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つけ麺専門店の原価ガイド:麺量・つけ汁・大盛の設計で利益が決まる

つけ麺1杯の原価を麺・つけ汁・トッピング・光熱費に分解。大盛無料の落とし穴、つけ汁の濃度管理、替え玉の価格設計を実例で解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

つけ麺専門店を開いた人が最初にぶつかる壁は、「思ったより原価率が高い」ということ。

ラーメンの原価率が30%前後に収まっているのに、つけ麺は35%を超えてしまう。同じ麺料理なのに、なぜ?

理由は単純です。つけ麺は麺の量が多い。ラーメンの麺は150〜180g。つけ麺の並盛は250〜300g。大盛にすれば400〜450g。この差が、そのまま原価の差になります。

さらに、つけ汁はラーメンのスープより濃い。濃度が高い=材料が多い=原価が高い。「麺が多くて汁が濃い」——つけ麺は構造的に原価率が高くなる業態です。

だからこそ、麺量・つけ汁・トッピングそれぞれの原価を正確に把握して、値上げではなく構造で利益を出す必要があります。


先に結論

  • つけ麺の原価は麺量で決まる。並盛300gと大盛450gで原価差は約45円
  • つけ汁はラーメンスープより濃度が高く、1杯130〜170円の原価がかかる
  • 「大盛無料」は集客効果があるが、原価率を3〜5ポイント押し上げる
  • トッピングはオプション価格で分離し、利益率の高い具材をデフォルトから外す
  • 替え玉(麺の追加)は150〜200円で提供すると、原価率を抑えたまま客単価が上がる

つけ麺1杯の原価を分解する

例:魚介豚骨つけ麺(並盛300g・税抜950円)

項目原価
麺(自家製麺or製麺所)300g100円
つけ汁:豚骨スープ原液100ml50円
つけ汁:魚介ダシ50ml35円
つけ汁:醤油ダレ30ml15円
つけ汁:油(鶏油・魚粉油)15ml20円
チャーシュー2枚(60g)50円
味玉1/2個20円
メンマ20g8円
海苔2枚6円
ネギ10g3円
合計307円

原価率:307 ÷ 950 = 32.3%

※ 数字は例です。自家製麺か製麺所仕入れかで麺の原価は大きく変わります。

一見、32%で悪くない数字に見えますが、ここに大盛無料が加わるとどうなるか。


大盛の原価インパクト

大盛無料の場合

サイズ麺量麺原価つけ汁・具材合計原価売価原価率
並盛300g100円207円307円950円32.3%
大盛450g150円207円357円950円37.6%
特盛600g200円207円407円950円42.8%

並盛と大盛で原価率が5.3ポイント違います。特盛まで無料にすると10ポイント以上。

仮に1日80杯のうち40%が大盛を選んだとすると:

大盛選択数 = 80杯 × 40% = 32杯/日
追加原価 = 32杯 × 50円 = 1,600円/日
月間追加原価 = 1,600円 × 25日 = 40,000円/月
年間 = 480,000円

年間48万円。これは小さな数字ではありません。

大盛の価格設計パターン

パターン並盛大盛特盛メリット
全サイズ同額950円950円950円集客力が高い
大盛+100円950円1,050円1,150円原価率をコントロールしやすい
並盛・大盛同額、特盛+200円950円950円1,150円バランス型
麺量選択制250g:900円300g:950円400g:1,100円少食の取りこぼしも防げる

**おすすめは「麺量選択制」**です。少食の人には250gで50円安くする。大盛は150円上乗せ。選択肢があると「損した感」が薄れます。


つけ汁の原価管理

つけ麺の原価で最もブレやすいのが、つけ汁です。

つけ汁の構成

つけ汁 = スープ原液 + 醤油ダレ + 油(香味油)

ラーメンのスープは丼に300〜400ml入れますが、濃度は薄め。つけ汁は150〜200mlで濃い。容量は少ないけれど、原材料の密度が高いのでコストは同等か、それ以上です。

つけ汁のブレが起きる3つの原因

1. スープ原液の希釈比率がスタッフで違う

「濃いめ」「薄め」の判断が人によって違う。あるスタッフはスープ原液を120ml入れて、別のスタッフは80ml。その差40mlで原価が20円変わります。

対策:レードルのサイズを固定する。 100mlのレードルで「1杯」と決めれば、ブレは最小限に抑えられます。

2. 油の量が安定しない

鶏油や魚粉油は「ひと回し」で入れがちですが、ひと回しが10mlと20mlでは原価が10円以上変わります。

対策:ディスペンサーかポンプ式ボトルで定量化する。

3. 割りスープの原価が把握できていない

つけ麺を食べ終わった後、つけ汁にスープを足して飲む「割りスープ」。サービスの一環として無料提供する店が多いですが、原価は把握しておくべきです。

割りスープ原価 = 鰹出汁 or 鶏ガラスープ 100〜150ml
1杯あたり = 10〜15円
1日80杯 × 70%利用率 × 12円 = 672円/日 = 月16,800円

月17,000円弱。大きな額ではないので無料提供で問題ありませんが、つけ汁そのものの追加は有料にすべきです(150〜200円)。


トッピング戦略

デフォルトトッピングを見直す

つけ麺のデフォルト(基本価格に含まれるもの)に何を入れるかで、原価率が変わります。

トッピング原価デフォルトに含める?
チャーシュー1枚25円○(看板なので)
味玉 1/220円△(外してオプション化も可)
メンマ8円○(原価低い)
海苔 2枚6円○(原価低い)
ネギ3円○(原価低い)
チャーシュー追加(2枚)50円×(オプション+150円)
味玉追加40円×(オプション+120円)

