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しゃぶしゃぶ店、肉10gのズレが月3万円の利益差——グラム管理と食べ放題の原価設計

しゃぶしゃぶは肉10gのズレで月に18,000〜30,000円の利益が消える。豚しゃぶ定食435円、牛しゃぶコース890円の内訳から、食べ放題の平均提供量管理まで。しゃぶしゃぶ店の利益を守る原価管理をまとめました。

公開 2026年2月4日
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更新 2026年2月18日
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目次

しゃぶしゃぶは肉の業態ですが、利益を決めるのは肉のグラム管理です。

120gで設計した豚しゃぶの肉が、盛り付けで130gになっている。たった10gの差。でもこれが毎日40人分だと、1日で400g。豚バラ100gあたり175円なら、1日700円のズレ。月に18,200円。年間で22万円の利益が消えます。

しゃぶしゃぶは肉だけじゃない。だしつけだれ野菜。全部合わせて1人前の原価を出さないと、利益は見えない。

先に結論

  • 豚しゃぶ定食1人前の原価は約435円。肉210円が全体の48%を占める
  • 肉のグラムが10gズレると月に18,000〜30,000円の利益差
  • だし+つけだれで1人60〜90円。月間6〜9万円の固定コスト
  • 食べ放題は「平均提供量」の管理がすべて。初回150g+追加50g単位が目安
  • 野菜セットは利益の柱。原価率24〜27%で肉の高原価率を補う

豚しゃぶ定食1人前の原価を分解する

例:豚しゃぶ定食(税抜1,450円)

項目原価
豚バラ肉120g210円
野菜セット(白菜・ネギ・豆腐・えのき)1人前120円
だし(昆布だし)1人前25円
つけだれ(ごまだれ+ポン酢)1人前35円
〆(うどん)1玉45円
合計435円

原価率:435 ÷ 1,450 = 30.0%

※ 豚バラは100gあたり175円(農水省 食品価格動向調査 2026年1月)で計算。

30%は飲食店の目安(30〜35%)のぎりぎり下限。肉を130gに増やすだけで原価が452円になり、原価率は31.2%に上がります。


肉のグラム管理が利益を決める

しゃぶしゃぶの原価で最も影響が大きいのは肉のグラムです。

10gのズレが月間利益に与える影響

提供量豚バラ原価1人前合計原価原価率月間差(40人/日)
110g193円418円28.8%
120g210円435円30.0%+17,680円
130g228円453円31.2%+35,360円
140g245円470円32.4%+54,080円

120gの設計なのに実際は130〜140gになっていたら、年間で20〜40万円の利益が消えている計算です。

グラムがブレる原因

  • 手盛りで目分量:スタッフごとに10〜20gの差が出る
  • 見栄えを優先:皿に対して少なく見えるとつい多めに盛る
  • 肉のスライスの厚さ:厚切りになると同じ枚数でもグラムが増える
  • 解凍後のドリップ:解凍した肉は水分を含んで重量が変わる

対策:提供前にスケールで計量する。 忙しい時間帯は事前にポーション分けして冷蔵庫に入れておく。120gの肉を5〜6枚にスライスし、枚数でも管理できるようにする。


牛しゃぶコースの原価設計

牛しゃぶは客単価が高い分、原価も上がります。コース全体で利益を設計する必要があります。

例:牛しゃぶコース(税抜3,800円)

項目原価
牛ロース150g480円
野菜盛り合わせ1人前150円
だし(昆布だし)1人前30円
つけだれ(ごまだれ+ポン酢)1人前40円
前菜(胡麻豆腐など)1品60円
〆(雑炊セット)1人前50円
デザート(わらび餅など)1品80円
合計890円

原価率:890 ÷ 3,800 = 23.4%

牛肉が原価の54%を占める。コースの前菜・デザートは原価率が低いので、コース全体で見ると原価率を抑えられます。

肉の部位別コスト比較

部位100gあたり原価150g原価特徴
牛ロース320円480円定番。脂と赤身のバランスが良い
牛バラ245円368円コスト重視。脂が多い
牛肩ロース290円435円ロースより安く、バランスが良い
和牛ロース600円900円プレミアム。コース5,000円以上向き

