月末、通帳を見てため息をついたことはありませんか?
「売上は悪くないはずなのに、なぜか残ってない」。
開業セミナーでも税理士さんからも「原価率は30%に抑えましょう」と言われる。だから30%前後に収まっていれば安心だと思っていた。
でも実は、その30%があなたの店に合っている保証はどこにもない。
先に結論
- 「原価率30%」は全業態の平均でしかない。 カフェなら24%、焼肉なら40%超が現実
- 原価”率”より原価”額”のほうが大事。 同じ30%でも粗利は280円以上差がつく
- フードロスだけで年間160万円消えている店もある
- まず売上トップ5の原価を出す。 それだけで見え方が変わる
ラーメン屋とカフェでは、適正値がまるで違う
金融庁の「業種別支援の着眼点」によれば、飲食店の平均原価率はたしかに30%前後。ただ、これは全業態をならした数字にすぎない。
業態ごとに見ると、景色がまったく変わる。
| 業態 | 原価率の目安 |
|---|---|
| ラーメン店 | 約30% |
| 居酒屋 | 25〜40% |
| カフェ・喫茶店 | 24〜35% |
| 焼肉店 | 35〜45% |
カフェはドリンク比率を高めれば24%まで落とせる。一方、焼肉店は肉の仕入れが売上の4割近くを占めることもある。
体温計を見ずに「たぶん平熱」と言っているようなもの。自分の業態の数字を知らないまま「30%だから大丈夫」は危ない。
2025年、飲食店の96%が仕入れ高騰に直面している
もうひとつ、見逃せない現実がある。
飲食店の96.0%が食材の値上がりに直面している。 2025年4月だけで4,225品目が一斉値上げされた。卵、小麦粉、食用油、バター——メニューを構成する食材の大半が上がっている。
ところが実際に値上げした店は64.9%どまり。差し引き約30ポイント分のコスト増をオーナーが自腹で吸収している計算だ。
2025年の飲食店倒産は1,002件。過去30年で最多で、しかも倒産の88.4%が資本金1千万円未満の小規模店。「値上げしたらお客さんが来なくなる」と我慢し続けた先に、閉店がある。
原価率より大事な「粗利額」の視点
ここで少し視点を変えてみたい。
800円のラーメンを原価率30%で提供していたとする。原価240円、粗利560円。
同じ30%でも1,200円のラーメンなら原価360円、粗利840円。1杯あたりの粗利が280円も違う。
原価率という「割合」だけ見ていると、この差に気づけない。大切なのは1品あたりいくら手元に残るか——つまり粗利額のほうだ。
人気メニューの原価率が多少高くても、粗利額が大きければ店は回る。逆に原価率が低くても売値が安すぎれば利益は残らない。
「どんぶり勘定」が静かに店を閉める
個人経営の飲食店でありがちなのが、原価を「だいたいこのくらい」で計算しているパターン。
- 仕入れ伝票を月末にまとめて見るだけ
- メニューごとの原価を計算していない
- ロス(廃棄)を金額に換算していない
フードロスだけで売上の3〜8%を失っている店は珍しくない。年商2,000万円の店なら、最大160万円が”見えないコスト”として消えている。
個人事業主の約4割が1年以内に廃業し、10年後まで生き残れるのは約1割。その大きな原因のひとつが「資金繰り=コスト管理の甘さ」だ。
今週やること
- 売上トップ5の原価を出す。 全メニューは不要。まず5品だけ、材料をグラム単位で書き出す。「思ったより高い」と気づくメニューが必ずある
- 廃棄を1週間だけ記録する。 捨てた食材の量と金額をメモするだけでいい。「こんなに捨ててたのか」と驚くはずだ。それが削減のスタートライン
- 原価管理を”仕組み化”する。 Excelでもいいが、食材価格は毎週変わる。手入力では追いつかなくなる。レシピを登録すると原価を自動計算してくれるアプリもある。KitchenCostなら、食材価格が変わった瞬間に原価率がリアルタイムで更新されるので、「今、うちの店は儲かっているのか」が一目でわかる
「30%」という数字に安心していた頃には、もう戻れない。でも数字を見える化すれば、打てる手は必ずある。
まずは、自分の店の”本当の原価率”を知ることから始めてみてほしい。
飲食店の原価率と粗利額を同時に見える化するなら。KitchenCost を使ってみてください。