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もつ鍋専門店の原価ガイド:もつ300gの歩留まりと、スープが利益を削る仕組み

もつ鍋1人前の原価をもつ・スープ・野菜・薬味に分解。もつの下処理による歩留まり計算、スープ量のコントロール、〆メニューで客単価を上げる方法を実例で解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

もつ鍋は「安い食材でボリュームが出る」と思われがちです。

実際、キャベツとニラは安い。でも主役のもつは、下茹でと脂取りで3割近く減る。仕入れ値で計算すると原価が安く見えるけれど、下処理後の実質原価はかなり上がっています。

もうひとつ見えにくいのがスープ。1鍋700ml使って、追いスープを1〜2回出す。スープだけで1テーブルあたり200〜300円のコストになることがあります。

もつ鍋専門店の利益は、もつの歩留まり管理スープ量のコントロールで決まります。


先に結論

  • もつ(小腸)は下処理で歩留まり65〜75%。仕入れ値ではなく下処理後の重量で原価を出す
  • スープは1鍋700mlで約190円。追いスープ無料にすると1テーブルあたり80〜110円増
  • 野菜(キャベツ・ニラ・もやし)は原価が低いが、盛りすぎると原価率が2〜3ポイント動く
  • 〆メニュー(ちゃんぽん・雑炊)は原価率10〜14%の高利益商品。注文率を80%以上に上げる
  • 追加もつ・追加野菜は有料化して客単価を上げる設計にする

もつ鍋1人前の原価を分解する

例:醤油もつ鍋 2人前(税抜2,800円 = 1人前1,400円)

項目量(2人前)原価
もつ(小腸)300g(生400g)540円
キャベツ200g40円
ニラ60g30円
もやし100g15円
豆腐1/2丁25円
ごぼう30g10円
スープ(醤油ベース700ml)190円
唐辛子・にんにく・ごま15円
鷹の爪・柚子胡椒15円
合計(2人前)880円
1人前440円

原価率:880 ÷ 2,800 = 31.4%

※ もつは生400gから下処理後300g(歩留まり75%)。小腸100gあたり仕入れ135円、歩留まり補正後100gあたり180円で計算。

31.4%は鍋業態としてはやや高め。ここに追いスープと追加具材が入ると35〜38%に上がります。


もつの歩留まりと部位別原価

もつ鍋で使われる部位は主に小腸と大腸。部位によって歩留まりと原価が大きく違います。

部位別の歩留まりと実質原価

部位仕入れ単価(100g)歩留まり下処理後の実質単価(100g)特徴
小腸(マルチョウ)135円70〜75%180〜193円脂が多く甘みがある。定番
大腸(シマチョウ)100円75〜80%125〜133円歯ごたえが強い。混ぜると原価調整しやすい
ハツ(心臓)90円85〜90%100〜106円歩留まりが高い。食感のアクセント
センマイ80円80〜85%94〜100円独特の食感。好みが分かれる

コストを抑えるミックス戦略

小腸だけだと原価が高くなる。大腸やハツを混ぜると原価を下げられます。

小腸100%の場合(2人前300g):
300g × 180円/100g = 540円

小腸70%+大腸30%の場合(2人前300g):
210g × 180円 + 90g × 130円 = 378円 + 117円 = 495円

差額:45円/鍋。1日20卓で月に22,500円の差

小腸と大腸の比率を7:3にするだけで、味の満足度を保ちながら月に2万円以上コストを下げられます。

歩留まりが下がる3つの原因

1. 下茹でが長すぎる

もつの下茹では臭み取りに必要ですが、茹ですぎると脂が抜けて縮む。下茹で時間は3〜5分が目安。10分以上茹でると歩留まりが5〜10%下がります。

対策:タイマーで下茹で時間を統一する。 下茹で後に氷水で締めると、脂の抜けすぎを防げる。

2. 脂取りが過剰

小腸の脂はもつ鍋の旨みの源。脂を取りすぎると食感がパサつき、量も減る。脂は指2本分の厚みを残すのが目安。

対策:脂取りの基準を写真で共有する。 新人と経験者で仕上がりが大きく変わるため。

3. 仕入れもつの品質がバラつく

冷凍もつは解凍時にドリップ(水分)が出て、解凍後に5〜10%重量が減ることがあります。

対策:仕入れ先ごとに解凍後の重量を記録する。 3ヶ月分のデータを取れば、仕入れ先の品質比較ができる。


スープのコスト管理

もつ鍋専門店で見落とされがちなのがスープのコスト。1杯ずつではなく1鍋分で管理するのがポイントです。

醤油ベーススープの原価(1鍋700ml・2人前)

材料原価
出汁(昆布+鰹)500ml分90円
醤油タレ80ml40円
ニンニク(スライス)2片12円
唐辛子(鷹の爪)2本3円
みりん30ml15円
ごま油15ml30円
合計190円

味噌ベーススープの原価(1鍋700ml・2人前)

材料原価
出汁(昆布+鰹)500ml分90円
味噌(合わせ)60g30円
ニンニク2片12円
豆板醤10g8円
みりん30ml15円
ごま油15ml30円
白ごま5g10円
合計195円

追いスープのコスト

追いスープはサービスとして無料にしている店が多いですが、コストは確実に発生します。

追いスープ1回(200ml)の原価:約55円
平均追いスープ回数:1.5回

追いスープのコスト/テーブル = 55円 × 1.5 = 82円
月に600テーブルなら = 49,200円/月

スープコストを抑える方法

  • **追いスープは1回目無料・2回目以降有料(200円)**にする
  • 鍋の初期スープ量を650mlに抑える(具材の水分で700mlになる)
  • 出汁は大量仕込みでコストを下げる(1鍋ずつ取ると割高)
  • スープの味変(柚子胡椒・にんにく追加)を有料にして客単価を上げる

