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カフェメニューの原価計算 - アメリカーノ1杯の本当のコストは?

カフェメニューの実際の原価を計算する方法。エスプレッソドリンクからスムージーまで、多くのオーナーが見落とす隠れたコストを分析します。

更新 2026年2月18日
カフェ原価計算喫茶店コーヒー
目次

「コーヒー豆1kgで50杯、1杯あたり60円…300円で売れば240円の利益!」

カフェを開こうと思ったとき、誰でもこういう計算をします。数字の上ではすごく儲かる。でも実際にお店を始めると、「あれ、思ったより残らない」となるのがカフェの現実です。

なぜかというと、コーヒー豆の原価しか見ていないからです。

2025年の飲食店倒産は1,002件で過去最多、初の1,000件超えです(帝国データバンク調べ)。倒産の88.4%が資本金1千万円未満の小規模店。コーヒー豆のアラビカ種は国際相場が前年比80%以上上昇し、飲食店の96.0%が仕入れ価格の上昇に直面しています。一方で、コンビニコーヒー(100〜200円台)や大手チェーンとの競合があるため、簡単には値上げできない——そんな板挟みの状態です。

だからこそ、1杯の「本当の原価」を正確に把握することが、カフェの生き残りに直結します。


要点まとめ

  • アメリカーノの本当の原価は約110円(55円ではない)
  • カフェの適正原価率は25〜35%
  • 容器・カード手数料・ロスまで計算に含める
  • 代替ミルクには50円以上の追加料金が必要

よくある「間違った原価計算」

やりがちな計算

コーヒー豆1kg = 3,000円
1杯に18g使用
→ 約55杯 = 1杯あたり約55円

300円で販売
→ 245円の利益!

この計算が間違っている理由を、ひとつずつ見ていきます。

  • ミルク、シロップ、カップ、フタ、ストローが入っていない
  • クレジットカード手数料(3〜4%)が入っていない
  • こぼした分、古くなった豆、作り直しの分が入っていない
  • 設備の減価償却費が入っていない

「豆代」だけで計算するのは、食材費だけで料理の原価を出すようなものです。実際に1杯を提供するために必要な「全部のコスト」を足していくと、原価はかなり変わります。


本当の原価を計算してみる——アメリカーノの場合

直接材料費

項目使用量単価原価
コーヒー豆18g3円/g54円
浄水200ml0.05円/ml10円
テイクアウトカップ1個15円15円
フタ1個8円8円
ストロー1本3円3円
スリーブ1個5円5円
小計95円

見えにくいコストを足す

項目コスト
直接材料費95円
カード手数料(3.5%)11円
豆のロス(5%)3円
実際の原価約110円

300円のアメリカーノの原価率は約37%

「豆代55円」だけで計算した場合と、倍近い差があります。この差に気づいていないと、「売上は順調なのに、なぜか残らない」という状態になります。


人気メニューの原価を比べてみる

カフェラテ(販売価格450円の場合)

項目原価
エスプレッソ54円
ミルク 200ml40円
カップ/フタ/スリーブ28円
カード手数料16円
合計138円

原価率: 31% — 適正範囲です。

バニララテ(販売価格550円の場合)

項目原価
エスプレッソ54円
ミルク 180ml36円
バニラシロップ 20ml30円
カップ/フタ/スリーブ28円
カード手数料19円
合計167円

原価率: 30% — カフェラテとほぼ同じ。シロップが追加されるぶん販売価格を上げているので、原価率はちゃんと維持できています。

ストロベリースムージー(販売価格600円の場合)

項目原価
冷凍いちご 100g120円
ミルク 100ml20円
ヨーグルト 50g40円
砂糖/氷10円
カップ/フタ23円
カード手数料21円
合計234円

原価率: 39% — やや高め。フルーツ系メニューは食材費が高くなりがちです。

ケーキ1ピース(販売価格600円の場合)

項目原価
ケーキ原価(8ピース分割)250円
包装/皿/フォーク20円
カード手数料21円
合計291円

原価率: 49% — かなり高いです。

ケーキやスイーツは単体だと利益が薄い。だから「ドリンク+ケーキセットで100円引き」のようにセットメニューで出すのが鉄則です。セットにすることで客単価が上がり、ドリンクの利益でケーキの高原価率をカバーできます。


カフェ原価管理で見落としやすい3つのこと

1. シロップは「1プッシュいくら」で管理する

バニラシロップ1本の値段を知っているだけでは足りません。1杯のラテに何ml入れるかで原価が変わるからです。

バニラシロップ 750ml = 1,500円
1プッシュ = 10ml
→ 1プッシュあたり20円

ラテに2プッシュ入れたら、シロップだけで40円。スタッフによって3プッシュ入れる人がいると、年間で相当な差になります。ポンプ1プッシュの量を統一するだけで、原価が安定します。

