「原価率は30%なのに、なぜ利益が残らない?」
食材費だけ見ればちゃんと管理できている。メニュー別の原価率も計算した。でも月末の精算で、手元にお金が残らない。
この悩みを持つ飲食店オーナーは多いです。原因はほぼ間違いなく人件費。
本当に見るべき数字は、原価率ではなく**FLコスト(プライムコスト)**です。
要点まとめ
- FLコスト = 食材費(F)+ 人件費(L)
- 60%が限界ライン — 超えると利益がほとんど残らない
- 業態によって**55〜65%**が適正範囲
- 食材費・人件費を別々に分析して問題箇所を特定する
プライムコストとは?(flコスト / fl コスト)
検索では「プライムコスト とは」「flコストとは」「fl コストとは」など、表記ゆれで探されることが多いです。
意味はすべて同じで、食材費 + 人件費をまとめて見る指標です。
プライムコスト(FLコスト)= 食材費 + 人件費
ポイントは、原価率だけでなく人件費まで含めて利益構造を確認できることです。
FLコストって何?
FLコスト = 食材費(Food Cost)+ 人件費(Labor Cost)
英語では「Prime Cost(プライムコスト)」とも呼ばれます。日本では「FLコスト」のほうが馴染みがあるかもしれません。
なぜこの2つを足すのか?
飲食店のコストは大きく分けて3種類あります。
- 食材費と人件費(FLコスト)— 経営者が直接コントロールできる
- 家賃・ローン・保険(固定費)— 一度決まると変えにくい
- 光熱費・消耗品(その他経費)— ある程度コントロール可能
食材費と人件費は全コストの50〜70%を占めます。そしてこの2つは自分の努力で改善できる費用です。だからセットで管理する価値があります。
なぜ「60%」が基準なのか
数字で見るとわかりやすいです。
一般的な飲食店のコスト構造
| 項目 | 比率 |
|---|---|
| 食材費(F) | 28〜35% |
| 人件費(L) | 25〜30% |
| FLコスト合計 | 55〜65% |
| 家賃 | 10〜15% |
| その他経費 | 10〜15% |
| 純利益 | 5〜15% |
FLコストが60%を超えるとどうなる?
FLコスト60% + 家賃15% + その他15% = 90% → 純利益10%
FLコスト65% + 家賃15% + その他15% = 95% → 純利益5%
FLコスト70% + 家賃15% + その他15% = 100% → 純利益0%(赤字)
60%を超えると、利益を出すための余裕がどんどんなくなります。65%でギリギリ、70%でアウトです。
業態によって目安は違います
すべての飲食店が同じ基準、というわけにはいきません。
| 業態 | FLコスト目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般的な飲食店 | 55〜65% | 最も標準的な範囲 |
| ファストフード | 50〜55% | セルフサービスで人件費を抑えている |
| カフェ | 45〜55% | 原価は低いが、人件費比率が高くなりがち |
| 高級レストラン | 60〜70% | サービス重視で人件費が高い。客単価でカバー |
| デリバリー専門店 | 50〜60% | ホールスタッフ不要だが、手数料が別途かかる |
フルサービスの店は60〜65%、セルフサービス型は55〜60%が目安です。
自分の業態で何%が適正なのか、まず知ることが第一歩です。
FLコストの計算方法
3ステップで完了します。
ステップ1:期間を決める
通常は1ヶ月単位で計算します。
ステップ2:数字を集める
| 項目 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 月間売上 | 税抜の総売上 | 500万円 |
| 食材費 | 期首在庫 + 仕入れ − 期末在庫 | 160万円 |
| 人件費 | 給与 + 社会保険料 + 賞与 | 130万円 |
ステップ3:計算する
FLコスト比率(%) = (食材費 + 人件費) ÷ 売上 × 100
例:
= (160万円 + 130万円) ÷ 500万円 × 100