野菜の原価と盛りコントロール

キャベツとニラは原価が安い。でも盛り量がバラつくと、意外にコストが積み上がります。

野菜の1鍋あたり原価(2人前)

野菜原価季節変動
キャベツ200g40円夏場は60〜80円
ニラ60g30円安定
もやし100g15円安定
ごぼう(ささがき)30g10円安定
合計95円

野菜原価が上がるパターン

キャベツの規定量200gのところを、多めに盛った場合:
スタッフA → 200g(40円)
スタッフB → 280g(56円)
スタッフC → 320g(64円)

差額:24円/鍋。1日20卓で月に12,000円

対策:キャベツはざく切りの状態で200gの見本容器を作り、それに合わせて盛る。 ニラは本数で統一する(1鍋あたり4〜5本)。


〆メニューで利益を作る

もつ鍋専門店にとって、〆は利益を大きく上げるチャンスです。

〆メニューの原価と利益

〆メニュー原価売価原価率粗利
ちゃんぽん麺35円350円10%315円
雑炊セット(卵・ご飯)55円400円14%345円
うどん30円300円10%270円
ラーメン麺40円350円11%310円

〆の注文率80%、2人組テーブルで平均1品注文とすると:

〆の追加売上/テーブル = 350円(平均)
月に600テーブル × 80% = 480テーブル
月間追加売上 = 480 × 350円 = 168,000円
月間追加粗利 = 480 × 300円(平均粗利)= 144,000円

年間で約173万円の粗利。〆を出さないのは、この利益を捨てているのと同じです。

〆の注文率を上げる方法

  • メニューの最後ではなく、注文時に一緒に〆を聞く:「〆はちゃんぽんと雑炊どちらにしますか?」
  • テーブルに〆メニューのカードを置く:鍋を食べながら目に入るようにする
  • 〆のセット割引を作る:「もつ鍋+〆セット」で50円引き(原価率への影響は最小限)

追加注文の価格設計

追加もつ・追加野菜は、客単価を上げる重要なメニューです。

追加メニュー原価売価原価率粗利
追加もつ(100g)180円580円31%400円
追加キャベツ20円200円10%180円
追加ニラ15円150円10%135円
追加豆腐(1/2丁)25円200円13%175円
追加ちゃんぽん麺35円350円10%315円

追加野菜は原価率10%の高利益メニュー。「野菜のおかわり無料」にしている店がありますが、有料にしても200円なら注文は減りにくい。月に1万〜2万円の利益改善になります。


月次の利益シミュレーション

前提

  • 営業日数:25日
  • 1日のテーブル数:20卓(平均2人)
  • もつ鍋2人前+〆1品+追加1品が標準
  • 平均テーブル単価:4,200円
月間売上 = 20卓 × 4,200円 × 25日 = 2,100,000円

原価率32%の場合(もつミックス・スープ管理・〆あり):
原価 = 672,000円
粗利 = 1,428,000円

原価率38%の場合(小腸100%・追いスープ無料・野菜おかわり無料):
原価 = 798,000円
粗利 = 1,302,000円

差額 = 126,000円/月 = 年間1,512,000円

原価率6ポイントの差が年間151万円の利益差。もつのミックス比率、追いスープの有料化、〆の注文率向上——この3つだけで年間100万円以上の改善が見込めます。


今週やること

  • もつの下処理前後の重量を量り、歩留まりを確認する
  • 小腸と大腸のミックス比率を検討する(7:3が目安)
  • スープの1鍋あたりの量を700mlに固定する
  • 追いスープのルールを決める(1回無料・2回目から有料など)
  • キャベツ200g・ニラ4〜5本の盛り見本を作る
  • 〆メニューの注文率を確認し、80%以上を目指す
  • 追加もつ・追加野菜の価格を設定する

関連ガイド


もつ・スープ・野菜を登録すれば、1鍋の原価が自動で出ます。もつの歩留まりを反映した実質原価がひと目でわかります。KitchenCost は無料で使えます。

よくある質問

もつ鍋1人前の原価はどれくらい?

もつ(小腸)150g歩留まり補正込みで約270円、スープ350mlで約95円、キャベツ・ニラ・豆腐などの具材で約110円、薬味で15円、合計約490円が目安です。2人前鍋(税抜2,800円)なら原価率35%。もつの品質と下処理方法で大きく変わります。

もつの歩留まりはどう計算する?

生もつは下茹で・脂取りで25〜35%の重量が減ります。生200gで下処理後140gなら歩留まり70%。仕入れ価格が100gあたり120円なら、下処理後の実質原価は100gあたり171円。歩留まりを無視すると原価が1人前あたり50〜70円低く見えます。

スープの原価はどう管理する?

1鍋分のスープ(700ml・2人前)の原価は約190円。醤油ベースなら出汁(90円)、醤油タレ(40円)、ニンニク・唐辛子(30円)、ごま油(30円)。追いスープ1回(200ml)の原価は約55円。追いスープを無料にすると、平均1.5回で原価が80円以上増えます。

〆メニューは利益にどう影響する?

ちゃんぽん麺(原価35円・価格350円・粗利315円)、雑炊セット(原価55円・価格400円・粗利345円)。〆の注文率が80%なら、客単価が350〜400円上がります。2人組なら〆だけで700〜800円の追加売上。原価率10〜14%の高利益メニューです。

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