お昼前、ショーケースに並んだモチドーナツを眺めるお客さん。カラフルなグレーズの上にナッツやフルーツが載っていて、1個300円台。「高単価スイーツだから利益は出やすいだろう」——そう思いがちですが、現実は違います。
もち粉比率のブレ、揚げ油の吸収量、グレーズやトッピングの「ちょっと多め」が積み重なると、高単価なのに利益が薄い、という状態に陥ります。
先に結論
- 原価の主犯はトッピングとグレーズ(生地より高い)
- 油吸収は小さく見えても1個2円、月3,000個で6,000円
- 箱売りの割引は5〜10%以内。箱代は必ず別計算
- 生地重量とグレーズ量をグラム単位で固定する
なぜ原価が崩れやすいのか
- もち粉比率がブレる——計量が甘いと食感が変わり、歩留まりも変わる
- 油吸収を計上していない——1個あたり6gの油(約2円)が見えないコスト
- グレーズが重い——見栄えのために厚塗りすると1個あたり5〜10円増
- 箱売りの割引が大きい——「箱で買うとお得」で利益を飛ばしている
- 当日売れ残りが多い——生ものなので翌日販売しにくく、ロス率が高い
基本の計算式
1個原価 = (生地原価 + 油 + グレーズ + トッピング + 包材) ÷ 販売可能数
販売可能数 = 製造数 × (1 - ロス率)
24個バッチの原価例
数値は例です。自店の仕入れ単価に置き換えてください。
| 材料 | 量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| もち粉 | 900g | 0.6円/g | 540円 |
| 薄力粉 | 300g | 0.2円/g | 60円 |
| 砂糖 | 220g | 0.2円/g | 44円 |
| 牛乳 | 600g | 0.2円/g | 120円 |
| バター | 180g | 1.2円/g | 216円 |
| 卵 | 4個 | 25円/個 | 100円 |
| その他 | - | - | 40円 |
| 合計 | - | - | 1,120円 |
生地原価(1個):
1,120 ÷ 24 = 約47円
上乗せコスト(1個あたり):
- 油吸収:6g × 0.3円 = 約2円
- グレーズ:約12円
- トッピング:約8円
- 包材:約10円
合計(ロス前):
47 + 2 + 12 + 8 + 10 = 79円
ロス率6%を加味すると:
79 ÷ 0.94 = 約84円
価格設計の目安
| 目標原価率 | 売価目安 |
|---|---|
| 25% | 336円 |
| 28% | 300円 |
| 30% | 280円 |
プレミアム感を出すなら300〜360円帯が安定します。280円を下回ると「安いドーナツ」に見えてしまい、ブランドイメージとの乖離も出やすいです。
箱売りの考え方
箱価格 = (単品価格 × 個数) × 0.90〜0.95 + 箱代
箱代(50〜100円)は必ず別計算で含めてください。「箱は無料」にすると、箱売りが増えるほど利益率が下がります。
トッピング課金ルール
- 追加グレーズ:原価 × 3
- フィリング:原価 × 2.5
- 季節フルーツ:原価 × 3
トッピングを無料にしないのが基本。「好きなグレーズ無料」は利益を削ります。
今週やること
- 全商品の生地重量(g)を量って統一する
- グレーズ量を計量カップ or スケールで固定する
- 揚げ油の吸収量を月次で計測する
- 箱代を全セット商品に反映する
- 先週のロス率(売れ残り÷製造数)を記録する
関連ガイド
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