要点まとめ
- デザートは利益率ではなく客単価向上効果で評価する(コーヒー+ケーキで客単価2.4倍)
- ケーキ1ピースの実際の原価は材料費+包装材+電気代+ロス分で250〜400円程度
- クッキー・焼き菓子は原価率18〜25%の高利益アイテム
- 生フルーツデザートは季節によって原価が2倍近く変動するので注意
カフェデザートの原価計算
「ケーキ1ピース650円ですか?」
お客様がメニューを見て驚く表情。カフェやベーカリーを経営していると、よく見る光景です。
実際、ケーキ1ピースを作るのにいくらかかるのでしょうか?材料費だけ見ると「儲かりそう」と思いがちですが、隠れたコストまで考えると話は変わります。
コーヒー vs デザート、どちらが儲かる?
「ドリンクよりデザートの方が利益が出る」と思っている方も多いです。
| メニュー | 販売価格 | 材料費 | 原価率 | 利益 |
|---|---|---|---|---|
| アメリカーノ | 450円 | 35円 | 8% | 415円 |
| ケーキ1ピース | 650円 | 250円 | 38% | 400円 |
利益率だけ見るとコーヒーが圧倒的です。 しかしデザートの役割は違います。
ケーキを注文するお客様は、ほとんどの場合ドリンクも一緒に注文します。
デザートなし:450円(コーヒーのみ)
デザートあり:1,100円(コーヒー+ケーキ)
客単価2.4倍アップ
デザートは利益率ではなく、客単価向上効果で評価すべきです。
ケーキ原価計算:2025年価格基準
帝国データバンクの調査によると、2025年のケーキ原材料は大幅に値上がりしています。イチゴは前年比10〜30%、カカオは30%以上の高騰となっています。
例1:チョコレートケーキ(4号、6切れ)
材料費(2025年小売価格基準)
| 材料 | 必要量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 薄力粉 | 200g | 0.4円/g | 80円 |
| 砂糖 | 150g | 0.3円/g | 45円 |
| バター | 100g | 3円/g | 300円 |
| 卵 | 4個 | 35円/個 | 140円 |
| ココアパウダー | 30g | 3円/g | 90円 |
| 生クリーム | 300ml | 1.2円/ml | 360円 |
| チョコレート | 100g | 4円/g | 400円 |
| 材料費合計 | 1,415円 |
1ピースあたりの材料費:
1,415円 ÷ 6ピース = 236円/ピース
隠れたコストを含めると:
| 項目 | 1ピースあたり |
|---|---|
| 材料費 | 236円 |
| 包装材(皿、フォーク) | 20円 |
| ケーキ箱(按分) | 15円 |
| 電気代(オーブン、冷蔵) | 20円 |
| ロス(失敗、廃棄)15% | 45円 |
| 実際の原価 | 約335円 |
販売価格650円の場合:
原価率 = 335 ÷ 650 = 51.5%
⚠️ これは少し高めです。カフェ経営の一般的な目安では、ケーキの原価率は30〜40%が理想とされています。価格設定の見直しが必要かもしれません。
700円で販売した場合:
原価率 = 335 ÷ 700 = 47.9%
利益 = 365円
例2:バスクチーズケーキ(4号、6切れ)
| 材料 | 必要量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| クリームチーズ | 400g | 1.8円/g | 720円 |
| 砂糖 | 150g | 0.3円/g | 45円 |
| 卵 | 4個 | 35円/個 | 140円 |
| 生クリーム | 200ml | 1.2円/ml | 240円 |
| 薄力粉 | 20g | 0.4円/g | 8円 |
| 材料費合計 | 1,153円 |
1ピースあたり材料費:1,153 ÷ 6 = 192円
+ 隠れたコスト:75円
= 実際の原価:約270円/ピース
バスクチーズケーキは材料がシンプルで、原価管理がしやすいケーキです。
例3:いちごショートケーキ(季節変動注意)
シーズンによって原価が大きく変わります。
小売物価統計調査によると、2025年11月のケーキ価格は消費者物価指数で前年比8.9ポイント上昇しています。
| 材料 | 必要量 | 旬(1〜4月) | 旬外(7〜9月) |
|---|---|---|---|
| スポンジケーキ | 1台 | 300円 | 300円 |
| 生クリーム | 500ml | 600円 | 600円 |
| いちご | 300g | 500円 | 1,200円+ |
| 砂糖 | 50g | 15円 | 15円 |
| 合計 | 1,415円 | 2,115円+ |
旬(1〜4月)1ピース:約310円
旬外(7〜9月)1ピース:約430円+
⚠️ 旬外のいちごショートケーキは原価率が50%を超えやすいです。季節メニューとして運営するか、他のフルーツに切り替えるのが現実的です。
クッキー・焼き菓子:高利益アイテム
チョコチップクッキー(20枚分)
| 材料 | 必要量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| バター | 150g | 3円/g | 450円 |