ロースから肩ロースに変えると150gあたり45円の差。1日20食で月間23,400円のコスト削減。ただし味の評価に影響するので、まずは少量テストしてから。


だし・つけだれの原価を見落とさない

「だしとたれなんて大したことない」と思われがちですが、全客数にかかる固定原価です。

だしの原価比較

だしの種類材料1人前原価特徴
昆布だし昆布10g25円定番。コストが安い
鰹昆布だし昆布10g+鰹節5g35円風味が良い。やや高い
豆乳だし無調整豆乳200ml40円女性に人気。コストは高め
火鍋だしスパイス+唐辛子45円差別化向き。材料費がかかる

つけだれの原価比較

たれの種類1人前原価備考
ポン酢15円市販品を小分け。最もコストが安い
ごまだれ35円練りごまが高い。自家製でも30円前後
ポン酢+ごまだれ(両方提供)50円2種類提供は1人あたり15円増
柚子ポン酢(自家製)25円季節限定で差別化

月間コストの計算

だし25円 + つけだれ50円(2種類) = 75円/人
1日40人 × 75円 = 3,000円/日
月間:3,000円 × 26日 = 78,000円

年間で約94万円。だしとたれだけでこの金額です。

コスト削減のポイント:

  • ごまだれを「つけ放題」にしない。小皿で適量を提供し、おかわりは声かけ制にする
  • だしは昆布だしをベースにし、鰹だしは上位コースのみにする
  • ポン酢は1人あたり30mlに固定(小皿の7分目)

野菜セットで利益を守る

しゃぶしゃぶの利益構造は「肉で原価率が高くなる分を、野菜で下げる」仕組みです。

野菜セット1人前の原価内訳

野菜原価
白菜80g16円
長ネギ1/3本25円
豆腐(木綿)1/4丁20円
えのき1/4袋25円
しいたけ2枚18円
春菊少量16円
合計120円

セット価格500円での原価率:24.0%

野菜追加注文の利益

追加メニュー原価売価原価率粗利
野菜盛り追加100円400円25%300円
きのこ盛り60円350円17%290円
豆腐追加20円150円13%130円
水菜サラダ45円300円15%255円

野菜追加は原価率13〜25%。肉追加(原価率35〜40%)よりはるかに利益率が高い。メニュー上で野菜追加を肉追加と同じくらい目立たせるのが重要です。


食べ放題の原価管理

しゃぶしゃぶ食べ放題は「原価率が読めない」と敬遠されがちですが、平均提供量を管理すればコントロールできます。

食べ放題の平均提供量

客層平均提供量肉の原価(豚バラ)
男性(20〜40代)350〜400g613〜700円
女性(20〜40代)200〜250g350〜438円
全体平均280〜320g490〜560円

食べ放題の原価設計(90分制・豚しゃぶ)

項目原価
肉(平均300g)525円
野菜セット120円
野菜追加(平均1回)80円
だし25円
つけだれ50円
〆(うどん or 雑炊)50円
ドリンクバー原価30円
合計880円

食べ放題価格2,980円での原価率:29.5%

提供量をコントロールする仕組み

食べ放題で原価が膨らむのは「最初にドカンと出す」パターンです。

典型的な失敗パターン:
初回提供 → 200g(一気に大量)
追加1回目 → 100g
追加2回目 → 100g
合計 → 400g(原価率35%超え)

管理されたパターン:
初回提供 → 150g(やや少なめ)
追加1回目 → 50g
追加2回目 → 50g
追加3回目 → 50g
合計 → 300g(原価率30%以内)

初回を150gに抑え、追加を50g単位にする。 追加の間に野菜やだしを勧めることで、肉の総消費量を抑えます。

食べ放題の時間制限の効果

時間制限平均肉消費量原価率の傾向
60分250〜280g25〜28%
90分280〜320g28〜32%
120分350〜400g33〜38%
無制限400g+35%+

