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鉄板焼き店の原価ガイド:肉150gの原価と、バター・ガーリックライスで利益を守る仕組み

鉄板焼きコースの原価を肉・海鮮・焼き野菜・バター・ガーリックライスに分解。ランチとディナーの原価率比較、A5とA4の使い分け、コース設計で原価率を安定させる方法を実例で解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

鉄板焼きは「高単価・高原価」の商売です。

A5和牛150gの仕入れが3,000円を超えることもあります。ディナーコース15,000円で原価率35%なら原価5,250円。肉と海鮮だけで4,000円近く使ってしまう。

ところが、2025年にA5和牛の卸値が11年ぶりの安値を記録しました。健康志向で赤身が好まれるようになり、霜降りの需要が落ちているのが理由です。仕入れ環境は変わっています。

利益が安定しない鉄板焼き店に共通するのは、肉のグラム数が日によって違うこと。料理人の感覚で「ちょっと多めに」が重なると、原価率が3〜5ポイント跳ねます。150gのつもりが170gになると、A5サーロインなら1人あたり360〜500円の差。1日15人で5,400〜7,500円、月に14万〜20万円。

鉄板焼き店の原価管理は、肉のグラムを固定することが出発点。その上でコース構成を使って全体の原価率を安定させます。


先に結論

  • 鉄板焼きの原価は**肉が50〜60%**を占める。次に大きいのが海鮮とバター
  • A5サーロインは100gあたり1,800〜2,500円。A4なら1,200〜1,600円で、3〜4割安い
  • コース設計で原価をコントロールする。焼き野菜(原価率10〜15%)とガーリックライス(原価78円)が利益を守る
  • バター・油は1人あたり50〜70円。月に2〜3万円の隠れコスト
  • ランチコースは原価率28〜32%、ディナーは30〜35%が目安

鉄板焼きコースの原価を分解する

例:ランチコース(税抜6,500円)

品目内容原価
前菜季節のサラダ120円
スープコンソメスープ85円
海鮮ホタテ2個280円
A4サーロイン120g1,560円
焼き野菜もやし・玉ねぎ・ズッキーニ・にんにくスライス95円
ガーリックライス1人前78円
デザート季節のシャーベット65円
バター・油・調味料1人分55円
合計2,338円

原価率:2,338 ÷ 6,500 = 36.0%

※ A4サーロイン100gあたり1,300円で計算。ホタテは1個140円。数字は目安です。

36%はやや高め。これを下げるには2つの方法があります。

方法1:肉の量を100gに減らす → 原価2,078円、原価率32.0%。ただしランチでも「少ない」と感じる客がいる。

方法2:A4フィレに変える → フィレは100gあたり1,100〜1,400円。サーロインとほぼ同じ価格帯だが、赤身で健康的な印象を打ち出せる。120gで原価1,440円、コース原価2,218円、原価率34.1%。

例:ディナーコース(税抜15,000円)

品目内容原価
前菜フォアグラのテリーヌ350円
スープビスク or コンソメ120円
海鮮活アワビ1個 + ホタテ2個1,480円
A5サーロイン150g3,375円
焼き野菜アスパラ・椎茸・にんにく・玉ねぎ130円
ガーリックライス1人前78円
デザート季節のフルーツ + アイスクリーム110円
バター・油・調味料1人分70円
合計5,713円

原価率:5,713 ÷ 15,000 = 38.1%

38%は鉄板焼きディナーとしては高い。肉と海鮮だけで4,855円、原価の85%を占めます。

利益を守るポイント:アワビを外してロブスター半身(原価700円)に変えると原価4,933円(32.9%)まで下がります。ロブスターはアワビより見た目のインパクトがあるのに、仕入れは半額近い。


肉の選び方と原価管理

等級別の原価比較(サーロイン基準)

等級100gあたり原価150gの原価特徴
A51,800〜2,500円2,700〜3,750円霜降り、口溶け。高単価コース向き
A41,200〜1,600円1,800〜2,400円バランス良い。ランチコースの主力
A3800〜1,100円1,200〜1,650円赤身寄り。コスパ重視のセット向き

2025年の傾向として、A5和牛の卸値が下がっています。健康志向で赤身人気が高まり、霜降りの需要が減少。A5とA4の価格差が縮まっている今は、仕入れ先と価格交渉するチャンスです。

肉のグラム管理が最重要

鉄板焼きで原価が崩れる最大の原因はカットサイズのばらつきです。

A5サーロイン150gを170gで出した場合:

差 = 20g × 22.5円(A5、100gあたり2,250円) = 450円/人

1日15人 × 450円 = 6,750円/日
月25日 = 168,750円/月
年間 = 約200万円

たった20gのオーバーが年間200万円の利益を削ります。

対策

  • ポーション用のスケール(はかり)を鉄板の横に置く
  • カット済みの肉を番重に並べ、1人分ずつラップで分ける
  • 「多めに切って後から削る」ではなく「ぴったりを目指して微調整」

コース設計で原価率をコントロールする

鉄板焼きの利益は、コース全体の構成で決まります。肉と海鮮は原価率が高いですが、他の品目で下げることができます。

品目別の原価率

品目原価目安売価換算原価率
前菜(サラダ)80〜150円800〜1,000円10〜15%
スープ70〜120円500〜800円10〜15%
焼き野菜80〜130円800〜1,200円8〜12%
ガーリックライス78円500〜800円10〜16%
デザート60〜120円500〜800円8〜15%
肉(A4、120g)1,440〜1,920円3,000〜5,000円38〜48%
海鮮(ホタテ2個)280円1,000〜1,500円19〜28%

