ハンバーガーは「原価が安い」と思われがちです。
パティ120g、バンズ、レタス、トマト。材料はシンプル。ところが実際に利益を圧迫しているのは、パティの焼き縮みと、トッピング・コンボの積み重ねです。
生パティ120gは焼くと95gになる。歩留まり79%。この20%の縮みを原価に反映していないと、毎月数万円の計算ズレが起きます。
さらにコンボセット。ポテトとドリンクをつけると、バーガー単品より100円以上原価が上がる。割引まで入れると、原価率が30%を軽く超えることもあります。
ハンバーガー店の利益管理は、パティの歩留まりとコンボの価格設計で決まります。
まとめ
- パティは生重量ではなく歩留まり補正後の重量で原価を出す
- バーガー1個の原価は約293円。コンボにすると398円に跳ね上がる
- トッピングは利益の柱。原価の2.5〜4倍で価格設定する
- ポテトの提供量を計量しないと原価が1.2〜1.5倍にブレる
- 包材コスト(紙袋・包み紙)はテイクアウト比率で変動する
チーズバーガー1個の原価を分解する
例:チーズバーガー単品(税抜1,200円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| パティ(合挽き) | 120g(生) | 152円 |
| バンズ(ブリオッシュ) | 1個 | 45円 |
| スライスチーズ | 1枚 | 28円 |
| レタス + トマト | 各1枚 | 25円 |
| ピクルス | 3枚 | 8円 |
| ソース(BBQ系) | 20g | 15円 |
| 包材(紙袋・包み紙) | — | 20円 |
| 合計 | 293円 |
原価率:293 ÷ 1,200 = 24.4%
※ パティ原価は歩留まり79%を反映済み(生120g × 1円/g = 120円 ÷ 0.79 = 152円)。合挽き肉は100gあたり100円(業務用)で計算。
24.4%は飲食店の目安(30〜35%)よりかなり低い。バーガー単品は利益率が高い商品です。ただし、コンボにした瞬間にこの数字は変わります。
パティの歩留まり計算
パティの原価計算で最も多い間違いは、生重量のまま計算すること。
肉種別の歩留まり目安
| パティの種類 | 生重量 | 焼成後 | 歩留まり | 100gあたり原価 | 120gの実原価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 合挽き(牛7:豚3) | 120g | 95g | 79% | 100円 | 152円 |
| 牛100% | 120g | 90g | 75% | 130円 | 208円 |
| 粗挽き牛100% | 150g | 112g | 75% | 140円 | 280円 |
牛100%パティは味が良いけれど、歩留まりが低く原価も高い。合挽きと比べると1個あたり56円の差。1日50食で月間7万円以上の差になります。
歩留まりが下がる原因
- 脂肪率が高い肉を使っている(脂が多いほど縮む)
- 焼き温度が高すぎる(急激に縮んで肉汁が出る)
- プレス器で押しつぶしている(ジューシーさと重量の両方が失われる)
対策:週に1回、ランダムに5個のパティの焼成前後の重量を量る。 歩留まりが75%を下回ったら、肉の配合か焼き方を見直す。
コンボセットの原価設計
ここがハンバーガー店の利益の分かれ目です。
コンボの原価内訳
| 項目 | 原価 | 備考 |
|---|---|---|
| チーズバーガー | 293円 | 上記の通り |
| ポテト(冷凍・120g) | 65円 | フライドポテト |
| ドリンク(原液+カップ) | 30円 | ディスペンサー |
| 追加包材(紙袋・ストロー) | 10円 | テイクアウト |
| コンボ合計 | 398円 |
コンボの価格設定パターン
| 価格設定 | コンボ価格 | 原価率 | 粗利 |
|---|---|---|---|
| 単品合計そのまま | 1,600円 | 24.9% | 1,202円 |
| コンボ割引100円 | 1,500円 | 26.5% | 1,102円 |
| コンボ割引200円 | 1,400円 | 28.4% | 1,002円 |
| コンボ割引300円 | 1,300円 | 30.6% | 902円 |
割引を300円つけると原価率が30%を超える。「コンボでお得感を出す」のは戦略として正しいけれど、割引幅は150円以内が安全圏です。
