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立ち食いそばの原価ガイド:1杯400円でも利益を出す仕組み

立ち食いそばの原価を麺・つゆ・天ぷらに分解して計算。かけそばだけでは利益が出ない理由と、天ぷらの価格設計で利益を守る方法を解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

立ち食いそばの原価は安い。かけそば1杯の材料費は50円前後です。

「原価率15%なら楽勝じゃないか」と思うかもしれません。でも実際に営業してみると、想像ほど利益が残らない店が多い。

理由はシンプルです。かけそばだけ食べて帰るお客さんが多いと、客単価が400円前後にしかならない。そこから家賃・人件費・光熱費を引くと、1杯あたりの利益は数十円。立ち食いそばの生命線は「天ぷらをいかに買ってもらうか」にあります。


先に結論

  • かけそばの原価は40〜55円(原価率13〜15%)だが、客単価が低いので利益額も小さい
  • 天ぷらトッピングが利益の中心。かき揚げ1個で利益が100〜150円増える
  • 麺量・つゆ量の標準化が最重要。ブレは回転率の高さで倍増する
  • 1日150杯の店なら、10gの麺量ブレで月45,000円の誤差

かけそば1杯の原価を分解してみる

例:かけそば(売価400円・税抜)

項目内容原価
麺(乾麺)八二そば 90g25円
つゆ濃縮だし + 醤油 300ml18円
ネギ小口切り 5g3円
割り箸1膳2円
合計48円

原価率:48 ÷ 400 = 12.0%

数字だけ見ると利益率は高く見えます。でも1杯の利益額は:

粗利 = 400円 − 48円 = 352円

ここから家賃(都内なら月30〜50万円)、人件費、光熱費を引きます。1日150杯売っても月商180万円。固定費を引いた手残りは意外と少ない。


天ぷらを足すと利益構造が変わる

例:かき揚げそば(売価600円・税抜)

項目内容原価
麺(乾麺)八二そば 90g25円
つゆ濃縮だし + 醤油 300ml18円
ネギ小口切り 5g3円
かき揚げ玉ねぎ・人参・衣40円
割り箸1膳2円
合計88円

原価率:88 ÷ 600 = 14.7%

粗利:600 − 88 = 512円

かけそばの粗利352円に対して、かき揚げそばは512円。かき揚げ1個(原価40円)を足すだけで、粗利が160円増えます。

これが立ち食いそばのビジネスモデルです。そば本体は「来店のきっかけ」で、天ぷらが利益の本体。


つゆの原価計算

つゆは自家製か業務用濃縮かで原価が変わります。

パターン1:業務用濃縮つゆ

材料原価
業務用濃縮つゆ50ml15円
250ml1円
合計16円

手軽で味が安定します。忙しい店はこちらが多い。

パターン2:自家製だし

1バッチ(10L)の場合:

材料原価
鰹節100g350円
昆布30g90円
醤油500ml150円
みりん200ml80円
9L5円
合計675円

10Lから提供できるのは歩留まりを考えて約9L。1杯300mlなら30杯分。

1杯あたり = 675円 ÷ 30杯 = 約23円

業務用濃縮より7円高いですが、「だしにこだわっている」と打ち出せるなら、売価を50円上げても納得してもらえます。


原価が崩れる4つの原因

1. 麺量が人によって違う

90gの基準が、あるスタッフは80g、別のスタッフは110g。その差30gで原価が7〜8円変わります。

1日150杯なら月に35,000円の誤差。

対策:計量カップか秤で1人前を決める。 忙しいピーク時こそブレやすいので、あらかじめ1人前ずつ小分けにしておくのが確実です。

2. つゆを多く入れすぎる

「丼いっぱいに入れたほうがお客さんが喜ぶ」と考えてつゆを多めに注ぐスタッフがいます。300mlの基準が350mlになると、1杯あたり3〜4円。少なく見えますが月に15,000〜18,000円。

