かき氷の氷は、1杯8円です。
「氷が安いから利益率が高い」——開業前にそう計算した人は多いと思います。
でも実際にメニューを組んでみると、果物を乗せた瞬間に原価が跳ね上がる。いちご70gで90円、マンゴー60gで120円。シロップ、練乳、ホイップまで足すと、1杯の原価は150〜250円になります。
氷は安い。でも「氷に何を乗せるか」で利益が決まる。それがかき氷専門店の原価構造です。
先に結論
- かき氷の原価は氷ではなく、トッピングで決まる。 果物が原価の50〜70%を占める
- 果物の歩留まりが利益を左右する。 いちごは仕入れ量の75%しか使えない
- シロップの「ひと回し」をやめる。 計量で月2〜3万円変わる
- テイクアウトは容器込みで+100円以上。 断熱カップだけで30円以上かかる
- 仕込み量は前日ベースで決める。 果物の廃棄が利益を静かに削る
かき氷1杯の原価を分解する
例1:いちご練乳かき氷(税抜650円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 氷(純氷ブロック) | 1杯分 | 8円 |
| いちご(カット) | 70g | 90円 |
| いちごシロップ(自家製) | 25g | 30円 |
| 練乳 | 15g | 20円 |
| ミント | 1枝 | 5円 |
| 合計 | 153円 |
原価率:153 ÷ 650 = 23.5%
数字だけ見ると余裕がありそうです。でも問題はここから。
- いちごのカットが雑で1杯80gになると、原価は+13円
- シロップを「ひと回し多め」にすると、原価は+10円
- 練乳を多めにかけると、+8円
合計で+31円。 1日50杯で月38,750円の利益減です。
例2:マンゴーかき氷(税抜900円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 氷 | 1杯分 | 8円 |
| マンゴー(カット) | 60g | 120円 |
| マンゴーソース | 30g | 45円 |
| ココナッツミルク | 20g | 15円 |
| ホイップクリーム | 20g | 18円 |
| 合計 | 206円 |
原価率:206 ÷ 900 = 22.9%
マンゴーは1個あたりの仕入れが高く、歩留まりも70%前後(皮と種で30%は廃棄)。1玉400円のマンゴーから取れる果肉は280g。 かき氷4〜5杯分です。
例3:宇治金時(税抜700円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 氷 | 1杯分 | 8円 |
| 抹茶シロップ | 30g | 35円 |
| 小豆あん(自家製) | 40g | 32円 |
| 練乳 | 15g | 20円 |
| 白玉 | 3個 | 15円 |
| 合計 | 110円 |
原価率:110 ÷ 700 = 15.7%
宇治金時は原価率が低い。 抹茶と小豆は歩留まりが高く、ロスも少ない。果物系より利益が出やすいメニューです。
果物の歩留まりが利益を決める
かき氷専門店の原価で最もブレやすいのが果物です。
主な果物の歩留まり
| 果物 | 仕入れ量 | 使える量 | 歩留まり |
|---|---|---|---|
| いちご | 1パック 300g | 225g | 75% |
| マンゴー | 1個 400g | 280g | 70% |
| 桃 | 1個 250g | 175g | 70% |
| キウイ | 1個 100g | 80g | 80% |
| バナナ | 1本 120g | 100g | 83% |
| ブルーベリー | 100g | 95g | 95% |
いちごの歩留まり75%は、仕入れ値の25%が「使えない部分」に消えるという意味です。1パック400円のいちごなら、100円分が廃棄原価。
果物の廃棄がじわじわ効く
問題は歩留まりだけではありません。仕込んだ果物が売れ残ると、翌日には色が変わって使えなくなる。
- カットいちご:当日中に使い切りが基本
- マンゴーソース:冷蔵で2日が限度
- 桃のコンポート:3〜4日は持つがピーク時の仕込みすぎに注意
仕込み量の決め方:
今日の仕込み量 = 前日の販売数 × 0.9(安全係数)
天気予報も見てください。雨の日はかき氷の注文が30〜50%減るのが一般的です。晴れの日と同じ量を仕込むと、その差がまるごと廃棄になります。
シロップの計量で月2〜3万円変わる
シロップや練乳は「感覚」でかける人が多い。でも「ひと回し」の量はスタッフによって10〜20ml違います。
シロップ1mlあたり = 約1.2円(自家製の場合)
10mlの差 × 50杯/日 × 25日 = 15,000円/月
練乳も同様に:
練乳1gあたり = 約1.3円
5gの差 × 50杯/日 × 25日 = 8,125円/月
合わせて月2万円以上。ディスペンサーか計量カップを使うだけで解決します。
テイクアウトの容器コスト
かき氷のテイクアウトは容器が重い。溶けるリスクがあるため、断熱性のある容器が必要です。
| 容器・資材 | 1杯あたり |
|---|---|
| 断熱カップ(400ml) | 20〜30円 |
| 蓋 | 5〜8円 |
| スプーン | 3〜5円 |
| 保冷材 | 5〜10円 |
| 持ち帰り袋 | 3〜5円 |
| 合計 | 36〜58円 |
1日30杯テイクアウトが出るなら、月27,000〜43,500円。
店内と同じ価格で出すと利益が確実に減ります。 テイクアウトは+100〜150円の設定が妥当です。
サイズ別の価格設計
かき氷のサイズ展開で失敗するパターンは、氷を増やしてそのまま価格を上げること。氷を増やしてもコストは2〜3円しか変わりませんが、果物やシロップも増やさないと見た目が貧相になります。
サイズ別原価の例(いちご練乳)
| サイズ | 氷 | いちご | シロップ | 練乳 | 原価 | 売価 | 原価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 小 | 5円 | 50g 64円 | 18g 22円 | 10g 13円 | 104円 | 500円 | 20.8% |
| 中 | 8円 | 70g 90円 | 25g 30円 | 15g 20円 | 148円 | 650円 | 22.8% |
| 大 | 10円 | 90g 116円 | 35g 42円 | 20g 26円 | 194円 | 850円 | 22.8% |
サイズアップで氷は+2〜3円だけど、果物は+26〜52円。サイズを大きくするほど果物の管理精度が利益に効く。
季節と天気で仕込みを変える
かき氷は季節商売です。仕込み量の調整が利益に直結します。
| 条件 | 仕込み係数 |
|---|---|
| 夏・晴れ・週末 | 1.2〜1.5倍 |
| 夏・晴れ・平日 | 1.0倍(基準) |
| 夏・曇り | 0.8倍 |
| 夏・雨 | 0.5〜0.6倍 |
| 春秋 | 0.4〜0.6倍 |
| 冬(通年営業の場合) | 0.2〜0.3倍 |
天気予報と曜日の組み合わせで、前日に仕込み量を決める。記録を2週間続ければ、自分の店の傾向が見えてきます。
今週やること
- 主力3品の果物使用量を秤で計測し、基準グラムを固定する
- シロップと練乳をディスペンサーか計量カップに切り替える
- テイクアウト容器のコストを1杯ずつ計算し、テイクアウト価格を見直す
- 果物の仕込み量を「前日販売数 × 0.9」で決めるルールを試す
- 廃棄した果物の量を1週間だけ記録する
関連ガイド
果物ごとの原価を登録すれば、かき氷1杯の原価が自動で出ます。旬が変わって仕入れ値が動いても、価格を更新するだけ。KitchenCost を使ってみてください。