からあげ専門店はコロナ禍以降、急速に増えました。テイクアウトとの相性が良く、省スペースで開業できることから、飲食店開業の人気業態となっています。
しかし、からあげ1個あたりの原価と利益を正確に計算したことはありますか?数字で徹底的に分析します。
要点まとめ
- からあげ1個の原価は約30〜50円(原価率30〜50%)
- デリバリー手数料を引くと利益はほぼ残らない
- 黒字化には1日300個以上+客単価アップが必要
- 成功するお店はテイクアウト中心+弁当・セット販売で利益確保
からあげ1個の原価
からあげ1個(約40~60g)の材料費を計算してみましょう。
| 材料 | 原価 |
|---|---|
| 鶏もも肉(40~60g) | 25~40円 |
| 小麦粉・片栗粉・衣 | 3~5円 |
| 調味料(醤油・にんにく・生姜など) | 2~3円 |
| 油代 | 3~5円 |
| 合計 | 33~53円 |
1個100円で販売する場合:
原価率 = (40円 ÷ 100円) × 100 = 約40%
からあげ弁当(からあげ5個+ご飯・副菜)の場合:
| 材料 | 原価 |
|---|---|
| からあげ5個 | 200円 |
| ご飯 | 40円 |
| 副菜・漬物 | 30円 |
| 容器・箸 | 20円 |
| 合計 | 約290円 |
600円で販売すれば原価率は約48%。飲食店の目標原価率30%と比べると高めです。
見落としがちなコスト
1. デリバリー手数料
Uber Eats、出前館などのデリバリーサービスを利用すると:
| 項目 | 割合・金額 |
|---|---|
| 手数料 | 売上の30~40% |
| 決済手数料 | 約3% |
600円の弁当をデリバリーで販売した場合(手数料35%):
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 販売価格 | 600円 |
| 材料費 | 290円 |
| デリバリー手数料(35%) | 210円 |
| 決済手数料(3%) | 18円 |
| 残り | 82円 |
利益率わずか約14%。これでは経営が成り立ちません。
店頭販売・テイクアウトの場合:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 販売価格 | 600円 |
| 材料費 | 290円 |
| 決済手数料(3%)* | 18円 |
| 残り | 292円 |
*現金払いの場合は決済手数料なし
同じ商品でも販売チャネルで利益が3倍以上変わります。
2. 固定費(毎月かかるコスト)
| 項目 | 月額目安 |
|---|---|
| 家賃(10坪程度) | 10~20万円 |
| 人件費(パート1~2名) | 15~30万円 |
| 水道光熱費 | 3~5万円 |
| 広告費 | 3~6万円 |
| 消耗品 | 2~3万円 |
| 減価償却費 | 3~5万円 |
| 合計 | 約40~70万円 |
*2025年10月時点の最低賃金全国平均1,121円、東京1,226円を基準
実際にいくら残るか?現実的な計算
前提:1日200個販売、平均単価100円
月売上 = 200個 × 100円 × 30日 = 60万円
テイクアウト80% + デリバリー20%の場合:
| 販売チャネル | 日販数 | 1個あたり利益 | 月利益 |
|---|---|---|---|
| テイクアウト | 160個 | 50円 | 24万円 |
| デリバリー | 40個 | 14円 | 1.7万円 |
| 月合計 | 約25.7万円 |
固定費50万円を差し引くと:
オーナー収入 = 25.7万円 - 50万円 = -24.3万円(赤字)
200個/日では赤字です。業界では**「200個でトントン、300個以上で黒字安定」**が現実的なラインとされています。
黒字化に必要な販売数
1日300個販売、テイクアウト中心で計算:
月売上 = 300個 × 100円 × 30日 = 90万円
粗利 = 300個 × 50円 × 30日 = 45万円
オーナー収入 = 45万円 - 50万円 = -5万円
まだ赤字です。客単価を上げることが重要になります。
弁当+サイドメニューで客単価600円の場合:
月売上 = 50食 × 600円 × 30日 = 90万円
粗利 = 50食 × 300円 × 30日 = 45万円
同じ90万円でも、弁当販売なら50食で達成できます。
なぜ利益が出にくいのか
問題1:デリバリー依存
デリバリー比率が高いと、手数料で利益が消えます。テイクアウト主体のビジネスモデルが重要です。
問題2:仕入れ価格の上昇
帝国データバンクの調査によると、飲食店の96.0%が仕入れ価格上昇に直面しています。2025年の飲食店倒産は1,002件で過去最多、初の1,000件超えです。
問題3:競合の増加
からあげ専門店は参入障壁が低いため、競合が増えやすい業態です。差別化が難しくなっています。
利益を出すからあげ店の特徴
1. テイクアウト比率を上げる
- 店頭での声かけ、チラシ配布
- LINE公式アカウントでリピーター確保
- 近隣オフィスへの営業
2. 客単価アップの工夫
| 商品構成 | 原価 | 販売価格 | 利益 |
|---|---|---|---|
| からあげ5個 | 200円 | 500円 | 300円 |
| からあげ弁当 | 290円 | 650円 | 360円 |
| からあげ定食 | 320円 | 780円 | 460円 |
| ファミリーパック(15個) | 600円 | 1,280円 | 680円 |
単品より弁当、弁当より定食、ファミリーパックの方が1取引あたりの利益が大きくなります。
3. 高利益率サイドメニュー
| サイドメニュー | 原価率 |
|---|---|
| ポテトフライ | 20~25% |
| コールスロー | 15~20% |
| 味噌汁 | 10~15% |
| ドリンク | 15~20% |
サイドメニューは原価率が低いので、セット販売で全体の利益率が向上します。
開業前の損益分岐点計算
必要売上の計算方法
必要売上 = 固定費 ÷ (1 - 変動費率)
例:固定費50万円、変動費率55%(材料費+手数料)
必要売上 = 50万円 ÷ 0.45 = 約111万円/月
1日約3.7万円 = からあげ370個 または 弁当60食
オーナー給与30万円を確保するには:
必要売上 = (50万円 + 30万円) ÷ 0.45 = 約178万円/月
1日約6万円 = からあげ600個 または 弁当100食
今すぐやること
- からあげ1個あたりの原価を計算する(油代込み)
- デリバリー比率と手数料を確認する
- 損益分岐点(必要販売数)を計算する
- セットメニューで客単価アップを設計する
関連ガイド
まとめ
- からあげ1個の原価は約30~50円(原価率30~50%)
- デリバリー手数料を引くと利益はほぼ残らない
- 黒字化には1日300個以上+客単価アップが必要
- 成功するお店はテイクアウト中心+弁当・セット販売で利益確保
開業前に、必ず数字でシミュレーションしてください。「なんとかなる」という楽観は最も危険です。
メニューごとの原価を正確に計算したい方はKitchenCostをお試しください。無料です。
参考資料
- 【開業の基礎】からあげ屋は一日何個売れば儲かるか? - note
- 飲食店の原価率、目安30%はもう古い? - funfo
- 飲食店の96.0%が仕入れ価格上昇に直面 - Growth Compass
- フランチャイズのからあげ屋の標準的な年収 - フランチャイズ加盟募集.net