月末、光熱費の請求書を見て「高いな」と思っても、それで終わりにしていませんか?
電気・ガス・水道は「固定費」と思われがちですが、飲食店では実質的な原価です。5時間煮込むスープ、朝から晩まで動くオーブン、ひっきりなしに開閉する冷蔵庫——どれもメニューの利益を静かに削っています。
先に結論
- 光熱費は仕込み・調理の原価として扱う
- 配賦は「時間基準」が最もシンプル(月間光熱費÷稼働時間)
- 価格改定の前に光熱費の動きをチェックする
- 四半期ごとに再計算し、燃料費調整が動いた月は即見直し
なぜ光熱費がブレるのか
- 季節で使用量が変わる——夏はエアコンと冷蔵庫、冬はガスと暖房
- 長時間仕込みが重なると一気に増える——スープ、低温調理、スモーク
- 燃料費調整で単価が動く——同じ使い方でも請求額が変わる
燃料費調整は毎月の料金に反映されます。「使い方は変わっていないのに請求が増えた」という場合、たいていこれが原因です。
2025年の物価データ
総務省統計局の2025年平均CPIによると、
- 食料:前年比 +6.8%
- 光熱・水道:前年比 +3.6%
食材も光熱費も上がっている。原価の見直しが遅れると、両方から利益が挟み撃ちされます。
基本の計算式
光熱費/時間 = 月間光熱費 ÷ 月間稼働時間
光熱費/バッチ = 光熱費/時間 × 仕込み時間
光熱費/商品 = 光熱費/バッチ ÷ 仕込み量
例:スープの仕込み配賦
- 月間光熱費:90,000円
- 月間稼働時間:300時間
光熱費/時間 = 90,000 ÷ 300 = 300円
5時間煮込むスープバッチの場合:
光熱費/バッチ = 300円 × 5時間 = 1,500円
40食分なら:
光熱費/食 = 1,500 ÷ 40 = 37.5円
この37.5円、見落としていませんか。月1,000杯出るなら月3万7,500円。食材原価だけで原価率を計算していると、この分がまるごと利益から消えています。
光熱費が重い業態・メニュー
- ラーメン店の長時間スープ(8〜12時間)
- 低温調理・スモーク(6〜24時間)
- オーブン主体のベーカリー(朝から稼働)
- 揚げ物中心の店舗(油温の維持)
- 冷凍庫・ショーケースが多い業態(24時間稼働)
心当たりがあるなら、光熱費の配賦は「やったほうがいい」ではなく「やらないと利益が見えない」レベルです。
削減のポイント
- 仕込みをまとめて回す(小分けにするほど立ち上げコストが増える)
- 鍋のサイズと火力を最適化する(大きい鍋に少量は非効率)
- 冷蔵庫の開閉回数を減らす(導線を見直すだけで変わる)
- 食洗機はまとめ洗いにする(1回の稼働コストは同じ)
今週やること
- 過去3ヶ月の光熱費請求書を集めて月平均を出す
- 月間稼働時間を確認し、1時間あたりの光熱費を計算する
- 仕込み時間が長いメニュー上位3品を特定する
- その3品に光熱費を配賦して原価を再計算する
- 四半期ごとの見直し予定をカレンダーに入れる
関連ガイド
光熱費まで含めて原価を自動計算するなら、KitchenCost を確認してください。