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うどん屋の原価計算|一杯あたりの原価内訳と利益を出すメニュー戦略

うどん一杯の原価率は25〜30%が目安。麺・出汁・トッピング別の原価内訳、セルフ式vs対面式の経営比較、サイドメニュー戦略まで具体的に解説。

更新 2026年2月7日
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目次

要点まとめ

  • かけうどんの原価率は12〜20%と飲食業界で最も低い部類
  • 自家製麺なら1玉20〜25円で最大の差別化&コスト削減
  • 天ぷら・サイドメニューの訴求で客単価600円以上を確保
  • 月商400〜500万円以上がうどん屋の黒字安定ライン

「うどんは原価が安いから儲かる」——これ、半分正しくて半分間違いです。

かけうどん1杯の材料費は約60〜100円。500円で売れば原価率は12〜20%。飲食業界の中でも圧倒的に低い数字です。でも、TKCの経営データによるとうどん・そば店の約7割は赤字経営。2024年には「そば・うどん店」の倒産が27件と過去最多を更新しました(帝国データバンク調べ)。

なぜ原価が安いのに儲からないのか? 答えはシンプルで、客単価が低いからです。

かけうどん500円だけでは、家賃も人件費もカバーできない。天ぷらやサイドメニューで客単価を600〜800円まで引き上げないと、回転率がよくても利益が残りません。

一方で朗報もあります。2026年1月からは業務用中力粉(うどんの主原料)が25kgあたり45円値下げされました。政府の輸入小麦売り渡し価格が4%下がったことが背景です。原材料費が軒並み上がる飲食業界の中で、うどん屋は数少ない追い風を受けている業態とも言えます。

この記事では、うどん1杯の原価を分解して、「どこでコストがかかって、どこで利益を取るか」を整理していきます。


うどん屋のコスト構造——他業態と比べると

うどん屋は「原価率が低いが、客単価も低い」という独特の構造を持っています。他業態と並べると特徴がはっきりします。

指標うどん屋ラーメン店焼肉店カフェ
原価率(F)25〜30%30〜35%30〜40%25〜30%
人件費率(L)25〜35%20〜28%18〜25%25〜30%
FL比率50〜60%55〜63%50〜60%50〜58%
客単価500〜900円800〜1,200円3,000〜6,000円800〜1,500円
営業利益率5〜10%8〜15%5〜12%8〜15%

うどん屋のジレンマは、原価率が低くても客単価が低いため、回転率がそのまま売上に直結するということ。月商400万円以上を確保できなければ、固定費を賄えず赤字になるリスクが高い業態です。


うどん1杯の原価はいくら?

かけうどん(売価 500円)の場合

要素原価目安割合
麺(1玉 200〜250g)30〜50円材料費の40〜50%
出汁(つゆ)25〜40円材料費の30〜40%
薬味(ネギ・生姜等)3〜10円材料費の5〜10%
合計58〜100円
原価率12〜20%

かけうどん単体の原価率は非常に低いですが、実際の経営ではこの数字に安心してはいけません。大事なのはトッピングとサイドメニューの注文率です。


麺の原価——自家製か仕入れかで倍近く変わる

方式1玉あたり原価メリットデメリット
自家製麺(手打ち)15〜35円原価最安、差別化、鮮度◎技術が必要、労働時間が長い
自家製麺(機械)20〜40円品質安定、効率的製麺機の投資(50〜200万円)
製麺所仕入れ40〜60円手間なし、品質安定差別化しにくい、仕入先に依存
業務用冷凍麺50〜80円在庫管理が楽、ロスなし原価高め、「手打ち」を名乗れない

自家製麺の材料費(1玉あたり)

材料使用量原価
中力粉(讃岐用)120g18〜24円
食塩5g1円未満
55g1円未満
合計約20〜25円

讃岐うどん専用粉「さぬきの夢」だと1kgあたり280〜350円。安価な中力粉なら1kgあたり150〜200円で、1玉あたり18〜24円に収まります。2026年1月の値下げ(25kgあたり45円)は小さい数字に見えますが、月に1,000玉打つ店なら年間で数千円〜1万円の改善になります。