= 290万円 ÷ 500万円 × 100
= 58%
58%なら健全な水準です。ここから食材費と人件費を別々に見て、どちらに改善余地があるか分析します。
問題箇所の見つけ方
FLコストが高い場合、食材費と人件費のどちらが問題かを特定するのが最初の一手です。
パターン1:食材費が高い
食材費:42%
人件費:20%
────────────
合計:62% ⚠️
よくある原因:
- ロス(廃棄)が多い — 発注量の見直し、在庫チェックの頻度を上げる
- レシピが標準化されていない — 人によって使用量がバラバラ
- 原価率の高いメニューばかり売れている — メニュー構成の見直し
まずやること: 週1回の在庫チェック、主力メニュー3品の使用量をグラム単位で固定
パターン2:人件費が高い
食材費:28%
人件費:37%
────────────
合計:65% ⚠️
よくある原因:
- 売上に対してスタッフが多すぎる
- シフトの組み方に無駄がある(閑散時間帯に人が多い)
- ピークタイム以外の余剰人員
まずやること: 時間帯別の売上とシフト時間を並べて、ギャップがないか確認
FLコストを下げる具体的な方法
食材費を下げる
| 方法 | 期待効果 | 始めやすさ |
|---|---|---|
| レシピの標準化(g単位で固定) | 材料費5〜10%削減 | すぐできる |
| ロス率の管理(週次在庫チェック) | 廃棄5〜10%削減 | すぐできる |
| 代替食材の検討 | 材料費5〜15%削減 | 試作が必要 |
| 仕入先の見直し・比較 | 材料費3〜5%削減 | 時間がかかる |
人件費を下げる(サービスを落とさずに)
| 方法 | 期待効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| シフト最適化(30分単位で調整) | 人件費10〜20%削減 | ピーク対応は維持 |
| 仕込み品の事前準備・冷凍保存 | 調理時間30%短縮 | 品質チェック必要 |
| セルフサービス一部導入(水・お茶) | ホール1名分の動き削減 | 客層による |
| 調理動線の改善 | 効率15%向上 | 初期投資がかかる場合も |
やってはいけないこと
食材の品質を落として原価を下げると、お客さんは必ず気づきます。給与カットは離職を招き、採用コストで逆に高くつきます。
削るのではなく、同じ品質でもっと効率よくやる方法を探す。 これがFLコスト管理の基本です。
FLコスト vs 原価率、何が違う?
| 項目 | 原価率 | FLコスト |
|---|---|---|
| 計算式 | 食材費 ÷ 売上 | (食材費 + 人件費) ÷ 売上 |
| 範囲 | 食材費のみ | 食材費 + 人件費 |
| 目安 | 28〜35% | 55〜65% |
| 使いどころ | メニュー別の収益性 | 事業全体の収益性 |
原価率は「木」を見る指標、FLコストは「森」を見る指標です。
個別メニューの価格を決めるときは原価率を使い、店全体の経営状態を判断するときはFLコストを使う。両方必要です。
週次チェックと月次分析
週次チェック(5分でOK)
- 今週の食材仕入れ額
- 今週の人件費(時給 × 勤務時間)
- 今週の売上
- ざっくりFLコスト比率を計算
月次分析(30分かけて)
- 月間FLコスト比率を正確に計算
- 前月との比較(上がったか下がったか)
- 食材費・人件費のどちらが変動したか特定
- 来月の目標と具体的なアクションを決める
今すぐやること
- 今月の食材費と人件費を集計する
- FLコスト比率を計算する(目標60%以下)
- 食材費と人件費、どちらが高いか特定する
- 高いほうの改善策を1つだけ決めて実行する
全部一度にやる必要はありません。まず1つだけ。それだけでも数字は変わり始めます。
関連ガイド
- 原価率の基礎ガイド — メニュー別の原価率計算
- 人件費率ガイド — 人件費の計算と最低賃金データ
- 一人オーナーの人件費計算 — オーナー労働の時給換算
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