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喫茶店の原価ガイド——コーヒー1杯35円なのに、モーニングで利益が消える仕組み

喫茶店の原価をドリンク・モーニング・軽食に分解。コーヒー原価率8%の高利益に見えて、モーニングセットで原価率60%超になる落とし穴。ミルク量、トーストサイズ、セット価格の設計で利益を守る方法をまとめました。

更新 2026年2月18日
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目次

喫茶店のコーヒーは、1杯あたり35円くらいで淹れられます。

450円で出せば原価率8%。利益率は92%。飲食業の中でもトップクラスの数字です。

「じゃあ喫茶店は儲かるはずだ」——と思いきや、月末に通帳を見ると思ったほど残っていない。

理由は2つ。モーニングセットの原価率が高すぎることと、客単価が低くて回転率でしかカバーできないこと。

コーヒー1杯の原価は低い。でもトーストとゆで卵とサラダを付けた瞬間に原価が跳ね上がります。さらにお客さんの滞在時間が60〜90分と長いので、回転率は居酒屋やラーメン店の半分以下です。

喫茶店の原価管理は、ドリンクの高利益をモーニングとフードが削らない設計にできるかどうかで決まります。

先に結論

  • コーヒー原価率は8〜15%。 この利益率がフードに食われないようにする
  • モーニングセットは原価率60〜70%。 集客装置として割り切るが、原価は把握しておく
  • ミルクの量で月1万円以上変わる。 計量カップで固定する
  • フードは客単価を上げる手段。 ナポリタンやカレーは原価率30〜40%でも粗利額で稼ぐ

ドリンクの原価を分解する

主な喫茶店ドリンクの原価

メニュー原価売価原価率粗利
ブレンドコーヒー35円450円8%415円
アイスコーヒー40円480円8%440円
カフェオレ55円500円11%445円
紅茶25円450円6%425円
クリームソーダ80円550円15%470円
オレンジジュース70円480円15%410円

コーヒーと紅茶は原価率10%以下。 ここが喫茶店の利益の源泉です。

ただし——

ミルク量でコストが変わる

カフェオレの原価55円の内訳は、コーヒー35円 + ミルク20円(100ml)。

ミルクを150mlに増やすと、ミルク代が30円。原価は65円に。「たっぷりカフェオレ」を謳うなら価格を50円上げないと利益が減ります。

ミルク50ml追加 × 30杯/日 × 25日 = 11,250円/月

「ミルク多め」の声に応えるたびに、月1万円が消える。 計量カップで100ml固定がベストです。


モーニングセットの原価率は本当に高い

例:ドリンク付きモーニング(税込550円 → 税抜500円)

項目原価
コーヒー35円
トースト(6枚切り1枚)25円
バター10円
ジャム8円
ゆで卵(1個)22円
ミニサラダ35円
合計135円

原価率:135 ÷ 500 = 27.0%

27%なら悪くない——と思うかもしれません。でもこれはトーストとゆで卵の安いパターン。

例:名古屋式モーニング(ドリンク代のみ 税込450円 → 税抜409円)

ドリンクを頼むとトースト・ゆで卵・小倉あんが無料で付く方式。

項目原価
コーヒー35円
トースト25円
バター10円
小倉あん18円
ゆで卵22円
ミニサラダ35円
合計145円

原価率:145 ÷ 409 = 35.5%

コーヒー単品なら原価率8%だったものが、モーニングにすると35%。原価率が4倍以上に跳ね上がる。

それでもモーニングを続けるのは、「午前中の空席を埋める」ため。席が空いている時間帯にお客さんが来てくれるなら、追加の家賃コストはゼロ。固定費を回収する手段としてモーニングは合理的です。

ただし原価を把握しないまま続けるのは危険。 トーストのサイズがブレたり、サラダを豪華にしたりすると原価率が50%を超えることもあります。


軽食フードの原価

喫茶店の定番フード

メニュー原価売価原価率粗利
ナポリタン180円750円24%570円
カレーライス200円800円25%600円
ミックスサンド150円680円22%530円
ピラフ160円750円21%590円
ホットケーキ90円600円15%510円