出汁(つゆ)の原価——地域で全然違う

うどんの出汁は地域によって材料も味も大きく異なります。

地域出汁の特徴主な材料1杯あたり原価
讃岐(香川)いりこ出汁、淡口醤油いりこ・昆布・醤油25〜35円
関西昆布+かつお、淡口醤油昆布・鰹節・醤油30〜40円
関東鰹出汁、濃口醤油鰹節・醤油・みりん25〜35円
福岡(博多)あごだし(トビウオ)焼きあご・昆布・醤油35〜50円
名古屋赤味噌ベース(味噌煮込み)八丁味噌・鰹節・昆布40〜55円

讃岐風出汁の材料費(1杯あたり)

材料使用量原価
いりこ(煮干し)10g15〜25円
昆布3g5〜8円
醤油30ml5〜7円
みりん10ml3〜5円
砂糖3g1円
2g1円未満
合計約29〜46円

出汁は仕込みの仕方でコストが変わります。20L以上のまとめ仕込みにすれば、1杯あたりのコストを10〜20%削減できます。出汁がら(いりこや昆布)は佃煮やふりかけにして、賄いや持ち帰り販売に使えば無駄もなくなります。


トッピングが「利益の本丸」

うどん屋の利益は、かけうどんではなくトッピングとサイドメニューで決まります。

トッピング売価原価原価率粗利
天ぷら(えび)200円60〜80円30〜40%120〜140円
天ぷら(野菜かき揚げ)150円25〜40円17〜27%110〜125円
天ぷら(ちくわ)100円15〜20円15〜20%80〜85円
温泉卵100円15〜20円15〜20%80〜85円
きつね(油揚げ)100円10〜15円10〜15%85〜90円
わかめ50円3〜5円6〜10%45〜47円
とろろ昆布50円5〜8円10〜16%42〜45円
おにぎり120円20〜30円17〜25%90〜100円
いなり寿司(2個)150円25〜35円17〜23%115〜125円
カレールー追加100円20〜30円20〜30%70〜80円

きつね(油揚げ)、わかめ、ちくわ天はいずれも原価20円以下で100円前後の売価が取れる「隠れた利益源」です。


人気メニュー別の原価シミュレーション

かけうどん(売価 500円)

項目原価
麺(自家製1玉)25円
出汁(讃岐風)30円
ネギ3円
生姜2円
合計60円
原価率12.0%

原価率は驚くほど低い。ただし500円の客単価だけでは家賃も人件費もまかなえません。

天ぷらうどん(売価 800円)

項目原価
麺(自家製1玉)25円
出汁30円
えび天1本70円
野菜天2品30円
ネギ・生姜5円
合計160円
原価率20.0%

えび天を入れても原価率はたった20%。天ぷらうどんはうどん屋の主力メニューにすべきです。

肉うどん(売価 850円)

項目原価
麺(自家製1玉)25円
出汁30円
牛肉薄切り(50g)80〜100円
ネギ5円
生姜2円
合計142〜162円
原価率16.7〜19.1%

牛肉は国産と輸入で原価が2倍近く変わります。仕入先ごとの単価を定期的に確認しておかないと、知らないうちに原価率が上がっていることがあります。

カレーうどん(売価 850円)

項目原価
麺(自家製1玉)25円
出汁(カレーベース)45円
豚肉(30g)20円
玉ねぎ8円
カレー粉・スパイス15円
ネギ5円
合計118円
原価率13.9%

カレーうどんは出汁にカレー粉を加えるだけで差別化できる高利益メニュー。大量仕込みでさらにコストが下がります。

味噌煮込みうどん(売価 1,000円)

項目原価
麺(生麺・硬め)25円
出汁+八丁味噌55円
鶏肉(40g)25円
油揚げ8円
ネギ5円
20円
かまぼこ10円
合計148円
原価率14.8%

味噌煮込みは1,000円以上の価格設定が可能で、客単価を引き上げる戦略メニュー。土鍋で提供すると「特別感」が出て、注文率も上がります。


セルフ式 vs 対面式——どちらが利益を出しやすい?