焼き野菜とガーリックライスは原価率10%前後。この2品をコースに必ず入れることで、肉の高い原価率を薄めます。

コース構成の比較

構成パターンコース原価売価原価率
肉+海鮮のみ(前菜・〆なし)1,720円5,000円34.4%
上記+前菜+スープ+野菜+ガーリックライス+デザート2,338円6,500円36.0%
焼き野菜増量+ガーリックライス増量(肉同じ)2,418円7,000円34.5%

3番目のパターンでは、焼き野菜とガーリックライスを少し増やして売価を500円上げています。原価は80円しか増えないのに売価は500円増。こうした「低原価品の増量で売価を上げる」のが鉄板焼きの利益設計です。


バターと調味料の隠れコスト

鉄板焼きでは、バター・油・調味料が「見えないコスト」として積み上がります。

1人あたりの調味料原価

項目使用量単価原価
バター(焼き用)20g1,500円/kg30円
ガーリックバター10g1,800円/kg18円
サラダ油10ml350円/L4円
塩・胡椒適量3円
ポン酢・醤油15ml5円
フランベ用酒(ブランデー等)10ml3,000円/L30円
合計90円

※ フランベを毎回やらない店なら60円程度。

90円は少額に見えますが、1日15人で1,350円、月に33,750円です。年間40万円。

フランベ用のブランデーが意外と高い。30ml使うと90円。フランベを「演出」として毎回やるか、特定コースだけにするかで年間10万円以上変わります。

バター使用量を標準化する

料理人によってバターの使い方が違います。多い人は1人あたり40g、少ない人は15g。この差は1人あたり37円、月に14,000円になります。

対策:1人分のバターを小分けにしておく。 朝の仕込みで20g×人数分をカットしてバットに並べる。追加が必要なときは10gのポーションバターを使う。


ランチとディナーの利益構造

鉄板焼き店の収益はランチとディナーで大きく構造が異なります。

ランチ vs ディナー比較

項目ランチディナー
客単価6,500円15,000円
原価率32%35%
原価2,080円5,250円
粗利4,420円9,750円
回転数2回転1回転
席数15席の粗利132,600円146,250円

ディナーの方が1席あたりの粗利は高いですが、ランチは2回転できるので日あたりの差は小さい。

ランチで利益を出すコツ

  • 肉はA4を使い、量を100〜120gに抑える
  • 海鮮は高単価なアワビ・ロブスターを外し、ホタテ中心にする
  • 焼き野菜を充実させて「ヘルシーで品数が多い」印象を作る

月次の利益シミュレーション

前提

  • 席数:15席(カウンター鉄板)
  • ランチ:15人/日(客単価6,500円、原価率32%)
  • ディナー:12人/日(客単価15,000円、原価率35%)
  • 営業日数:25日
ランチ月間売上 = 15人 × 6,500円 × 25日 = 2,437,500円
ランチ粗利 = 2,437,500 × 68% = 1,657,500円

ディナー月間売上 = 12人 × 15,000円 × 25日 = 4,500,000円
ディナー粗利 = 4,500,000 × 65% = 2,925,000円

合計月間売上 = 6,937,500円
合計月間粗利 = 4,582,500円

肉のグラム管理が甘い場合(原価率+3ポイント):
粗利 = 4,582,500 − (6,937,500 × 3%) = 4,374,375円
差額 = 208,125円/月 = 年間約250万円

原価率3ポイントの差が年間250万円。鉄板焼きは客単価が高い分、原価管理のインパクトも大きい。


今週やること

  • 肉のカットサイズをスケールで計量し、1人分を固定する
  • コースの全品目の原価を一覧表にする(肉・海鮮・野菜・調味料すべて)
  • バターの1人分使用量を決め、朝の仕込みで小分けする
  • ランチとディナーの原価率をそれぞれ計算し、目標値を設定する
  • 焼き野菜の構成を見直し、低原価で見栄えのする野菜を増やす
  • フランベの頻度を決める(全コースか、ディナーのみか)

関連ガイド


肉・海鮮・野菜・バターをコースごとに登録すれば、1人あたりの原価が自動で出ます。ランチとディナーの原価率比較もワンタップ。KitchenCost は無料で使えます。

よくある質問

鉄板焼きコースの原価率はどれくらいが目安?

ランチコースで28〜32%、ディナーコースで30〜35%が目安です。例えばランチ6,500円のコースなら原価1,820〜2,080円。肉が原価の50〜60%を占めるので、肉のグラム数を固定することが最も重要です。焼き野菜やガーリックライスなど低原価の品を組み込むことで、全体の原価率をコントロールします。

A5和牛とA4和牛、どちらを使うべき?

A5はサーロインで100gあたり約1,800〜2,500円、A4は約1,200〜1,600円。ディナーの高単価コース(15,000円以上)ではA5の価値を売価に乗せられますが、ランチ(6,000〜8,000円)ではA4の方が原価率を抑えやすいです。2025年はA5和牛が11年ぶりの安値傾向なので、仕入れ交渉のチャンスでもあります。

バターや油は原価に入れるべき?

必ず入れてください。鉄板焼きはバターを多用します。1人あたりバター20〜30g(約30〜45円)、サラダ油10ml(約5円)。1日20人で700〜1,000円、月に18,000〜26,000円です。さらにガーリックバターやフランベ用の酒も加えると、調味料だけで1人あたり50〜70円になります。

ガーリックライスの原価はどれくらい?

ご飯(150g・35円)、にんにく(2片・15円)、バター(15g・23円)、醤油・塩(5円)で合計約78円です。コースに組み込むと売価換算で500〜800円の価値がありますが、原価は100円以下。コースの最後に出すことで満足感を上げつつ、全体の原価率を下げる役割を果たします。

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