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ステーキハウスの原価ガイド:歩留まり70%の壁と、付け合わせで利益を作る設計

ステーキ1皿の原価を肉・ソース・付け合わせに分解。歩留まりの計算方法、150g/200g/300gのサイズ別価格設計、サイドメニューで原価率を下げる方法を具体例で解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

ステーキハウスは、飲食店のなかでも原価の「振れ幅」が大きい業態です。

同じリブロースを仕入れても、トリミングの仕方で使える量が変わる。スタッフによって焼き加減が違えば、焼き直しでもう1枚使うこともある。ソースを多めにかける人がいれば、それだけ原価が積み上がる。

売上が月300万円あっても、歩留まりと付け合わせを管理していない店では、利益が月20万円も残らないケースがあります。

理由は単純で、肉の仕入れ値と「使える量」のギャップを把握していないからです。

ステーキの原価管理は、「仕入れ単価」ではなく「歩留まり込みの実質単価」から始まります。


先に結論

  • ステーキの原価は**肉が70〜75%**を占める。仕入れ単価ではなく歩留まり込みの実質単価で管理する
  • リブロースの歩留まりは65〜75%。筋引き・脂取りの度合いで100gあたり80〜120円の差が出る
  • サイズ別価格は追加グラムの実質原価×2倍以上を差額にする
  • 付け合わせ・サイドメニューは原価率15〜25%。ステーキ単体の高原価率をカバーする主力
  • ソースは仕込み単位で原価を出し、ディスペンサーか計量で定量化する

ステーキ1皿の原価を分解する

例:リブロースステーキ200g(税抜2,800円)

項目原価
リブロース200g(実質)800円
ガーリックバターソース30g55円
フライドポテト80g32円
ミックスサラダ60g45円
コーン30g18円
焼き油(牛脂+オリーブオイル)15ml25円
合計975円

原価率:975 ÷ 2,800 = 34.8%

※ リブロースは仕入れ100gあたり280円、歩留まり70%として実質100gあたり400円で計算。付け合わせは業務用仕入れ価格の目安。

34.8%は飲食店の標準的な原価率(30〜35%)の上限に近い数字です。ステーキハウスは業態として原価率が高め。だから付け合わせとセット設計で全体の原価率を調整する必要があります。


歩留まり — 原価計算の出発点

ステーキハウスで最も見落とされるのが歩留まりです。

歩留まりとは

仕入れた肉のうち、実際に提供できる部分の割合です。

歩留まり率 = トリミング後の重量 ÷ 仕入れ時の重量

例:リブロース1kg仕入れ → トリミング後700g
歩留まり率 = 700 ÷ 1,000 = 70%

部位別の歩留まりと実質単価

部位仕入れ単価(100g)歩留まり実質単価(100g)特徴
リブロース280円70%400円サシ多め、人気No.1
サーロイン320円75%427円脂身の縁取りだけ
ヒレ400円60%667円筋が多い、高級感
ランプ200円80%250円赤身、トリミング少ない
イチボ230円75%307円赤身と霜降りのバランス

※ 仕入れ単価は国産牛の業務用卸の一般的な価格帯。輸入牛はこの50〜70%程度。

ヒレに注目してください。 仕入れ単価はリブロースの1.4倍ですが、歩留まりが60%と低いため、実質単価では1.7倍に広がります。ヒレを安く出すと利益が一気に消えます。

歩留まりが変動する3つの原因

1. スタッフによってトリミングの深さが違う

「脂をしっかり取る」スタッフと「軽く取る」スタッフで、歩留まりが5〜10%変わります。リブロース1kgなら50〜100gの差。原価に換算すると140〜280円の差です。

対策:トリミングの見本写真を用意する。 「この状態まで」という基準を目で見える形にする。

2. 端材を使い切れていない

トリミングで出た端材(脂・筋・切れ端)を捨てていませんか。切れ端はまかないやカレー・ハヤシライスに使えます。脂は牛脂として焼き油に。端材の有効活用で、実質歩留まりは5〜8%改善できます。