うどん屋は営業スタイルによって原価構造がまるで違います。

項目セルフ式対面式(テーブル提供)
客単価400〜700円700〜1,200円
回転率3〜5回転/席1.5〜2.5回転/席
人件費率18〜25%28〜35%
原価率28〜32%25〜30%
FL比率48〜55%55〜62%
必要席数30〜50席20〜40席
1日売上目安15〜25万円10〜20万円

セルフ式は「低客単価×高回転」

月商計算例(セルフ式・40席):
ランチ:40席 × 3回転 × 600円 = 72,000円/日
ディナー:40席 × 1.5回転 × 650円 = 39,000円/日
日商:111,000円
月商(26日営業):約288万円

→ 月商300万円を下回ると赤字ラインに近づく

対面式は「客単価重視」

月商計算例(対面式・30席):
ランチ:30席 × 2回転 × 900円 = 54,000円/日
ディナー:30席 × 1.5回転 × 1,100円 = 49,500円/日
日商:103,500円
月商(26日営業):約269万円

→ セットメニューの訴求で客単価1,000円超を目指す

FLコストと収益構造

FLRコスト = Food(食材費)+ Labor(人件費)+ Rent(家賃)
コスト理想セルフ式対面式
F(食材費)30%以下28〜32%25〜30%
L(人件費)30%以下18〜25%28〜35%
R(家賃)10%以下8〜12%8〜12%
合計(FLR)70%以下55〜65%62〜72%

日本政策金融公庫のデータでは、うどん・そば店の黒字企業は**売上総利益率66.6%、営業利益率6%**が目安。月商400〜500万円以上を確保できる立地選びが、うどん屋経営の生死を分けます。

光熱費——うどん屋は水道代に注意

項目月額目安うどん屋の特徴
ガス代5〜12万円出汁の大量仕込み、天ぷらの揚げ油
電気代3〜7万円製麺機使用時は増加
水道代3〜8万円麺を茹でる大量の湯
合計11〜27万円

麺を茹でる際に大量の湯を使うため、水道代が他の飲食店より高くなりがちです。節水型の麺ゆで器を導入すれば月1〜3万円の削減が見込めます。


原価を下げる7つの実践

1. 自家製麺で差別化&コスト削減

1玉20〜30円の材料費で仕入れ麺の半額以下。「手打ち」「自家製」は最大の看板にもなります。

2. 天ぷらの廃棄管理を徹底する

セルフ式で天ぷらを陳列する場合、揚げてから2〜3時間が限界。時間帯ごとの揚げ量を記録して、閉店前は「半額」にすれば廃棄ロスを大幅に減らせます。

3. 出汁のまとめ仕込みで効率化

20L以上の仕込みで1杯あたりのコストが10〜20%下がります。出汁がらは佃煮やふりかけに。

4. サイドメニューで客単価を上げる

おにぎり、いなり寿司、天ぷら盛り合わせ。原価率の低いサイドで客単価を+150〜300円上げることが利益改善の鍵です。

5. セットメニューを戦略的に設計する

「天ぷらうどん+おにぎり+小鉢」950円のようなセットは、単品注文より客単価が上がり、食材の使い回しも効率化できます。

6. 季節メニューで価格帯を上げる

冷やしうどん(夏)、鍋焼きうどん(冬)、すだちうどん(秋)。季節限定メニューは+100〜200円の価格設定が可能で、「限定」は来店動機にもなります。

7. トッピングのセルフコーナーを活用する

天かす、ネギ、生姜、ごまといった低コスト薬味をセルフにすれば、人件費を削減しつつ「好きなだけ取れる」というお得感を出せます。


うどん屋で陥りやすい3つの失敗

「安さ」だけで勝負する

かけうどん300円で集客しても、客単価が低すぎて家賃と人件費をまかなえません。最低でも客単価600円以上を確保できるメニュー構成が必要です。

天ぷらの廃棄ロスを放置する

セルフ式の天ぷら陳列は、廃棄率が10〜20%に達することもあります。揚げ回数の管理と閉店前の値引き販売で対策を。

立地を軽視する

うどん屋は「ついでに食べる」需要が大きい業態。オフィス街のランチ需要、駅前の回転率、ロードサイドの駐車場——立地が売上の8割を決めると言っても過言ではありません。


