ケータリングは「まとまった売上が入る」一方で、人件費・配達・設営・容器代が重く、食材原価だけで判断すると赤字になりやすい業態です。
1人あたりコスト設計の考え方と、利益が残る価格の作り方を具体例で整理します。
要点まとめ
- 食材だけでなく人件費・配送費・容器代を必ず含める
- 原価率は案件の不確実性に合わせて低め設定が安全
- 最低発注金額と配送費を明記して利益を守る
- 価格改定は「次の案件から」即適用
ケータリングの原価構造
ケータリングの実質原価は、食材だけではありません。
- 食材費:メイン、サイド、デザート
- 人件費:仕込み、盛り付け、配送、設営
- 物流費:配送車両、駐車、燃料
- 容器・備品:トレー、蓋、カトラリー、保温材
- ロス:予備分、持ち帰り不可の廃棄
「食材原価30%」だけで価格を決めると、人件費で赤字になりやすいのが現実です。
目標原価率の目安
| タイプ | 目標原価率 | 理由 |
|---|---|---|
| 企業向けランチBOX | 30〜38% | 容器コストが重い |
| ビュッフェ(設営あり) | 28〜35% | 人件費が増える |
| ドロップケータリング | 25〜32% | 設営なしで効率化 |
重要:人件費が読めない案件ほど、原価率は低めに設定します。
基本式:1人あたり価格を作る
1人あたり価格 = (総原価 + 目標利益) / 参加人数
総原価には「食材」「容器」「人件費」「配送」をすべて含めます。
例:30名の法人ランチ(1人 1,800円設定)
前提(例):
- 料理:メイン1品+サイド2品+デザート
- 配達:片道15分
- 設営なし(ドロップ)
| 項目 | 合計 | 1人あたり |
|---|---|---|
| 食材費 | 18,000円 | 600円 |
| 容器・資材 | 5,400円 | 180円 |
| 人件費(仕込み+配達) | 12,000円 | 400円 |
| 配送費(車両・燃料) | 3,000円 | 100円 |
| ロス(予備分) | 3,000円 | 100円 |
| 総原価 | 41,400円 | 1,380円 |
販売価格:1人 1,800円
1,380 / 1,800 = 76.6%(実質コスト率)
この案件の利益は1人あたり420円、合計12,600円になります。
価格を守るための実務ポイント
1. 最低発注金額を設定する
- 目安:30,000〜50,000円
- 小口案件は配送・人件費が割に合わない
2. 配送費を明記する
基本配送費:1,500円
10km超:+1kmあたり150円
「無料配送」は利益を削りやすいので、明確に別料金にします。
3. メニューは「低原価+高満足」の構成にする
- 低原価:パスタ、ライス、根菜
- 中原価:鶏むね、豚ロース
- 高原価:牛肉、海鮮
低原価ゾーンの比率を増やすことで、平均原価を抑えられます。
人数別の仕込み係数(目安)
人数が増えるほど「少しだけ多く作る」が重要です。
| 人数 | 仕込み係数 | 理由 |
|---|---|---|
| 10〜30名 | 1.08 | 予備が必要 |
| 31〜80名 | 1.05 | 廃棄を抑える |
| 81名以上 | 1.03 | 量でブレを吸収 |
「常に1.10で作る」より、人数に合わせた係数で原価を守ります。
受注時に必ず聞くべき項目
- 参加人数と年齢層
- 提供方法(ビュッフェ / BOX / 個別)
- 設営の有無と開始時間
- アレルギー対応の有無
- ゴミ回収や備品の回収有無
これらが曖昧だと、人件費とロスが膨らみます。
よくある失敗
- 人数に対して作りすぎて廃棄が発生
- 配送距離を見落として赤字化
- 追加要望(紙皿・保冷材)を無料対応
週次チェックリスト
- 1人あたり原価の推移
- 配送費の実績と見積の差
- 人件費の実績と予定の差
- ロス率(予備分)の見直し
- 最低発注金額の妥当性
人数別・価格目安(ざっくり)
実際は地域・メニューで大きく変わりますが、目安の価格帯を持つと判断が早くなります。
| 人数 | ライト(ドロップ) | スタンダード | フル(設営あり) |
|---|---|---|---|
| 10〜30名 | 1,200〜1,600円 | 1,600〜2,200円 | 2,200〜2,800円 |
| 31〜80名 | 1,100〜1,500円 | 1,500〜2,000円 | 2,000〜2,600円 |
| 81名以上 | 1,000〜1,400円 | 1,400〜1,900円 | 1,900〜2,500円 |
よくある質問
Q1. 人数が直前で変わる場合は?変更期限を明記し、期限後はキャンセル料を設定します。
**Q2. 料理の持ち帰りはOKにすべき?**衛生とロスの観点から、持ち帰りルールを事前に提示します。
Q3. 食材価格が急騰したら?次回見積からスライド条項を入れて価格調整します。
2025年の食料インフレを考慮する
総務省統計局のCPI(2025年平均・2020年基準)では、食料が前年比+6.8%。
ケータリングは大量仕込みが多いため、数%の上昇がそのまま利益を削る構造です。
仕入価格が動いたら、次の案件から即反映するのが安全です。
まとめ:ケータリングで利益を残すポイント
- 食材だけでなく人件費・配送費・容器代を必ず含める
- 原価率は案件の不確実性に合わせて低め設定
- 最低発注金額と配送費を明記する
- 価格改定は「次の案件から」即適用
今すぐやること
- 直近3件の1人あたり原価を計算する
- 配送費の実績と見積の差を確認する
- 最低発注金額を設定(または見直し)する
- 人数別の仕込み係数を決める
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出典
大量注文ほど原価のブレが利益に直撃します。
KitchenCostで、人数・仕込み量に合わせた原価計算を自動化できます。