対策:端材の使い道リストを作成する。

3. 仕入れロットによるバラつき

同じ部位でも、個体差や季節で脂の入り方が違います。夏場は脂が薄く歩留まりが高い傾向。冬場はサシが多く、トリミング量が増えることがあります。

対策:仕入れのたびに歩留まりを記録する。 月ごとの平均を出して、原価計算に反映する。


サイズ別の原価と価格設計

ステーキハウスでは150g・200g・300gの3サイズ展開が一般的です。

リブロースのサイズ別原価

サイズ肉の実質原価ソース付け合わせ合計原価売価原価率
150g600円50円95円25円770円2,200円35.0%
200g800円55円95円25円975円2,800円34.8%
300g1,200円60円95円30円1,385円3,800円36.4%

300gは原価率が36.4%に上がっています。 肉の追加100gで実質原価が400円増えるのに、売価の差は600円。差額600円に対して原価400円だから利益は200円しか乗っていません。

価格差の設計ルール

パターンA:原価率を揃える

サイズ原価原価率33%の売価差額
150g770円2,333円 → 2,300円
200g975円2,955円 → 3,000円+700円
300g1,385円4,197円 → 4,200円+1,200円

パターンB:差額を段階的に設定する(現実的)

サイズ売価差額原価率
150g2,200円35.0%
200g2,800円+600円34.8%
300g3,800円+1,000円36.4%

パターンAは理想ですが、300gが4,200円になると注文が減ります。実際にはパターンBで、300gの差額を1,000〜1,200円に設定して利益を確保するのが現実的です。

差額の目安:追加肉の実質原価の2〜2.5倍。100g(実質400円)の追加なら、差額は800〜1,000円。


ソースの原価管理

ステーキのソースは種類が多いほど管理が複雑になります。

主要ソースの原価(1食分)

ソース使用量原価特徴
ガーリックバター30g55円人気No.1、バター価格に注意
和風おろし40ml30円大根おろし+ポン酢、安い
デミグラス40ml45円仕込みに時間がかかる
わさび醤油20ml20円最もシンプル
赤ワインソース35ml65円ワインの銘柄で大きく変動

ガーリックバターは人気がありますが、バターの価格高騰(2025年に前年比+15%)の影響で原価が上がっています。ソース全種を同一価格で提供するなら、人気比率を踏まえて平均原価で管理しましょう。

ソースのブレを防ぐ方法

  • ディスペンサーで定量化する:スプーン盛りは量がブレる。30mlのディスペンサーで「1プッシュ」と決める
  • 仕込み量を標準化する:レシピカードを作成して、新人でも同じ量・同じ味で作れるようにする
  • 高原価ソースは追加料金にする:赤ワインソースやトリュフバターなど原価65円以上のソースは+200〜300円で提供する

付け合わせで利益を守る

ステーキ単体の原価率は35〜40%。これを全体で30〜33%に下げるカギが付け合わせとサイドメニューです。

付け合わせの原価(皿に含むもの)

付け合わせ原価原価に占める割合
フライドポテト 80g32円3.3%
コーン 30g18円1.8%
ミックスサラダ 60g45円4.6%
にんじんグラッセ 30g12円1.2%
付け合わせ合計107円11.0%

これらは原価率が低い上に、見た目の満足度を大きく左右します。付け合わせを増やしても原価はほとんど増えないのに、「お得感」は上がります。

サイドメニューの追加注文で利益を積む

サイドメニュー追加原価売価粗利原価率
オニオンスープ35円300円265円12%
シーザーサラダ65円450円385円14%
ガーリックライス55円350円295円16%
ベイクドポテト40円280円240円14%
コーンポタージュ30円280円250円11%
デザート(アイス2種)45円380円335円12%

スープやサラダの原価率は11〜16%。ステーキ本体の35%に比べて圧倒的に利益率が高い。

セット構成の効果

仮にステーキ200g(2,800円)にサラダ+スープセット(+580円)を付けると:

ステーキ単体:原価975円 ÷ 売価2,800円 = 34.8%
セット追加分:原価100円 ÷ 売価580円 = 17.2%
セット全体:原価1,075円 ÷ 売価3,380円 = 31.8%