開業コストの目安

項目金額目安備考
物件取得費150〜500万円保証金・礼金・仲介料
内装工事費200〜500万円居抜きなら100万円〜
厨房機器100〜300万円製麺機含む場合は上限近く
食器・備品30〜100万円
運転資金(3ヶ月分)200〜400万円
合計680〜1,800万円

セルフ式はカウンター・トレイレール・天ぷら陳列台などの追加設備で+100〜200万円が加わります。


原価管理にアプリを使う

メニュー数が多く、天ぷらなどのトッピングも合わせると数十種類の食材を管理するうどん屋では、Excelでの原価管理はいつか限界が来ます。

KitchenCostを使えば:

  • 麺・出汁・トッピングそれぞれの原価をレシピごとに登録
  • 半製品機能で「出汁」をひとつのレシピとして登録し、各メニューに共通部品として組み込める
  • 小麦粉やいりこの仕入れ価格が変わったら、関連するすべてのメニューの原価が自動更新
  • ロス率(歩留まり)を考慮した正確な原価計算
  • セットメニューの原価もワンタップで確認

特に半製品機能は、出汁や天ぷら衣のように複数メニューで共通して使う材料の原価を一元管理できるため、うどん屋の原価計算に向いています。


今すぐやること

  • 麺の原価を確認する(自家製 vs 仕入れ)
  • 出汁の1杯あたり原価を計算する
  • 天ぷらの廃棄率を1週間記録する
  • セットメニューの原価率を確認し、客単価600円以上を目指す構成にする
  • 中力粉の仕入れ価格が最新かチェックする(2026年1月に値下げあり)

参考資料


関連ガイド:

よくある質問

かけうどん1杯の原価はいくらですか?

自家製麺+讃岐風出汁の場合、材料費は約60〜100円です。麺(自家製1玉)が20〜25円、出汁が25〜40円、薬味が3〜10円。500円で販売すれば原価率は12〜20%と、飲食業界でも非常に低い水準です。ただし、これだけでは客単価が低すぎるので、天ぷらやサイドメニューで600円以上を確保する必要があります。

自家製麺と仕入れ麺、どちらがいいですか?

コスト面では自家製麺(1玉20〜25円)が圧倒的に有利です。製麺所仕入れ(40〜60円)や冷凍麺(50〜80円)の半額以下になります。さらに「手打ち」「自家製」は集客力のある看板にもなります。ただし、製麺機の初期投資が50〜200万円かかるため、月500玉以上出る見込みがあるかで判断しましょう。

天ぷらの廃棄ロスが多いのですが、どう対策すべきですか?

セルフ式の場合、天ぷらの廃棄率が10〜20%に達することがあります。対策は3つ。1つ目は時間帯ごとの揚げ量を記録して予測精度を上げること。2つ目は閉店1〜2時間前から揚げ量を減らすか半額で提供すること。3つ目は翌日の賄いや天丼メニューに転用すること。廃棄率を5%以下に抑えられれば、月数万円の改善になります。

うどん屋の黒字ラインは月商いくらですか?

日本政策金融公庫のデータでは、うどん・そば店の黒字企業は営業利益率約6%が目安です。セルフ式なら月商300万円が最低ライン、安定黒字には400〜500万円以上が必要です。対面式は客単価が高い分、月商250万円台でも黒字が出せますが、人件費率が高い(28〜35%)のでFL比率の管理が重要です。

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