「計算上は利益が出るはずなのに、なぜか食材費がいつも足りない…」
その答えは、ほとんどの場合**歩留まり(ロス率)**にあります。
玉ねぎを1kg買っても、実際に料理に使えるのは900gです。この10%を計算に入れないと、原価が完全に狂います。
要点まとめ
- 歩留まり = 原材料から廃棄される割合
- 魚・果物・野菜は30〜50%のロスが一般的
- 歩留まりを無視すると実際より15〜40%低く計算してしまう
- 直接測定が最も正確、四半期ごとの再測定を推奨
歩留まりとは?
歩留まり = 原材料から廃棄される割合
可食部 = 購入量 × (1 - 歩留まり率)
玉ねぎ1kg、歩留まり10%の場合:
可食部 = 1,000g × 0.9 = 900g
なぜ歩留まりが重要なのか
歩留まり無視 vs 反映後の原価比較
例:サーモン1kg = 3,500円
歩留まり無視(❌ 間違った計算)
単価 = 3,500円 ÷ 1,000g = 3.5円/g
サーモン刺身150g原価 = 3.5 × 150 = 525円
歩留まり反映(✅ 正確な計算)
サーモンの歩留まり約40%(骨、皮、頭を除去)
可食部 = 1,000g × 0.6 = 600g
単価 = 3,500円 ÷ 600g = 5.83円/g
サーモン刺身150g原価 = 5.83 × 150 = 875円
差額:350円!
歩留まりを無視すると、1食あたり350円の損失です。1日20食販売すれば、7,000円/日、1ヶ月で21万円の損失。
主要食材の歩留まり早見表
野菜類
| 食材 | 歩留まり率 | 廃棄部位 |
|---|---|---|
| 玉ねぎ | 10% | 皮、根 |
| にんにく | 15% | 皮、芯 |
| 長ねぎ | 20% | 根、外葉、先端 |
| 人参 | 15% | 皮、ヘタ |
| キャベツ | 20% | 外葉、芯 |
| ブロッコリー | 40% | 茎の大部分 |
| アスパラガス | 30% | 根元 |
肉類
| 食材 | 歩留まり率 | 廃棄部位 |
|---|---|---|
| 豚バラ | 5〜10% | 脂のトリミング |
| ヒレ肉 | 15〜20% | 脂、筋 |
| ロース | 10〜15% | 脂身 |
| 鶏(丸鶏→もも肉) | 35〜40% | 骨、皮 |
| 鶏むね肉 | 5〜10% | 脂、筋 |
魚介類
| 食材 | 歩留まり率 | 廃棄部位 |
|---|---|---|
| 魚(丸→フィレ) | 40〜50% | 頭、骨、内臓 |
| サーモン | 35〜40% | 皮、骨 |
| エビ(殻付き) | 40〜45% | 殻、頭 |
| エビ(むきエビ) | 10〜15% | 尾、背わた |
| イカ | 25〜30% | 内臓、軟骨、皮 |
| 貝類 | 60〜70% | 殻 |
果物類
| 食材 | 歩留まり率 | 廃棄部位 |
|---|---|---|
| バナナ | 30% | 皮 |
| オレンジ | 35% | 皮 |
| スイカ | 45% | 皮、種 |
| メロン | 40% | 皮、種 |
| パイナップル | 50% | 皮、芯 |
| いちご | 5〜10% | ヘタ、傷み部分 |
| りんご | 10〜15% | 皮、芯 |
歩留まりが原価に与える影響
同じ購入金額でも実質原価は違う
1,000円分の食材を購入した場合の実質単価:
| 歩留まり率 | 実質単価 | 追加コスト |
|---|---|---|
| 0% | 1,000円 | 0円 |
| 10% | 1,111円 | +111円 |
| 20% | 1,250円 | +250円 |
| 30% | 1,429円 | +429円 |
| 40% | 1,667円 | +667円 |
| 50% | 2,000円 | +1,000円 |
歩留まり40%なら実質原価が1.67倍!