対策:レードル(おたま)のサイズで決める。 「大きいレードル1杯」と決めれば迷わない。

3. 天ぷらのサイズがバラつく

かき揚げを「なんとなく」の大きさで揚げると、大きいものは原価60円、小さいものは30円。同じ150円で売っているのに、利益が倍違います。

対策:型(セルクルリング)を使うか、衣の量をグラムで決める。 玉ねぎのカット量も統一すると安定します。

4. 無料トッピングが増えていく

ネギ増量、天かす大盛り、生卵サービス——お客さんに頼まれると断りにくいですが、積み重なると原価が上がります。

天かすは1回10gで3〜5円。無料で出し続けると月に10,000円以上。

対策:「天かす無料・ネギ増量無料」のルールを決めておくか、トッピングとして有料化する。 富士そばのように、ネギは基本量を決めて追加は有料にしている店もあります。


天ぷら別の原価と利益

立ち食いそばでよく出る天ぷらの原価を比較します。

天ぷら原価売価粗利原価率
かき揚げ40円150円110円27%
ちくわ天25円130円105円19%
舞茸天35円150円115円23%
えび天70円220円150円32%
ゲソ天45円160円115円28%
コロッケ30円120円90円25%

ちくわ天が一番利益率が高いのがわかります。原価が安く、お客さんにも人気がある。

えび天は原価率が高めですが、粗利の絶対額は150円と最も大きい。「ちょっと贅沢」枠として1〜2種類置いておくと客単価が上がります。


利益を出している立ち食いそば店がやっていること

カウンター前に天ぷらを並べる

揚げたての天ぷらがカウンター前に並んでいると、つい1つ追加したくなります。「かけそばでいいや」と思って入ったお客さんが、天ぷらを1つ足してくれるだけで粗利が100円以上増えます。

これが立ち食いそば店の最も効果的な販促です。POP広告より、実物の力。

朝・昼・夕の3ピークを狙う

立ち食いそばは回転率が命です。お客さんの平均滞在時間は約6分。席数15席で1時間に10回転すれば、ピーク1時間で150杯。

朝の通勤時間帯(7〜9時)にモーニングセット、昼(12〜13時)に天ぷらセット、夕方(18〜19時)にちょい飲みセット——と時間帯別にメニューを設計すると、稼働率が上がります。

セットメニューで客単価を上げる

セット内容原価売価原価率
朝セットかけそば + おにぎり68円500円14%
天ぷらセットそば + かき揚げ + 小鉢118円700円17%
ミニ丼セットそば + ミニカレー108円750円14%

セットにすると客単価が200〜350円上がります。そばの原価率が低いので、セットにしてもトータルの原価率は20%以下に収まります。


今週やること

  • 麺量を秤で計測し、1人前のg基準を固定する(乾麺90g or 生麺130g)
  • つゆ量をレードルのサイズで統一する(大レードル1杯=300ml)
  • 主力天ぷら3品の原価を計算し、売価との粗利を確認する
  • 天ぷらの注文率を1週間記録する(目標:全体の50%以上)
  • 無料トッピングのルール(天かす・ネギ)を決めて統一する

関連ガイド


麺・つゆ・天ぷらをレシピ登録すれば、1杯あたりの原価が自動で出ます。KitchenCost は無料で使えます。

よくある質問

立ち食いそばの原価率はどのくらい?

かけそばで15〜20%が目安です。麺20〜30円、つゆ15〜20円、ネギ3円で合計40〜55円。売価400円なら原価率は約13%。ただしこの数字だけ見て安心するのは危険で、天ぷらなしの注文ばかりだと客単価が低すぎて固定費をカバーできません。

天ぷらの原価率はどう管理する?

かき揚げは野菜と衣が中心なので原価30〜50円、売価150〜200円で原価率20〜25%です。えび天は原価が高く60〜80円になるので、売価200〜250円で原価率30〜35%。天ぷらはそば本体より原価率が高くなりますが、客単価を150〜250円上げてくれるので、トータルの利益額は増えます。

麺量は何グラムが標準?

乾麺なら1人前80〜100g、生麺・冷凍麺なら120〜140gが一般的です。大盛は1.5倍が目安。重要なのは毎回同じ量を出すことで、10gのブレが1日150杯で月45,000円の誤差になります。

かけそばばかり注文されると利益が出ない?

そうです。かけそば400円で利益が50円でも、天ぷらそば600円なら利益が250円以上。富士そばなどの大手チェーンも、天ぷらやトッピングで客単価を上げる設計をしています。天ぷらの注文率を上げるには、カウンター前に揚げたての天ぷらを並べるのが効果的です。

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