 ドリンク中心でフードが少ないからです。
全体の原価率:
モーニング原価 = 3,000円
ランチ原価 = 3,375円
カフェ原価 = 1,320円
合計原価 = 7,695円
全体原価率 = 7,695 ÷ 34,500 = 22.3%
22%は良い数字です。ここから家賃・人件費・光熱費を引いて、手残りがいくらになるか。
回転率と滞在時間の問題
喫茶店の最大の課題はお客さんの滞在時間が長いこと。
| 業態 | 平均滞在時間 | 1席あたり回転数/日 |
|---|---|---|
| ラーメン店 | 20分 | 8〜12回 |
| 定食屋 | 30分 | 6〜8回 |
| 居酒屋 | 90分 | 2〜3回 |
| 喫茶店 | 60〜90分 | 3〜5回 |
| カフェ | 45〜60分 | 4〜6回 |
15席で1日55人。ラーメン店なら同じ席数で100人以上回せます。
回転率を上げるのは難しい(お客さんにゆっくり過ごしてもらうのが喫茶店の価値)。だから客単価を上げるか、原価率を下げるかで利益を確保するしかありません。
客単価を上げる方法:
- ドリンクおかわり割引(2杯目50円引き)
- フードとドリンクのセット価格
- デザートメニュー(ホットケーキ、パフェ)の提案
今週やること
- コーヒーの1杯あたり原価を計算する(豆のg ÷ 杯数)
- カフェオレのミルクを計量カップで100mlに固定する
- モーニングセットの原価率を計算する(目標:35%以下)
- トーストのサイズ(厚さ)を統一する
- ナポリタン・カレーの1食あたり仕込み原価を出す
- 時間帯別の客数と客単価を1週間記録する
関連ガイド
コーヒー・モーニング・軽食の原価を登録すれば、メニューごとの利益がひと目でわかります。仕入れ値が変わっても自動更新。KitchenCost を使ってみてください。