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ローストビーフ丼専門店の原価ガイド——生肉500gが焼き上がり350gになる現実

ローストビーフ丼1杯の原価を肉・歩留まり・ソース・卵黄・ご飯に分解。生肉500gが焼成後350gに縮む現実と、スライス厚みの統一、ソース原価の計上、サイズ別の価格設計まで、個人経営の専門店向けにまとめました。

更新 2026年2月18日
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目次

ローストビーフ丼は「映える丼」の代名詞。赤身の肉がご飯の上にたっぷり並ぶ写真は、それだけで集客力があります。

でもこのメニュー、**原価管理が甘いと「映えるけど儲からない」**メニューの筆頭にもなりえます。

最大の理由は歩留まりです。生肉500gを買っても、焼き上がりは350gしか残らない。仕入れ値の1.4倍が実質原価——この計算をしていない店が、思ったより多い。

先に結論

  • ローストビーフの実質原価は仕入れ値の1.4倍。 焼き縮みで30%減る
  • スライスの厚みで見た目と原価が変わる。 薄くスライスすればg数を抑えて映える
  • ソース+卵黄で1杯40〜50円。 原価に含めないと利益を見誤る
  • サイズ展開で粗利率を改善できる。 特盛は追加原価以上に売価を乗せる

ローストビーフ丼1杯の原価を分解する

例:ローストビーフ丼・並(税抜売価1,200円)

項目原価
ローストビーフ(焼き上がり)90g386円
ご飯200g38円
グレービーソース30ml18円
卵黄1個25円
わさび2g5円
ねぎ・大葉5g3円
合計475円

原価率:475 ÷ 1,200 = 39.6%

ローストビーフ丼は原価率35〜45%が一般的。肉が主役の業態なので30%以下は難しい。粗利額で勝負するメニューです。

歩留まりの計算——ここを間違えると全部狂う

ローストビーフの原価計算で最も大切なのは、焼き縮み(歩留まり)を正確に把握することです。

もも肉ブロックの歩留まり

工程重量歩留まり
仕入れ(ブロック)500g100%
トリミング後(筋・脂除去)480g96%
焼成後(低温調理)360g72%
スライス後(端材除去)345g69%

500gの肉から使えるスライスは345g。 仕入れ価格3,000円/kgの場合:

仕入れ原価 = 500g × 3円/g = 1,500円
実質単価 = 1,500 ÷ 345g = 4.35円/g
1杯90g = 4.35 × 90 = 約391円

仕入れ価格だけで計算すると270円(3円/g × 90g)。歩留まりを含めると391円。121円の差が毎杯発生します。

月間差額:121円 × 50杯/日 × 25日 = 月に151,250円の過大評価

スライスの厚みと見た目

ローストビーフ丼はスライスの仕方で「見た目のボリューム」を調整できるのが特徴です。

スライス厚90gの枚数見た目の印象
5mm(厚め)3〜4枚肉感強い、枚数少ない
3mm(標準)5〜6枚バランス良い
2mm(薄め)7〜8枚華やか、たっぷり感

同じ90gでも、薄くスライスすれば枚数が増えて「たっぷり感」が出る。 写真映えも良くなるので、集客にもプラス。

スライスの厚みはスライサーの設定で固定する。手切りだとスタッフによってバラつきが大きく、1杯で20〜30gの差が出ます。

ソースと卵黄の原価

ソースと卵黄は「おまけ」ではなく原価の一部です。

グレービーソース1バッチ(25杯分)

材料原価
肉汁(焼成時に出る)200ml0円(肉代に含む)
赤ワイン100ml40円
醤油50ml10円
みりん50ml10円
バター10g8円
にんにく5g3円
合計71円
ソース原価(1杯30ml)= 71 ÷ 25 = 約3円

安く見えますが、市販のローストビーフソースを使う場合は1杯15〜20円。自家製のほうがコストは下がるが、手間がかかります。

卵黄は1個25〜30円。ソース+卵黄で1杯30〜50円。月に37,500〜62,500円です。

サイズ別の価格設計

サイズ肉量(焼き上がり)原価推奨売価原価率粗利
ミニ60g365円980円37.2%615円
90g475円1,200円39.6%725円
大盛り120g585円1,500円39.0%915円
特盛150g716円1,900円37.7%1,184円

特盛は原価+241円に対して売価+700円。 粗利が459円増えます。特盛を注文するお客さんはリピーターが多いので、積極的にメニューに載せる価値があります。

今週やること

  • 肉ブロックの焼成前後の重量を3回測り、自店の歩留まり率を出す
  • スライサーの厚みを3mmに固定する
  • ソースのバッチ原価を計算し、1杯あたりの原価を把握する
  • サイズ別の原価率を再計算する
  • 端材の転用メニュー(まかない、サラダ、サンドイッチ)を決める

関連ガイド

出典


肉の歩留まりとスライス量を登録すれば、1杯あたりの実質原価がすぐ見えます。仕入れ値が変わったら全メニュー自動更新。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

歩留まりはどう計算する?

生肉の重量と焼成後の重量を実測してください。もも肉ブロック500gなら焼成後350〜375g(歩留まり70〜75%)。仕入れ価格3,000円/kgの肉は、焼き上がりベースでは4,000〜4,285円/kgです。

盛り量は何gが妥当?

焼き上がりベースで80〜100gが標準です。薄くスライスして並べると「見た目のボリューム」は出せるので、80gでも満足感を作れます。特盛は130〜150gで+300〜400円が目安です。

ソースは原価に入れる?

必ず入れてください。自家製グレービーソース30ml=15〜20円、卵黄1個=25〜30円。ソースと卵黄だけで1杯40〜50円。1日50杯で月に50,000〜62,500円です。

ご飯量はどう管理する?

200gを標準とし、大盛り250g(+100円)で設計します。丼の底が浅い器を使えば、200gでも見た目のボリュームを出せます。

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