90分制が原価率と顧客満足度のバランスが最も良い。120分にすると原価率が3〜5ポイント上がりますが、客単価はほぼ変わりません。


人件費を含めたプライムコスト

1食あたりの人件費計算

時給1,121円(2025年全国加重平均最低賃金)
1時間の接客・調理数:8食(しゃぶしゃぶは提供後のオペレーションが少ない)
1食あたり人件費 = 1,121 ÷ 8 = 約140円

プライムコスト

豚しゃぶ定食の場合:
材料原価435円 + 人件費140円 = 575円
売価1,450円に対するプライムコスト率 = 39.7%

牛しゃぶコースの場合:
材料原価890円 + 人件費140円 = 1,030円
売価3,800円に対するプライムコスト率 = 27.1%

プライムコスト率は55〜60%以下が目標。豚しゃぶ39.7%、牛しゃぶコース27.1%と、どちらも安全圏です。しゃぶしゃぶは提供後のオペレーションが少ない分、プライムコスト率を低く抑えやすい業態です。


月次の利益シミュレーション

前提

  • 営業日数:26日
  • 1日の客数:40人
  • 豚しゃぶ60%・牛しゃぶコース30%・食べ放題10%
  • 平均客単価:2,200円
月間売上 = 40人 × 2,200円 × 26日 = 2,288,000円

【原価管理が良い場合(原価率28%)】
原価 = 640,640円
粗利 = 1,647,360円

【原価管理が甘い場合(原価率34%)】
原価 = 777,920円
粗利 = 1,510,080円

差額 = 137,280円/月 = 年間1,647,360円

原価率6ポイントの差が年間165万円の利益差。その内訳は:

  • 肉のグラムブレ(+10〜20g/人):月40,000〜80,000円
  • つけだれの出しすぎ:月15,000〜25,000円
  • 食べ放題の初回提供量が多い:月20,000〜30,000円
  • 季節の野菜価格を未反映:月10,000〜20,000円

今週やること

  • 肉の提供グラムを120g(豚しゃぶ)/150g(牛しゃぶ)に固定し、スケールで計量する
  • 忙しい時間帯に備えて、肉のポーション分けを事前に済ませる
  • だし1人前・つけだれ1人前の原価を計算し、原価表に反映する
  • ごまだれの提供量を小皿で固定し、おかわりは声かけ制にする
  • 食べ放題の初回提供量を150gに統一し、追加は50g単位にする
  • 野菜追加メニューをメニュー表の目立つ位置に移動する
  • 月次で肉の仕入れ単価と消費量を記録し、グラム単価の変動を追跡する

関連ガイド


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Sources

よくある質問

しゃぶしゃぶ1人前の原価はどれくらい?

豚しゃぶ定食(豚肉120g)で約435円、牛しゃぶコース(牛肉150g+野菜+〆+デザート)で約890円が目安です。肉が原価の48〜56%を占めるので、グラム管理がそのまま利益管理になります。

食べ放題の原価率はどう管理する?

食べ放題の平均提供量は男性350〜400g、女性200〜250gで、全体平均280〜320gです。90分制の場合、最初の30分で全体の60%を消費するため、初回提供量を150gに固定し追加を50g単位にすると平均300g前後に収まります。食べ放題3,500円なら原価1,050円(原価率30%)が目標です。

だしやつけだれの原価は無視していい?

無視できません。昆布だし1人前25〜40円、ごまだれ1人前35〜50円。1人あたり60〜90円で、1日40人なら月間62,400〜93,600円の固定コストです。特にごまだれは練りごまが高く、ポン酢(1人前15〜20円)の2.5倍かかります。

野菜セットの原価はどう考える?

野菜セット1人前の原価は120〜160円で原価率が低い利益商品です。白菜・ネギ・豆腐・えのき・春菊で構成し、見た目のボリュームを出しつつ原価を抑えます。セット価格500〜600円なら原価率24〜27%。肉の原価率(35〜40%)を野菜で下げるのが、しゃぶしゃぶの利益構造です。

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