「仕入れ値が上がっているのに、値上げするとお客さんが離れそうで…」
飲食店の96.0%が仕入れ価格の上昇に直面しています。2025年の飲食店倒産は1,002件で過去最多。値上げだけが解決策ではありません。価格を据え置きながら原価を下げる5つの方法を整理します。
要点まとめ
- レシピ標準化だけで食材費最大15%削減が可能
- ロス率を反映しないと原価を10〜15%低く見積もる
- 在庫管理で食材費2〜6%削減
- 取引先3社以上で価格交渉力とバックアップを確保
方法1:レシピの標準化(まずここから)
問題:「だいたいこれくらい」が原価を狂わせる
今日のパスタ原価:350円
明日のパスタ原価:450円
なぜこんなことが起きるのでしょうか?
厨房で「玉ねぎ半分」「オリーブオイル適量」と作っているからです。
手が大きい日は多く入り、忙しい日は適当に。原価が毎回変わります。実際、あるレストランでは看板メニューのリゾットに、レシピより25%も多くシーフードが入っていたことが後から発覚した例もあります。
解決策:グラム単位で決める
Before:
- 玉ねぎ半分
- オリーブオイル適量
- チーズ少々
After:
- 玉ねぎ 80g
- オリーブオイル 15ml
- パルミジャーノ 10g
どれくらい節約できる?
レシピ標準化だけで食材費を最大15%削減できるというデータがあります。値上げせずに利益率を改善する最も効果的な方法です。
| 材料 | 感覚で | 標準化後 | 削減 |
|---|---|---|---|
| オリーブオイル | 20ml | 15ml | 25% |
| チーズ | 15g | 10g | 33% |
| 玉ねぎ | 100g | 80g | 20% |
小さな差も積み重なれば、月末には大きな差になります。
方法2:ロス率を反映する(見えない損失)
問題:1kg買ったのに1kgない
玉ねぎを1kg買いました。でも皮をむいて根を切ると900gしか残りません。
この10%を計算に入れないと、原価が狂います。
材料別ロス率
| 材料 | ロス率 | 使用可能量 |
|---|---|---|
| 玉ねぎ | 10% | 90% |
| じゃがいも | 15% | 85% |
| にんじん | 10% | 90% |
| 魚(下処理前) | 40% | 60% |
| 牛肉(整形前) | 15% | 85% |
| 殻付きエビ | 35% | 65% |
実際の原価計算法
実際原価 = 仕入れ値 ÷ (重量 × (1 - ロス率))
例:玉ねぎ
- 仕入れ値:300円/kg
- ロス率:10%
- 実際原価:300 ÷ (1kg × 0.9) = 333円/kg
玉ねぎ80g使用時:
- 間違った計算:80g × 0.3円 = 24円
- 正確な計算:80g × 0.33円 = 27円
メニューごとに**10〜15%**も原価を低く見積もっていたことになります。
方法3:在庫管理(捨てる材料はお金です)
問題:冷蔵庫の奥にあるもの
冷蔵庫の奥でしなびた野菜、期限切れのソース…すべてお金です。
在庫ロスは数%でも利益を直撃します。発注や保管が乱れるとロスが一気に増えるため、まずは自店の実測から把握するのが安全です。
解決策:月3回の在庫チェック
毎月10日、20日、月末に在庫をチェックしましょう。
チェック項目:
- 賞味期限が近い材料 → メニューで優先的に使う
- 過剰在庫 → 次回発注量を調整
- 不足在庫 → 緊急発注を防ぐ(急ぐと高くなる)
在庫管理の効果
- 廃棄や過剰発注を減らすだけで、月次の原価が目に見えて安定します。
- ロス原因が見えると、発注量やメニュー構成の調整がしやすくなります。
方法4:メニューエンジニアリング(売れるほど儲かる構造に)
原価の高いメニューが売れると損
例:ある飲食店のメニュー別原価率
| メニュー | 原価率 | 月間販売数 | 評価 |
|---|---|---|---|
| ステーキ | 50% | 200個 | ⚠️ 売れるほど利益減 |
| パスタ | 28% | 150個 | ✅ 適正 |
| サラダ | 20% | 50個 | ✅ 良いが売れない |
| ドリンク | 15% | 80個 | ✅ 利益率良好 |
解決策:原価の低いメニューをもっと売る
戦略1:配置効果
- メニュー左上 = 最初に目が行く場所
- ここに原価の低いメニューを配置
戦略2:セットメニュー
ステーキ(原価50%) + サラダ(原価20%) + ドリンク(原価15%)
= セット原価率 約35%(ステーキ単品より15ポイント改善)
戦略3:数量限定原価の高いメニューは「1日20食限定」で販売数をコントロール
方法5:代替材料と仕入れ先の分散
材料を変える(品質を保ちながら)
| 現在 | 代替 | 削減効果 |
|---|---|---|
| 国産牛 | 豪州産牛 | 30〜40% |
| 輸入オリーブオイル | 国産代替油 | 30〜40% |
| 生クリーム | ホイップクリーム(一部メニュー) | 30% |
| 冷蔵エビ | 冷凍エビ(品質確認必須) | 20〜30% |
仕入れ先の分散
単一取引先のリスク:
- 急に値上げされても変えにくい
- 在庫切れの時に代替がない
推奨:3社以上の取引先を確保
- A社:主要取引先(ボリュームで価格交渉力)
- B社:一部品目(価格比較用)
- C社:緊急時用(バックアップ)
価格交渉のコツ
- 大量購入の約束:「毎週これだけ固定で買います」→ 単価引き下げ
- 支払い条件の調整:現金払い → 1〜3%割引
- 旬を活用:旬の食材は20〜30%安い
原価削減チェックリスト
今日できること
- よく使う材料5つの使用量を決める
- 冷蔵庫を整理して廃棄するものをチェック
- 2社の仕入れ先に同じ材料の見積もりを依頼
今週中にやること
- メニュー別の原価率を計算
- 原価の高いメニューTOP3を把握
- ロス率を反映して原価を再計算
今月の目標
- レシピ標準化(主力メニュー5つ以上)
- 在庫点検ルーティンを作る(月3回)
- メニュー構成を見直す(セットメニュー追加)
削減効果まとめ
| 方法 | 期待できる効果 |
|---|---|
| レシピ標準化 | 食材費最大15%削減 |
| ロス率反映 | 原価計算精度10〜15%改善 |
| 在庫管理 | 食材費2〜6%、仕入れ量10〜15%削減 |
| メニューエンジニアリング | 全体原価率の改善 |
| 仕入れ先分散 | 品目別20〜50% |
値上げせずとも利益を守ることは可能です。
今すぐやること
- よく使う材料5つの使用量をグラム単位で決める
- 冷蔵庫を整理して廃棄するものをチェックする
- 2社の仕入れ先に同じ材料の見積もりを依頼する
- メニュー別の原価率を計算する
関連ガイド
まとめ
- レシピ標準化が最優先 — グラム単位で決めれば原価のブレがなくなる
- ロス率を反映しないと — 原価を10〜15%低く見積もっている
- 在庫管理だけでも — 食材費削減+仕入れ量減少
- 原価の低いメニューを売れるようにする(セット、配置、限定)
- 取引先3社以上で価格交渉力とバックアップを確保
仕入れ値が上がったからといって、値上げだけが答えではありません。まず内部のムダを止めれば、思ったより多く残ります。
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