朝5時に出勤して、まずスープの仕込みから始まる。
鶏ガラ、シナモン、スターアニス、玉ねぎの丸焼き。これを12時間コトコト煮込んで、ようやくフォーのスープができる。
手間をかけた分だけ美味しい。でも問題は、この12時間の仕込みに見合う利益が1杯から取れているかだ。
スープの原価は意外と安くて、1杯あたり60〜80円。利益を左右しているのは、実は肉の量とパクチーのロスのほうだったりする。
先に結論
- フォーの原価の山はスープではなく肉。 鶏なら65円、牛なら120〜180円
- パクチー・ミント・バジルはロス率30〜40%。 可食部重量で原価を計算する
- バインミーと生春巻きは低原価メニュー。 フォーの高原価をカバーする役割
- スープは「鍋単位」で管理。 1鍋で何杯取れるかを把握すると原価がブレない
フォー1杯の原価を分解する
鶏フォー(税抜900円)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| スープ(1杯分・250ml) | 65円 |
| 米麺(乾麺80g) | 25円 |
| 鶏もも肉(80g) | 72円 |
| もやし | 8円 |
| パクチー・ミント(5g) | 18円 |
| ライム(1/6個) | 12円 |
| 調味料(ナンプラー等) | 8円 |
| 合計 | 208円 |
原価率:208 ÷ 900 = 23.1%。これは優秀な数字だ。
牛フォー(税抜1,100円)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 牛骨スープ(1杯分・250ml) | 80円 |
| 米麺(乾麺80g) | 25円 |
| 牛肉薄切り(60g) | 150円 |
| もやし | 8円 |
| パクチー・ミント(5g) | 18円 |
| ライム(1/6個) | 12円 |
| 調味料 | 8円 |
| 合計 | 301円 |
原価率:301 ÷ 1,100 = 27.4%。鶏より200円高い売価でも、原価率はほぼ同じ。
牛フォーは「粗利額」で見ると1杯799円。鶏フォーの692円より107円多い。 原価率だけでなく粗利額で判断するのが大事だ。
スープは「鍋単位」で原価を出す
フォーのスープは1回の仕込みで大量に作る。原価は1鍋あたりの材料費を杯数で割る方式が正確。
鶏スープ1鍋(約40杯分)
| 材料 | 金額 |
|---|---|
| 鶏ガラ(3kg) | 600円 |
| 玉ねぎ(丸焼き3個) | 150円 |
| 生姜 | 60円 |
| シナモンスティック | 30円 |
| スターアニス | 40円 |
| 塩・砂糖・ナンプラー | 50円 |
| 水・光熱費 | 100円 |
| 合計 | 1,030円 |
スープ1杯あたり = 1,030円 ÷ 40杯 = 約26円
スープ250mlとして、1杯のスープ原価は26円。調味料を足しても65円前後。
12時間煮込む手間の割に原価は安い。だからこそ肉と香草の管理に注力すべきだということがわかる。
パクチーと香草——ロス率の高さに注意
ベトナム料理に欠かせないハーブ類は、傷みが早くロスが大きい。
香草のロス率と実質原価
| 香草 | 仕入れ/束 | 可食部率 | 1杯使用量 | 実質原価/杯 |
|---|---|---|---|---|
| パクチー | 200円 | 60% | 3g | 10円 |
| スペアミント | 180円 | 65% | 2g | 8円 |
| タイバジル | 150円 | 65% | 3g | 8円 |
3種で1杯あたり約26円。月800杯売れる店なら、香草だけで月2万円以上。
仕入れ頻度を週2〜3回にして、鮮度を保ちながらロスを減らすのがベスト。まとめ買いすると安いが、3日目には傷み始めて廃棄が増える。
バインミーと生春巻きで利益をカバーする
フォーだけでは原価率が高めになりがち。バインミーと生春巻きを低原価の利益商品にするのが定石。
バインミー1個(税抜650円)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| バゲットパン | 40円 |
| レバーペースト | 20円 |
| 焼き豚(30g) | 50円 |
| なます | 15円 |
| パクチー | 10円 |
| チリソース | 5円 |
| 合計 | 140円 |
原価率:140 ÷ 650 = 21.5%。フォーより低い原価率で、粗利は510円。
生春巻き2本セット(税抜500円)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ライスペーパー(2枚) | 10円 |
| エビ(2尾) | 80円 |
| ビーフン | 8円 |
| レタス・大葉 | 15円 |
| ニラ | 5円 |
| スイートチリソース | 8円 |
| 合計 | 126円 |
原価率:126 ÷ 500 = 25.2%。サイドメニューとして優秀な利益率。
フォーの注文にバインミーや生春巻きをセットで提案する。 客単価が300〜500円上がり、低原価メニューの分だけ全体の原価率が下がる。
今週やること
- フォーのスープを「1鍋あたりの原価 ÷ 杯数」で計算する
- 鶏肉・牛肉の使用量をグラムで固定する
- パクチーの仕入れ頻度を見直す(週2〜3回にして鮮度とロスのバランスを取る)
- バインミーの具材数を3〜4種類に絞って原価を出す
- フォー + サイドのセット価格を設計する
フォーのスープに手間をかけている分、利益はしっかり残したい。まずは1杯の原価を分解して、「肉と香草にいくらかかっているか」を数字で確認してみてほしい。
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