原価率が34.8%から31.8%に3ポイント改善。セット率が上がるほど全体の利益が改善します。

セット率を40%に上げるだけで:

1日30食 × 40% × 580円 = 6,960円/日
月間(25日) = 174,000円
追加原価 = 30食 × 40% × 100円 × 25日 = 30,000円
追加粗利 = 174,000 − 30,000 = 144,000円/月

セットだけで月14.4万円の粗利増。年間で約173万円。


肉の仕入れコストを下げる方法

仕入れ先と単価の目安

仕入れ先100gあたり(リブロース)メリットデメリット
食肉卸(国産)250〜350円品質安定、信頼性価格が高い
食肉卸(輸入)150〜220円コスト安い品質にバラつき
業務用EC180〜280円比較しやすい送料がかかる
直接仕入れ(牧場)200〜300円ストーリー性ロットが大きい

コスト削減の実践

  1. 国産と輸入を組み合わせる:看板メニューは国産、ランチは輸入とわける
  2. 部位の使い分け:ディナーはリブロース、ランチはランプやイチボで原価を下げる
  3. 仕入れ単位を大きくする:kg単位で買うと100gあたり10〜30円安くなる
  4. 端材の活用:カレー、ハヤシ、まかない、ハンバーグの材料にする

月次の利益シミュレーション

前提

  • 営業日数:25日
  • 1日の平均食数:30食
  • 平均客単価:3,200円(セット含む)
月間売上 = 30食 × 3,200円 × 25日 = 2,400,000円

原価率33%の場合:
原価 = 792,000円
粗利 = 1,608,000円

原価率38%の場合(歩留まりブレ・セット率低い・ソース多め):
原価 = 912,000円
粗利 = 1,488,000円

差額 = 120,000円/月 = 年間1,440,000円

原価率5ポイントの差が、年間144万円の利益差になります。ステーキハウスは客単価が高い分、原価率のブレが利益に与える影響も大きい。


今週やること

  • 仕入れている肉の歩留まりを実測する(トリミング前後の重量を量る)
  • 歩留まり込みの実質単価を計算し直す
  • サイズ別の価格差が追加原価の2倍以上あるか確認する
  • ソースの使用量をディスペンサーまたは計量で固定する
  • サイドメニューの構成と価格を見直し、セット率の目標を設定する
  • 端材の使い道リストを作成して、廃棄を減らす

関連ガイド


肉の歩留まりと付け合わせを登録すれば、1皿の原価が自動で出ます。サイズ別の原価率比較もひと目で。KitchenCost は無料で使えます。

よくある質問

ステーキ1皿の原価はどれくらい?

リブロース200g(税抜2,800円)の場合、原価は約980〜1,100円が目安です。内訳は肉700〜800円、ソース40〜60円、付け合わせ100〜130円、油・調味料30〜40円。肉が全体の70〜75%を占めるため、仕入れ単価と歩留まりの管理がそのまま利益管理になります。

歩留まりとは何?ステーキではどう計算する?

歩留まりは仕入れた肉のうち、実際に提供できる割合です。例えばリブロース1kgを仕入れて、筋・脂をトリミングした後に700gが使えるなら歩留まり70%。仕入れ単価が100gあたり280円でも、実質単価は280÷0.7=400円になります。歩留まりを無視すると原価が30%近く過小計算になります。

150g・200g・300gの価格差はどう設計する?

追加グラム分の実質原価(歩留まり込み)に利益を乗せて設計します。200g→300gで肉の実質原価が約400円増えるなら、価格差を800〜1,000円に設定して原価率を維持します。差額が小さすぎると大きいサイズが出るほど利益が減ります。

ステーキハウスで原価率を下げるコツは?

付け合わせとサイドメニューの活用です。ポテト(原価30円・売価200円)、サラダ(原価50円・売価350円)、ライス(原価25円・売価200円)は原価率が15〜25%と低い。ステーキ単体の原価率35〜40%を、セット全体で30〜33%に抑えることが可能です。

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