売上はあるのに、手元資金が増えない。
この状態は、原価率より先に**「損益分岐点売上」(いくら売れば赤字にならないかのライン)**を把握しないと改善しにくい。
固定費と変動費率から必要売上を出し、日次目標まで落とし込む手順を整理した。
先に結論
- 損益分岐点売上 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
- 変動費率は「原価率 + 時給人件費率 + 決済/包材/販促の変動費率」で作る
- 月間目標を営業日で割って日次目標に変換する
- 数字は税込/税抜を混在させない。税抜売上で統一する
なぜ2026年も月次の再計算が必要か
2025年の食料CPIは前年比**+6.8%(総務省統計局、2026年1月23日公表)。最低賃金は全国加重平均時給1,121円**(前年度比+66円、厚労省2025年9月5日公表)。
仕入れと人件費の前提が同時に動く時期は、年1回の見直しでは遅れる。月1回の損益分岐点更新をルーティンにしよう。
計算の手順
1. 固定費を月次で確定する
固定費は、売上が変わっても大きく動かない費用。
- 家賃・共益費
- 管理者給与
- 保険料
- サブスク費用
- 基本光熱費
- 借入返済
月次表にまとめて毎月同じ粒度で更新する。
2. 変動費率を直近実績で作る
直近30日の実績で計算する。
変動費率 = 原価率 + 人件費率 + その他変動費率
- 原価率
- 時給人件費率
- 決済手数料
- 包材費
- デリバリー手数料 など
3. 損益分岐点売上を出す
損益分岐点売上 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
1 − 変動費率が0以下になる場合は計算不能。その場合は先に変動費率そのものを下げる対策が必要。
例:26日営業の定食店
- 固定費:230万円/月
- 原価率:31%
- 時給人件費率:26%
- 決済・包材・販促の変動費率:7%
変動費率 = 31% + 26% + 7% = 64%
損益分岐点売上 = 230万 ÷(1 − 0.64)
= 230万 ÷ 0.36
= 約639万円
営業日26日なら日次目標は約24.6万円/日。客単価1,100円なら約224人/日。
「売上目標」を「必要客数」に変えると、現場で共有しやすくなる。
立地別の目標配分(日本の実務向け)
同じ損益分岐点でも、商圏で日次目標の置き方は変わる。
| 商圏タイプ | 平日目標 | 週末目標 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 都心オフィス街(新橋・大手町型) | 28万円 | 16.9万円 | 平日ランチ比重が高い。雨天・連休前に平日が落ちやすい |
| 住宅地・郊外(ベッドタウン型) | 22万円 | 27.6万円 | 週末ファミリー比重が高い。土日客数の確保が最優先 |
先に「店の型」を決めてから目標を割ると、販促とシフトの打ち手が揃いやすい。
よくある4つのズレ
- 税込と税抜が混在している。 月次比較が崩れる
- オーナー報酬を月ごとに入れたり外したりしている
- クーポン値引きやデリバリー手数料を変動費に入れていない
- 店内・テイクアウト・デリバリーを同じ変動費率で見ている
この4点を揃えるだけで、数字の精度がぐっと上がる。
今月やること
- 固定費の月次一覧を最新化する
- 直近30日で変動費率を再計算する
- 損益分岐点売上を月次と日次で算出する
- 客単価から必要客数まで落とし込む
- 上位10メニューの粗利率を確認する
関連ガイド
公的ソース(確認日: 2026-02-18)
- 総務省統計局: 2025年平均CPI(2026-01-23公表)
- 総務省統計局: 2025年平均CPI 英語版(Food +6.8%)
- 厚生労働省: 令和7年度地域別最低賃金額改定の答申(2025-09-05公表)
- 財務省: 消費税(標準税率10%、軽減税率8%)
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