ホットケーキは原価率15%で喫茶店フードの中では優秀。 粉もの系は利益が出やすい。

ナポリタンやカレーは原価率20〜25%だけど、粗利額は500円以上。フードを1品追加してもらえば、客単価が700〜800円上がります。

フードの原価が崩れるポイント

  1. パスタの量がスタッフで違う——乾麺80gと100gで原価20円差
  2. カレーのルウの量が「おたま1杯」で統一されていない——おたまのサイズで30〜50ml変わる
  3. 仕込みの余りを捨てている——ナポリタンソースの仕込みすぎで月に数千円の廃棄

喫茶店の利益構造を理解する

ドリンク中心の収益モデル

1日の売上イメージ(15席の喫茶店)

午前(8:00-11:00)モーニング:
20人 × 500円 = 10,000円(原価率30%)

午後(11:00-14:00)ランチ:
15人 × 900円 = 13,500円(原価率25%)

午後(14:00-18:00)カフェタイム:
20人 × 550円 = 11,000円(原価率12%)

合計:34,500円/日
月間:862,500円(25日営業)

カフェタイムが最も利益率が高い。 ドリンク中心でフードが少ないからです。

全体の原価率:

モーニング原価 = 3,000円
ランチ原価 = 3,375円
カフェ原価 = 1,320円
合計原価 = 7,695円
全体原価率 = 7,695 ÷ 34,500 = 22.3%

22%は良い数字です。ここから家賃・人件費・光熱費を引いて、手残りがいくらになるか。


回転率と滞在時間の問題

喫茶店の最大の課題はお客さんの滞在時間が長いこと。

業態平均滞在時間1席あたり回転数/日
ラーメン店20分8〜12回
定食屋30分6〜8回
居酒屋90分2〜3回
喫茶店60〜90分3〜5回
カフェ45〜60分4〜6回

15席で1日55人。ラーメン店なら同じ席数で100人以上回せます。

回転率を上げるのは難しい(お客さんにゆっくり過ごしてもらうのが喫茶店の価値)。だから客単価を上げるか、原価率を下げるかで利益を確保するしかありません。

客単価を上げる方法:

  • ドリンクおかわり割引(2杯目50円引き)
  • フードとドリンクのセット価格
  • デザートメニュー(ホットケーキ、パフェ)の提案

今週やること

  • コーヒーの1杯あたり原価を計算する(豆のg ÷ 杯数)
  • カフェオレのミルクを計量カップで100mlに固定する
  • モーニングセットの原価率を計算する(目標:35%以下)
  • トーストのサイズ(厚さ)を統一する
  • ナポリタン・カレーの1食あたり仕込み原価を出す
  • 時間帯別の客数と客単価を1週間記録する

関連ガイド


コーヒー・モーニング・軽食の原価を登録すれば、メニューごとの利益がひと目でわかります。仕入れ値が変わっても自動更新。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

喫茶店の原価率の目安は?

ドリンク単体は8〜15%と低いですが、フード込みの全体では25〜35%が目安です。喫茶店は客単価が低い(500〜800円)ので、原価率が5%ブレるだけで月の利益が大きく変わります。ドリンクで稼いでフードは原価率高めでも客数を取る、という設計が一般的です。

モーニングは安すぎても大丈夫?

ドリンク代だけでトースト・卵・サラダが付く名古屋式モーニングの場合、原価率は60〜70%になります。それでもモーニングの目的は「常連を作ること」。午前中の空席を埋めて、ドリンクおかわりで利益を積む設計なら成立します。ただし原価率を把握しないまま続けると確実に赤字です。

フードとドリンクのどちらを主力にすべき?

利益率はドリンクが圧倒的に高い(原価率8〜15%)。ナポリタンやカレーは原価率30〜40%。ただしフードがないと客単価が上がらず、滞在時間だけ長くなります。ドリンクで利益を出し、フードで客単価を上げる——この両輪が喫茶店の基本です。

ミルクの使いすぎは本当に利益に影響する?

します。カフェオレ1杯のミルクが100mlと150mlでは、原価が15〜20円違います。1日30杯出るなら月11,250〜15,000円の差。「ミルクたっぷり」を売りにするなら価格に反映し、標準メニューなら計量カップで100mlに固定してください。

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