実例:とんかつの原価計算
材料一覧
| 材料 | 購入量 | 仕入れ価格 | 歩留まり | 可食部 | 実質単価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 豚ロース | 1kg | 1,500円 | 15% | 850g | 1.76円/g |
| キャベツ | 1kg | 200円 | 20% | 800g | 0.25円/g |
| 小麦粉 | 1kg | 150円 | 0% | 1,000g | 0.15円/g |
| 卵 | 10個 | 200円 | 10% | 9個 | 22円/個 |
| パン粉 | 500g | 250円 | 5% | 475g | 0.53円/g |
とんかつ1人前の原価
| 項目 | 使用量 | 歩留まり反映原価 |
|---|---|---|
| 豚ロース | 120g | 211円 |
| キャベツ | 80g | 20円 |
| 小麦粉 | 30g | 5円 |
| 卵 | 1個 | 22円 |
| パン粉 | 40g | 21円 |
| 合計 | 279円 |
歩留まりを無視した場合
| 項目 | 使用量 | 歩留まり未反映原価 |
|---|---|---|
| 豚ロース | 120g | 180円 |
| キャベツ | 80g | 16円 |
| 小麦粉 | 30g | 5円 |
| 卵 | 1個 | 20円 |
| パン粉 | 40g | 20円 |
| 合計 | 241円 |
差額:38円(16%の誤差)
1日50食販売すれば1,900円、月間で57,000円分、誤った計算で営業することになります。
歩留まり管理の方法
1. 食材ごとの歩留まりを直接測定
直接測定が最も正確です:
歩留まり率 = (購入量 - 可食部) ÷ 購入量 × 100
玉ねぎ1kg購入 → 皮を剥いて900g
歩留まり率 = (1,000 - 900) ÷ 1,000 × 100 = 10%
2. ロスを減らす方法
| 方法 | 効果 |
|---|---|
| カット野菜を購入 | 歩留まりほぼ0% |
| 皮・端材を活用 | 出汁、ソースの材料に |
| 適正量を発注 | 鮮度維持、廃棄削減 |
| 先入れ先出し | 古い食材から使用 |
3. 歩留まりの高い食材への対策
- 加工済み商品を使う:殻付きエビ → むきエビ、丸鶏 → もも肉
- 端材メニューの開発:鶏ガラ → スープ、野菜くず → 出汁
- 価格に反映:歩留まりの高いメニューは利益率を高めに設定
よくある失敗
失敗1:「だいたい同じでしょ」
「玉ねぎの歩留まりなんて大したことないでしょ」
現実:玉ねぎ10%、長ねぎ20%、ブロッコリー40%食材によって全然違います。
失敗2:「一度計算したから終わり」
歩留まりは仕入れ先、季節、調理担当者によって変わります。四半期ごとに再測定することをおすすめします。
失敗3:「調理中のロスを無視」
玉ねぎのソテーを例にすると:
- 皮むき:10%のロス → 1kg → 900g
- 炒め(水分蒸発):約30%のロス → 900g → 630g
原材料1kgから最終的に630gしか残りません(合計37%のロス)。調理過程での水分蒸発まで考慮しないと、正確な原価は出ません。
まとめ
- 歩留まり = 原材料から廃棄される割合
- 魚、果物、野菜は30〜50%のロスが一般的
- 歩留まりを無視すると実際より15〜40%低く計算してしまう
- メニューごとの原価誤差 → 月間数万円の損失につながる
- 直接測定が最も正確、四半期ごとの再測定を推奨
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今すぐやること
- 主要食材3品の歩留まり率を実測する
- 歩留まりを反映した単価で原価を再計算する
- 高ロス食材(魚・果物)の端材活用を検討する
- 四半期ごとの再測定スケジュールを決める
関連ガイド
- 食材原価率ガイド — ロス率が原価率に与える影響
- 仕込み品原価管理ガイド — 廃棄部分をダシやソースに活用して無駄を削減
- 在庫管理ガイド — 先入先出法で廃棄ロスを最小化
- 原価削減ガイド — ロス削減を含む総合的なコスト改善
- 季節食材の原価ガイド
- 寿司屋の原価計算ガイド
- ベーカリー原価計算ガイド — 季節によるロス率の変動