サラダは野菜が主役だから原価が安い——と思って始める人は多いですが、実際はそうでもありません。
サラダボウル1杯の原価を分解してみると、野菜ベース150〜200円、タンパク質トッピング100〜200円、ドレッシング15〜35円、容器40〜55円。 合計すると350〜500円になることがざらにあります。
税込990円のサラダボウルで原価が450円なら、原価率は50%。これは飲食業の中でもかなり高い数字です。
理由は3つ。野菜のロスが多いこと、タンパク質トッピングが高いこと、そしてテイクアウト容器が重いこと。
先に結論
- サラダの原価は野菜だけでなく「トッピング+ドレッシング+容器」で決まる
- 野菜の洗いロス・カットロスは20〜30%。 仕入れ値の2〜3割が捨てる部分
- タンパク質トッピング(鶏肉・サーモン・エビ)が原価の40〜50%を占める
- テイクアウト容器は1食35〜55円。 月に数万円のコスト
- ドレッシングの「かけ放題」は利益を削る。 計量ボトルか小分けパックで管理
サラダボウル1杯の原価を分解する
例1:グリルチキンサラダボウル(税込990円 → 税抜900円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| レタス(ロメイン) | 80g | 40円 |
| ベビーリーフ | 20g | 25円 |
| トマト | 40g | 24円 |
| きゅうり | 30g | 12円 |
| アボカド | 1/4個 | 50円 |
| グリルチキン | 80g | 120円 |
| ナッツ | 10g | 20円 |
| ドレッシング(自家製) | 30ml | 25円 |
| テイクアウト容器 | 1式 | 45円 |
| 合計 | 361円 |
原価率:361 ÷ 900 = 40.1%
例2:サーモンアボカドボウル(税込1,200円 → 税抜1,091円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 葉野菜ミックス | 80g | 50円 |
| トマト | 30g | 18円 |
| アボカド | 1/2個 | 100円 |
| スモークサーモン | 60g | 180円 |
| クリームチーズ | 15g | 27円 |
| オリーブ | 5個 | 15円 |
| ドレッシング | 30ml | 25円 |
| 容器 | 1式 | 45円 |
| 合計 | 460円 |
原価率:460 ÷ 1,091 = 42.2%
サーモンとアボカドだけで280円。 原価の6割がこの2品目です。
例3:ベジタブルサラダ(税込780円 → 税抜709円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 葉野菜ミックス | 100g | 55円 |
| にんじん | 30g | 8円 |
| きゅうり | 30g | 12円 |
| トマト | 40g | 24円 |
| コーン | 20g | 10円 |
| クルトン | 10g | 8円 |
| ドレッシング | 30ml | 25円 |
| 容器 | 1式 | 45円 |
| 合計 | 187円 |
原価率:187 ÷ 709 = 26.4%
タンパク質トッピングなしなら原価率26%。 野菜だけのサラダは原価率が低い。でもこれだと「お腹がいっぱいにならない」ので客単価が上がらない。
→ 利益の出し方はベジサラダで集客し、タンパク質をトッピングで追加注文させる設計です。
野菜のロス率は想像以上に高い
主な野菜のロス率
| 野菜 | 仕入れ量 | 使える量 | ロス率 |
|---|---|---|---|
| レタス | 300g | 210〜240g | 20〜30% |
| キャベツ | 1kg | 750〜800g | 20〜25% |
| きゅうり | 100g | 90〜95g | 5〜10% |
| トマト | 150g | 130〜140g | 7〜13% |
| アボカド | 200g | 100〜120g | 40〜50% |
| にんじん | 150g | 130〜140g | 7〜13% |
アボカドは半分が皮と種。 仕入れ値の50%が廃棄部分です。1個200円のアボカドで使える果肉は100〜120g。実質グラム単価は1.7〜2.0円/g。
レタスも外葉と芯で20〜30%のロス。300gのレタスから使えるのは210〜240g。仕入れ値200円なら、使える部分のグラム単価は0.83〜0.95円/g。
原価計算は「仕入れ量」ではなく「使える量」で計算する。 これを間違えると原価率が5〜10%ズレます。
ドレッシングの原価管理
自家製ドレッシングの例(1バッチ500ml)
| 材料 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| オリーブオイル | 200ml | 180円 |
| 酢(バルサミコ) | 100ml | 120円 |
| レモン汁 | 50ml | 40円 |
| 塩・胡椒・ハーブ | — | 30円 |
| はちみつ | 30ml | 45円 |
| 合計 | 415円 |
1食分30mlあたり:415 ÷ 16.7食 = 約25円
ドレッシングの「ひと回し多め」問題
1食30mlが40mlになると、原価は25円→33円。
+10ml × 50食/日 × 25日 = 10,000円/月
対策:計量ボトル(ポンプ式)か、小分けカップ(30ml)で提供する。 お客さんに好きなだけかけさせる方式は原価が読めなくなります。
テイクアウト容器のコスト
サラダ専門店はテイクアウト比率が50〜70%と高い業態です。容器コストが利益に直結します。
| 容器・資材 | 1食あたり |
|---|---|
| 透明ボウル(500ml) | 18〜25円 |
| 蓋 | 8〜12円 |
| フォーク or 箸 | 3〜5円 |
| ドレッシング小分けカップ | 5〜8円 |
| 手提げ袋 | 5〜8円 |
| 合計 | 39〜58円 |
1日50食テイクアウトなら、月48,750〜72,500円。
店内と同じ価格にすると毎月数万円が消える。 テイクアウトは+80〜100円の価格設定にするか、容器持参割引(−50円など)で対応するのが現実的です。
トッピングの価格設計
サラダ専門店の利益はトッピングの追加注文で決まります。
| トッピング | 原価 | 追加価格 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| グリルチキン(80g) | 120円 | +280円 | 43% |
| ゆで卵(1個) | 22円 | +80円 | 28% |
| アボカド(1/4個) | 50円 | +150円 | 33% |
| サーモン(60g) | 180円 | +380円 | 47% |
| ナッツミックス(15g) | 30円 | +100円 | 30% |
| チーズ(20g) | 40円 | +120円 | 33% |
| 豆腐(80g) | 15円 | +80円 | 19% |
豆腐とゆで卵は原価率が最も低いトッピング。 メニュー表でこの2つを目立つ位置に置くと、全体の原価率を下げやすくなります。
廃棄を減らす3つのルール
1. カット野菜は当日分だけ仕込む
カットした野菜は翌日には色が変わって使えなくなるものが多い。レタス、アボカド、きゅうりは当日消費が基本。
2. 売れ残りは時間帯で集計する
「何時以降に売れ残るか」を1週間記録するだけで、仕込み量の精度が上がります。
3. 端材はスムージーやスープに回す
レタスの外葉、にんじんの端、アボカドの小さすぎるカット——これらは廃棄するよりスムージーやスープに回した方がコストを回収できます。
今週やること
- 主力3品のボウル重量を秤で計量し、基準グラムを固定する
- レタス・アボカドのロス率を実測する(洗い前→使用可能量)
- ドレッシングを計量ボトルか小分けカップに切り替える
- テイクアウト容器の1食あたりコストを計算し、テイクアウト価格を見直す
- カット野菜の仕込み量を前日の販売数ベースで決めるルールを試す
関連ガイド
野菜・トッピング・ドレッシングの原価を登録すれば、サラダボウル1杯の原価が自動で出ます。仕入れ値が変わっても一括更新。KitchenCost を使ってみてください。