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原価率35%超えると危険?飲食店の適正原価率ガイド

業種別の適正原価率、プライムコストの本当の意味、原価率を下げる実践的な方法を解説します。

更新 2026年2月18日
原価率原価計算飲食店経営プライムコスト
目次

要点まとめ

  • 原価率 = 材料費 ÷ 販売価格(業態で基準が違う)
  • 原価率よりプライムコスト(材料費+人件費)60%以下が大事
  • レシピ標準化 → ロス率管理 → 仕込み品活用の順で改善

「原価率30%に抑えなきゃ」は本当?

飲食店の開業本やネット記事を読むと、「原価率は30%以下にしましょう」と書いてあります。

それを信じて、全メニューを30%に揃えようとする方がいます。ラーメンのチャーシューを薄くしたり、パスタのチーズを減らしたり。でも、お客さんは気づきます。味が落ちたら来なくなります。

実は 「原価率30%」という数字に、科学的な根拠はありません。業態によって適正な数字はバラバラです。カフェと焼肉屋を同じ基準で測ること自体が無理な話なんです。


原価率の計算式(シンプルです)

原価率 = 材料費 ÷ 販売価格 × 100

たとえば1,200円のパスタ。材料費が360円なら:

360 ÷ 1,200 × 100 = 30%

計算は簡単です。問題は 「自分の店で何%が適正なのか」 を知ること。


業態によってこんなに違います

同じ飲食店でも、コスト構造がまるで違います。

業態原価率の目安なぜその数字になるか
カフェ・喫茶店20〜30%コーヒー豆の原価率は10〜15%と低い。でも家賃と人件費が売上の40%を超える店も多い
一般的なレストラン30〜35%最も一般的な基準。迷ったらここを目安に
ファストフード25〜32%大量仕入れで単価を下げ、回転率で利益を出すモデル
高級レストラン35〜45%プレミアム食材を使うが、客単価が高いのでマージンを確保できる
ラーメン店30〜38%スープの仕込みコストが意外と重い
デリバリー専門店28〜32%容器代とプラットフォーム手数料15〜25%が別途かかる

業態別の詳しい数字は → ラーメン店の原価ガイド寿司屋の原価ガイド も参考にしてください。

2025年、何が起きているか

お米の価格がCPI前年比**+70.9%**を記録しました。「令和の米騒動」と呼ばれるほどの異常な上昇です。猛暑による生産量減少とインバウンド需要の回復が重なった結果です。

総務省の消費者物価指数でも、2025年平均の食料は前年比**+6.8%**。食材コストは全体の物価上昇より速いペースで上がっています。

つまり、去年と同じメニュー・同じ価格で営業していたら、原価率は自動的に上がっているということです。

小規模店がまずやるべき3つのこと

  1. 直近3ヶ月の売上・材料費・人件費を実際の支出ベースで整理する
  2. デリバリー手数料・容器代・割引分は材料費と分けて計算する
  3. メニュー別の原価率よりも、まずプライムコストの推移を確認する

原価率よりも大事な数字がある

「原価率は問題ないのに、なぜか利益が残らない」

こういう相談はよくあります。原因はたいてい人件費です。

プライムコスト = 材料費 + 人件費

原価率が低くても、人件費が高ければ利益は出ません。だから プライムコスト55〜60%以下 を先に確認するのが正解です。

状態プライムコストどう判断する?
優良55%以下十分なマージンがある。投資の余力もある
良好55〜60%業界標準。現状維持で問題ない
注意60〜65%利益が薄い。食材費か人件費、どちらが高いか分析が必要
危険65%超赤字の可能性が高い。早急に見直しを

具体例で見てみましょう:

  • 原価率40%でも人件費15% → プライムコスト55%で健全
  • 原価率28%でも人件費40% → プライムコスト68%で危険

原価率の数字だけ見ていると、本当の問題を見逃します。

詳しい計算と管理方法は → プライムコスト完全ガイドをご覧ください。


原価率を下げる3つの方法

1. レシピの標準化 — 「だいたい」をやめる

「だいたいこのくらい」で調理していませんか?