味玉をデフォルトから外してオプション(+120円)にすると、1杯あたり20円の原価削減。1日80杯なら月40,000円。ただし、「味玉が付いていない」と感じる客もいるので、メニュー表で「お好みで追加できます」と明記するのがポイントです。

オプショントッピングの利益率

トッピング原価売価粗利原価率
チャーシュー増し(3枚)75円200円125円38%
味玉40円120円80円33%
特製全部のせ145円350円205円41%
替え玉(麺150g)50円180円130円28%
ミニチャーシュー丼80円280円200円29%

替え玉とミニ丼は原価率が低く、客単価を上げる切り札です。 特に替え玉は提供に手間がかからないので、利益効率が最も良い。


麺の原価を下げる方法

自家製麺 vs 製麺所仕入れ

項目自家製麺製麺所仕入れ
麺300gあたり原価60〜80円90〜120円
初期投資製麺機80〜200万円なし
スタッフ工数1日1〜2時間なし
品質コントロール自由度高い安定

自家製麺は1杯あたり20〜40円安くなりますが、製麺機の初期投資と毎日の製麺作業が必要です。1日80杯以上の店なら、製麺機の投資を1〜2年で回収できる計算になります。

製麺所仕入れの場合、麺の量がそのまま原価です。 だからこそ麺量のg固定が重要になります。


光熱費という「見えない原価」

つけ麺はラーメンより光熱費がかかります。

つけ麺特有の光熱費

  1. 茹で時間が長い:太麺は10〜15分茹でる(ラーメンの細麺は1〜3分)
  2. 冷水で締める:茹でた後に冷水で締めるので水道代がかかる
  3. つけ汁を温め直す:提供前に温め直す工程がある
太麺の茹で時間 = 12分(ラーメン:2分)
ガス代差 = 1杯あたり5〜10円の追加コスト
水道代(麺締め) = 1杯あたり3〜5円
合計 = 8〜15円/杯の追加光熱費

1日80杯で月16,000〜30,000円。これを原価に含めて計算しているかどうかで、利益の見え方が変わります。


価格設計のパターン

つけ麺専門店の価格帯(2026年現在の都市部目安)

メニュー原価(並盛)推奨価格原価率
基本つけ麺307円950円32%
濃厚魚介つけ麺340円1,050円32%
辛つけ麺315円980円32%
つけ麺+ミニ丼セット387円1,200円32%

ポイントは、バリエーションの原価差を価格差に反映させること。濃厚魚介は原価が33円高いなら、価格も100円上げる。原価率を揃えると管理がしやすくなります。

セットメニューは客単価を上げつつ原価率を維持できるので、メニュー表の目立つ位置に置くのがおすすめです。


月次の利益シミュレーション

前提

  • 営業日数:25日
  • 1日の平均杯数:80杯
  • 平均客単価:1,100円(トッピング・サイド含む)
月間売上 = 80杯 × 1,100円 × 25日 = 2,200,000円

原価率32%の場合:
原価 = 704,000円
粗利 = 1,496,000円

原価率37%の場合(大盛無料・トッピング過多):
原価 = 814,000円
粗利 = 1,386,000円

差額 = 110,000円/月 = 年間1,320,000円

原価率5ポイントの差が、年間132万円の利益差になります。


今週やること

  • 麺量をg基準で固定する(並盛300g、大盛450gなど)
  • つけ汁のスープ原液をレードルで計量する仕組みに変える
  • 大盛無料の場合、月の追加原価を計算してみる
  • デフォルトトッピングの原価を合計し、外せるものがないか検討する
  • 替え玉・ミニ丼のサイドメニューを導入して客単価を上げる
  • 光熱費を1杯あたりで概算し、原価計算に含める

関連ガイド


麺・つけ汁・トッピングを登録すれば、1杯の原価が自動で出ます。大盛の原価差もひと目で確認。KitchenCost は無料で使えます。

よくある質問

つけ麺1杯の原価はどれくらい?

並盛(麺300g)で280〜350円が目安です。内訳は麺90〜110円、つけ汁130〜170円、トッピング(チャーシュー・味玉・海苔)60〜80円。ラーメンより麺量が多いぶん、麺の原価比率が高くなります。

大盛無料にすべき?

集客効果はありますが、原価への影響は大きいです。麺300g→450gで麺原価は約45円増加。1日30杯の大盛注文なら月33,750円の原価増。大盛+100円にするか、特盛のみ無料にして中間価格帯を設けるのが利益を守りやすい設計です。

つけ汁の原価管理で一番大事なことは?

配合比率の固定です。つけ汁はスープ原液・醤油ダレ・油で構成されますが、スタッフによってスープ原液の希釈比率がブレると、1杯あたり20〜40円の原価差が出ます。計量カップでの配合を標準化してください。

つけ汁のおかわり(割りスープ)は無料でいい?

割りスープは鰹出汁や鶏ガラスープで薄める程度なら、1杯あたり10〜15円のコストです。無料提供でも原価への影響は小さく、顧客満足度が上がるのでそのままで良いでしょう。ただし、つけ汁そのもののおかわりは有料にすべきです(1杯130〜170円の原価がかかるため)。

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