| 砂糖 | 100g | 0.3円/g | 30円 |
| 薄力粉 | 200g | 0.4円/g | 80円 |
| 卵 | 1個 | 35円 | 35円 |
| チョコチップ | 100g | 2.2円/g | 220円 |
| ベーキングパウダー | 5g | 1円/g | 5円 |
| 合計 | 820円 |
1枚あたり材料費:820 ÷ 20 = 41円
+ 包装材、電気代:20円
= 実際の原価:約60円/枚
販売価格280円の場合:
原価率 = 60 ÷ 280 = 21.4% ✅
利益 = 220円
クッキーや焼き菓子は**原価率20〜25%**で、カフェの利益を支える商品です。
デザート別目標原価率
| デザート | 目標原価率 | 特徴 |
|---|---|---|
| クッキー・焼き菓子 | 18〜25% | 大量生産、日持ちする |
| パウンドケーキ | 20〜28% | 材料シンプル、安定 |
| マフィン | 20〜28% | トッピングで変動 |
| チーズケーキ | 28〜35% | クリームチーズのコスト |
| 生クリームケーキ | 32〜42% | 生クリーム、デコレーション |
| フルーツケーキ | 35〜48% | 季節変動大 |
| マカロン | 25〜32% | 失敗率を考慮 |
スイーツの原価率解説によると、一般的にFLコスト(材料費+人件費)は55〜60%が健全な水準とされています。
隠れたコストチェックリスト
原価計算で見落としがちな項目:
1. 包装材
| 項目 | 単価 |
|---|---|
| ケーキプレート | 5〜15円 |
| ケーキ箱(ホール) | 80〜200円 |
| クッキー袋 | 3〜10円 |
| リボン・シール | 5〜15円 |
| フォーク | 3〜8円 |
2. 電気代
月間ベーキング機器の電気代:
- オーブン:1,500〜3,000円
- 冷蔵ショーケース:1,200〜2,000円
- 冷凍庫:1,000〜1,800円
- ミキサー:500〜1,000円
→ 月4,000〜8,000円、月間生産量で割って計算
3. 廃棄・ロス
失敗した商品:5〜10%
消費期限切れ:5〜10%
試食・サービス:3〜5%
─────────────────────
平均ロス率:13〜25%
このロス分を原価に反映しないと、「思ったより利益が出ない」という結果になります。
価格設定の公式
基本公式
推奨販売価格 = (材料費 + 隠れたコスト) ÷ 目標原価率
例:
実際の原価335円、目標原価率40%
販売価格 = 335 ÷ 0.4 = 838円
→ 800円または850円で販売
メニュー構成戦略
利益を出すメニューミックス:
高利益メニュー(売上の60〜70%):
- クッキー、ブラウニー、マフィン
- 原価率18〜25%
中利益メニュー(売上の20〜30%):
- チーズケーキ、タルト
- 原価率28〜35%
シグニチャーメニュー(売上の10〜15%):
- 生クリームケーキ、季節限定
- 原価率35〜45%
- SNS映え、ブランディング用
季節別メニュー戦略
| 季節 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 春(3〜5月) | いちご、桜 | いちご旬、視覚的効果 |
| 夏(6〜8月) | マンゴー、桃 | トロピカルフルーツ旬 |
| 秋(9〜11月) | さつまいも、栗 | 材料費安定、保存しやすい |
| 冬(12〜2月) | チョコレート、抹茶 | 生フルーツ高騰を回避 |
現実的なアドバイス
1. レシピの標準化
「バター適量」→「バター150g(無塩、室温)」
計量が一定でないと、原価も一定になりません。
2. 大量購入の落とし穴
| 材料 | 少量 | 大量 | 節約率 |
|---|---|---|---|
| 薄力粉1kg | 400円 | 280円 | 30% |
| バター450g | 1,400円 | 1,100円 | 21% |
ただし、消費期限内に使い切れるかを先に計算してください。廃棄すると節約効果はゼロです。
3. 既製品の活用
自作より買った方がいい場合:
- スポンジケーキ:品質が安定、失敗リスクなし
- フィリング・ソース:少量メニュー向け
関連ガイド
まとめ
- ケーキ1ピースの実際の原価は、材料費+包装材+電気代+ロス分を含める必要がある
- 2025年基準でケーキ1ピースの原価は250〜400円程度
- クッキー・焼き菓子は原価率18〜25%の高利益アイテム
- 生フルーツデザートは季節によって原価が2倍近く変動
- 隠れたコスト**15〜25%**を必ず反映して、本当の利益を把握する
デザートごとの正確な原価と販売価格を計算したい方は、KitchenCostアプリをお試しください。材料を入力すると、1ピースあたりの原価と推奨販売価格を自動計算します。
今すぐやること
- 看板デザートの材料費を計算する
- 隠れたコスト(包装材、電気代、ロス)を加算する
- 目標原価率(30〜40%)で販売価格を再設定する
- 高利益アイテム(クッキー、焼き菓子)の比率を増やす