ポテトの量が利益を左右する
ポテトは盛り方で原価がブレやすい代表的な食材です。
手掴みでポテト容器に入れた場合:
スタッフA → 100g(54円)
スタッフB → 140g(76円)
スタッフC → 160g(87円)
差額:33円/食。1日50食で1,650円、月に約42,000円
対策:計量カップまたはスクープを使い、ポテトは120gに固定する。 Sサイズ80g、Mサイズ120g、Lサイズ160gのようにサイズ別に計量器具を決める。
トッピングの価格設計
トッピングはハンバーガー店の利益の柱です。原価が低くて売価を高く設定できる。
トッピング別の原価と推奨価格
| トッピング | 原価 | 推奨価格 | 原価率 | 粗利 |
|---|---|---|---|---|
| チーズ追加 | 28円 | 120円 | 23% | 92円 |
| ベーコン2枚 | 45円 | 180円 | 25% | 135円 |
| 目玉焼き | 25円 | 120円 | 21% | 95円 |
| アボカド半個 | 60円 | 230円 | 26% | 170円 |
| パティ追加 | 152円 | 400円 | 38% | 248円 |
| ハラペーニョ | 12円 | 80円 | 15% | 68円 |
注文の40%にトッピングが入るとして、平均トッピング原価40円・売価150円なら、1日50食で月間約83,000円の粗利になります。
トッピングで失敗するパターン
- 無料トッピングが多すぎる:レタス増量、ソース増量を無料にすると、利益を削るだけ
- メニュー表でトッピングが目立たない:注文率が下がる
- 価格が安すぎる:「チーズ50円」は粗利22円しか残らない
バンズの選択と原価への影響
バンズの選択は客単価と原価率の両方に影響します。
| バンズの種類 | 1個あたり原価 | 特徴 |
|---|---|---|
| 普通のバンズ(仕入れ) | 25円 | 安定・低コスト |
| ブリオッシュバンズ | 45円 | バターの風味・単価アップ可 |
| 自家製バンズ | 30〜40円 | 人件費込みだと高くなりがち |
| プレッツェルバンズ | 55円 | 差別化向き |
普通のバンズからブリオッシュに変えると、1個あたり20円増。これをそのまま吸収すると月に25,000〜30,000円のコスト増です。バンズを変えるなら売価も同時に見直すのが原則。
人件費を含めたプライムコスト
材料費だけでは利益の全体像が見えません。人件費を足した「プライムコスト」で管理します。
1食あたりの人件費計算
時給1,121円(2025年全国加重平均最低賃金)
1時間の提供食数:12食(ランチ帯の目安)
1食あたり人件費 = 1,121 ÷ 12 = 約93円
プライムコスト
コンボ原価398円 + 人件費93円 = 491円
コンボ価格1,350円に対するプライムコスト率 = 36.4%
プライムコスト率は55〜60%以下が目標。36.4%なら家賃や光熱費を引いても利益が残ります。
月次の利益シミュレーション
前提
- 営業日数:26日
- 1日の平均食数:50食
- バーガー単品40%・コンボ60%
- 平均客単価:1,400円(トッピング込み)
月間売上 = 50食 × 1,400円 × 26日 = 1,820,000円
原価率27%の場合(ポテト計量・トッピング有料):
原価 = 491,400円
粗利 = 1,328,600円
原価率33%の場合(ポテト多め・無料トッピングあり・割引大きめ):
原価 = 600,600円
粗利 = 1,219,400円
差額 = 109,200円/月 = 年間1,310,400円
原価率6ポイントの差が年間131万円の利益差。そのうちポテトの計量ブレと無料トッピングだけで年間60〜80万円を占めることもあります。
今すぐやること
- パティの焼成前後の重量を計測し、歩留まりを確認する
- ポテトの提供量を計量カップで固定する(S/M/Lサイズ別に)
- コンボセットの合計原価率を計算し、割引幅を見直す
- トッピングの価格を原価の2.5〜4倍になっているか確認する
- 無料トッピング・無料増量を見直し、有料化を検討する
- 月次の仕入れ価格を記録し、原価率の変動を追跡する
関連ガイド
パティの歩留まり・トッピング・コンボの原価を登録すれば、1食の利益が自動で出ます。ポテトのサイズ別原価も管理できます。KitchenCost は無料で使えます。