その「だいたい」が原価のバラつきを生んでいます。Aさんが作ると原価350円、Bさんだと450円。同じメニューなのに100円も違う。1日50食出せば、月に15万円の差です。

材料の使用量をグラム単位で決めるだけで、この差がなくなります。

変更前変更後
玉ねぎ半分玉ねぎ80g
オリーブオイル適量オリーブオイル15ml
チーズひとつまみパルメザン10g

最初は面倒に感じるかもしれません。でも一度決めてしまえば、あとは量るだけです。

2. 歩留まり率 — ここを無視すると原価がズレる

野菜の皮、肉の脂身、魚の頭と骨。仕込みで食材は必ず減ります。

この減る分(ロス率)を計算に入れないと、原価が実際より低く見えてしまいます。

実際の単価 = 仕入れ価格 ÷ (重量 × 歩留まり率)

たとえば1kgで800円の鶏もも肉。皮と脂を取ると使えるのは85%だけ。

実際の単価 = 800 ÷ (1,000 × 0.85) = 0.94円/g

見た目の0.8円/gより17%高い。これが10品目で積み重なると、原価率が3〜5%ズレます。

詳しい計算方法は → ロス率計算ガイド

3. 仕込み品の管理 — ソースや出汁を「原価不明」にしない

トマトソース、豚骨スープ、自家製ドレッシング。こういう仕込み品の原価を把握していない店は多いです。

仕込み品をレシピとして登録して原価を計算すると、メニュー別の正確な原価が見えるようになります。調理時間の短縮と味の安定にも効果的です。

詳しくは → 仕込み品原価管理ガイド


実例:トマトパスタの原価計算

実際に1品の原価を計算してみましょう。

材料使用量単価原価
スパゲッティ100g2円/g200円
トマトソース(仕込み品)150g4円/g600円
オリーブオイル15ml6円/ml90円
にんにく10g3円/g30円
パルメザンチーズ10g15円/g150円
合計1,070円

販売価格でどう変わるか:

  • 1,500円で売る → 原価率71% ❌ 赤字
  • 2,500円で売る → 原価率43% ⚠️ 高め
  • 3,500円で売る → 原価率31% ✅ 適正

同じ原価1,070円のパスタでも、販売価格の設定で原価率は全く変わります。原価を下げることだけでなく、適正な価格設定も大事です。


原価管理、Excelでやっていませんか?

最初はExcelで始める方が多いです。それ自体は悪くありません。

でも3ヶ月もすると、更新しなくなります。食材の価格が変わるたびに、数十のレシピを手動で直す必要があるからです。仕入れ値が上がっても面倒で更新せず、気づいたら赤字メニューが増えていた——という話はよく聞きます。

レシピ原価計算アプリを使えば:

  • 食材の価格を1ヶ所変えるだけで、全レシピの原価が自動更新
  • 歩留まり率を反映した正確な原価を計算
  • 目標利益率から推奨販売価格を自動算出

最初の登録は手間がかかります。でも一度やれば、あとの管理がずっと楽になります。

材料費をまとめて管理したい方は、KitchenCostを無料でお試しください。


今すぐやること

  • 直近3ヶ月の売上・材料費・人件費を実支出ベースで整理する
  • 主力メニュー3品の原価率を計算する
  • プライムコスト(材料費+人件費)が60%以下か確認する
  • 原価率が高いメニューの使用量をグラム単位で標準化する

関連ガイド


まとめ

  1. 原価率 = 材料費 ÷ 販売価格。業種によって適正値は20〜45%とバラバラ
  2. 「30%にしなきゃ」は思い込み。自分の業態に合った基準を見つけることが先
  3. 原価率よりも プライムコスト(材料費+人件費)60%以下 が重要
  4. レシピ標準化、歩留まり計算、仕込み品管理 — この3つで原価をコントロール
  5. 2025年は米がCPI前年比+70.9%上昇。去年と同じ価格で売っていたら赤字になる

原価率の数字だけにこだわらないでください。全体のコスト構造を見て、自分の店に合った基準を見つけることが大切です。


参考資料

よくある質問

原価率30%は本当に正解?

業態と人件費次第です。カフェなら20〜30%、高級レストランなら35〜45%が目安。原価率だけでなく、プライムコスト(原価+人件費)が60%以下かどうかで判断するのが安全です。

原価率は税込で計算する?

税抜で計算します。消費税は預かり金であって売上ではないので、税込で計算すると原価率が低く見えてしまいます。

原価率はどれくらいの頻度で見直す?

月1回が基本です。ただし米価格がCPI前年比+70.9%を記録した2025年のように、主要食材が大きく動いたタイミングでは即見直しが必要です。

原価率が高いメニューは値上げすべき?

必ずしもそうではありません。原価率が高くても客寄せになるメニューはそのまま残し、サイドメニューやドリンクで利益を取るバランス型が現実的です。

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