2. 代替ミルクの追加料金が足りていない

ミルクの種類1L価格200ml原価通常牛乳との差額
普通牛乳200円40円
低脂肪牛乳240円48円+8円
ソイミルク280円56円+16円
アーモンドミルク450円90円+50円
オーツミルク500円100円+60円

オーツミルクへの変更で原価が60円上がるのに、追加料金が30円では赤字です。最低50円、できれば80〜100円の追加料金が必要です。

しかも2025年8月からは生乳価格が約3%引き上げられるため、通常の牛乳も含めて乳製品全体のコストが上がります。

3. 店内利用とテイクアウトで原価が違う

陶器のマグカップで提供すれば、1杯あたり約28円の使い捨て容器コストが丸ごと浮きます。

「店内利用は10円引き」にしても18円の利益が残る計算。お客さんにも喜ばれるし、原価も下がる。win-winです。


カフェのコスト構造を理解する

カフェの適正原価率は**25〜35%**ですが、原価率だけで経営の良し悪しは決まりません。全体のコスト構造を理解しておくことが大事です。

一般的なカフェのコスト構造例(月商300万円)

食材原価 30% = 90万円
人件費  35% = 105万円
家賃   12% = 36万円
その他経費 13% = 39万円
────────────────────
純利益  10% = 30万円

月商300万円のカフェで純利益30万円——これがカフェの現実です。原価率を1%下げるだけで月3万円、年間36万円の差が出ます。だから1杯1杯の原価を正確に把握する意味があるんです。


メニュー価格の決め方

計算はシンプルです。

目標原価率から逆算する

販売価格 = 原価 ÷ 目標原価率

原価150円、目標原価率30%の場合:

販売価格 = 150 ÷ 0.30 = 500円

ただし、500円が地域の相場と合っているかは別の話です。総務省「小売物価統計調査」で地域の喫茶店コーヒー価格を確認しておくと、自分の価格設定が妥当かどうか判断しやすくなります。


2025〜2026年、カフェの原価は上がり続ける

いま、カフェのコストを押し上げている要因をまとめておきます。

  • コーヒー豆 — アラビカ種の国際相場が前年比80%以上上昇。2024年度の国内仕入れ価格は平均15〜30%上昇
  • 牛乳 — 2025年8月から生乳価格が約3%引上げ。2020年以降、飲用向け生乳価格は計24円/kg値上げ
  • 乳製品 — 2025年8月に265品目が価格改定
  • コンビニコーヒーとの競合 — 100〜200円台のコーヒーがあるため、大幅な値上げが難しい

この環境で利益を守るには、「値上げ」だけではなく、原価を正確に把握して無駄を削ることが先決です。


今すぐやること

  • 主力ドリンク3品の原価を再計算する(容器・カード手数料込み)
  • シロップ1プッシュあたりの原価を出す
  • 代替ミルクの追加料金が原価をカバーしているか確認する
  • 店内利用とテイクアウトの原価差を把握する
  • コーヒー豆の仕入れ価格が半年前と変わっていないかチェックする

参考資料


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関連ガイド:

よくある質問

カップやフタの費用は原価に入れるべきですか?

必ず入れてください。テイクアウト用のカップ(15円)+フタ(8円)+スリーブ(5円)で1杯あたり約28円。月に2,000杯出るカフェなら、容器代だけで月5.6万円です。店内利用のお客様を陶器マグで提供すれば、その分がまるごと浮きます。

アイスドリンクはホットより安く設定すべきですか?

いいえ。アイスは氷で量が増えるように見えますが、容器コスト(ストロー追加で3〜5円増)と作業工程は変わりません。むしろアイスのほうが容量の大きいカップを使うため、容器代が高くなるケースもあります。同じ価格か、やや高めの設定が適正です。

代替ミルク(オーツ・アーモンド)の追加料金はいくらが適正ですか?

最低50円、できれば80〜100円の追加が必要です。通常の牛乳は200mlあたり約40円ですが、オーツミルクは約100円、アーモンドミルクは約90円。差額だけで50〜60円あるので、50円以下の追加料金では赤字になります。

カフェの原価率は何%が適正ですか?

ドリンク中心なら25〜30%、フード比率が高い場合は30〜35%が目安です。ただし2025年以降はコーヒー豆の国際相場が前年比80%以上上昇しており、牛乳も2025年8月から約3%の値上げが決まっています。半年に1回は原価率を再計算しましょう。

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