「人が採れないから、1人でやるしかない。」
そう覚悟を決めて開業する人が増えています。飲食店の新規出店計画で55.2%がワンオペまたは最少人数での営業を検討しているというデータもあります。
ただ、ワンオペには「天井」があります。席数で売上が決まり、仕込みで品質が決まり、体力で営業日数が決まる。この構造を理解しておかないと、忙しいのに利益が残らない状態に陥ります。
先に結論
- 売上の天井は「席数 × 20万円/月」が目安。 10席なら月200万円前後
- 利益の最低ラインは月85万円。 これを下回ると生活が苦しくなる
- メニューは絞る。 仕込み・提供・片付けを1人で回せる品数には限界がある
- 設備に投資して手を空ける。 アルバイト1人の月給より食洗機の方が安い
ワンオペの売上天井を知る
ワンオペの売上は「何席を何回転させるか」で決まります。
| 業態 | 席数目安 | 月売上レンジ |
|---|---|---|
| カフェ | 10〜12席 | 80〜150万円 |
| 定食屋 | 12〜16席 | 80〜150万円 |
| ラーメン店 | 8〜12席(カウンター) | 150〜300万円超 |
| 居酒屋 | 15〜20席 | 200〜300万円 |
| 立ち飲み・立ち食い | 10〜15名 | 150〜300万円超 |
ラーメン店や立ち飲み屋が上限に近い数字を出せるのは、回転率が高いから。1人の滞在時間が短いほど、少ない席数でも売上を稼げます。
逆に、カフェのように滞在時間が長い業態は、席数を増やしても売上の伸びに限界があります。
月85万円ラインの内訳
「いくら売れば生活できるのか?」を逆算するとこうなります。
家賃 15万円(月商の10%以内が目安)
食材費 45万円(原価率30%として)
光熱費 8万円
その他固定費 7万円(通信費・リース・保険など)
生活費 25万円(手取り)
────────────
合計 約100万円 → ここに消費税・所得税が乗る
ざっくり言えば、月商150万円あれば月30〜40万円が手元に残るイメージです。ただし原価率が35%に悪化すると、同じ売上でも手元は10万円以上減ります。
メニュー設計:1人で回せる品数
ワンオペで最も崩れやすいのがメニュー数です。「あれもこれも」と増やした結果、仕込みに追われて疲弊するパターン。
ワンオペで回しやすいメニュー設計:
- 主力メニュー1品 + バリエーション3〜5種
- 仕込みの「親」が同じもの(同じベースから派生させる)
- オーダーから提供まで5分以内で出せるもの
- 食材のかぶりを増やして、仕入れ品目を減らす
ラーメン店が典型例。豚骨スープという「親」から、味噌・醤油・塩のバリエーションを展開する。仕込みは1つ、提供は複数。
設備投資 vs アルバイト採用
最低賃金が全国加重平均1,121円まで上がった2026年、アルバイトを1日5時間×月25日雇うと——
1,121円 × 5時間 × 25日 = 140,125円/月
+ 社会保険・交通費を含めると約16〜18万円/月
一方、業務用食洗機は月額リース1〜2万円、券売機は省力化投資補助金を使えば自己負担30万円程度(補助率2/3)。
設備は休まないし、文句も言いません。人の手が必要な作業と、設備で代替できる作業を分けて考えるのがワンオペの鉄則です。
ワンオペ最大のリスク:自分が倒れたとき
ワンオペを検討しているオーナーの70.5%が「体調不良時に営業できない」ことを最大の不安に挙げています。
完璧な対策はありませんが、最低限やっておくべきことはあります。
- 臨時休業の告知テンプレをSNSとGoogleビジネスプロフィールに用意しておく
- 定休日を週1〜2日確保する。 無休営業は必ず体に出る
- 売上保険(所得補償保険)を検討する。 月数千円で、働けない期間の収入を補える
- 近隣の同業者と助け合える関係を作っておく
今週やること
- 自分の席数と回転数から、月売上の上限を計算する
- 月85万円ラインに対して、現在の売上がどの位置にあるか確認する
- メニュー数を数えて、「仕込みに2時間以上かかっていないか」振り返る
- 券売機・食洗機の導入コストを調べる(省力化投資補助金の対象製品リスト)
- 臨時休業時のSNS告知テンプレを1つ作っておく
ワンオペでは「知らないうちに赤字メニューを出し続ける」のが一番怖い。売れ筋メニューの原価だけでも毎週チェックする習慣が、利益を守ります。
食材の値段を変えるだけでメニューの原価が自動更新。1人で回す店ほど、手間のかからない原価管理が必要です。KitchenCost を試してみてください。