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トリミングサロン料金の値上げ幅|1頭原価1,890円で決める計算例

トリミングサロン料金の値上げ幅|1頭原価1,890円で決める計算例の要点を整理。原価・ロス・人件費・手数料を計算式とチェックリストで確認し、価格判断に使えます。

更新 2026年5月10日
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目次

トリミングサロン料金を上げるとき、最初に見るべきなのは近隣相場ではありません。

近くの店が5,000円だから自店も5,000円。材料費が上がったから全メニュー300円アップ。この決め方だと、安すぎるメニューも高く見えすぎるメニューも同じ扱いになります。

料金改定で必要なのは、1頭原価から逆算することです。

小型犬シャンプーカットが4,500円で、1頭原価が1,890円なら、今の1頭利益は2,610円。目標利益を2,900円にしたいなら、必要料金は4,790円。つまり4,800円前後、値上げ幅は+300円が自然なラインです。

トリミングサロンで小型犬の料金と1頭原価を確認している作業風景

料金表を変える前に、薬剤費・消耗品・作業時間を1頭単位で見直します。

先に結論

このモデルケースでは、基本メニューの最初の改定幅は**+300円**が妥当です。

改定案料金1頭利益月80頭の利益
据え置き4,500円2,610円208,800円
+200円4,700円2,810円224,800円(+16,000円)
+300円4,800円2,910円232,800円(+24,000円)
+500円5,000円3,110円248,800円(+40,000円)

※ 1頭原価1,890円(薬剤180円+消耗品120円+光熱費90円+作業時間1,500円)で計算。

ただし、全メニューを一律+300円にする必要はありません。基本メニューは+200〜300円、毛量・もつれ・保定などで作業時間が伸びるメニューは+500円前後または追加料金化。これが現実的です。

値上げ告知のタイミングも大事ですが、告知文の前に「なぜその金額なのか」を店側が説明できる状態にしておく必要があります。

値上げで本当に決めるべきこと

「いくら上げるか」と考えると、どうしても怖くなります。

常連が離れないか。予約が減らないか。口コミに悪く書かれないか。個人サロンほど、お客さまとの距離が近いので価格の話は重くなります。

でも経営判断として見るなら、問いはもう少し具体的です。

  • いまの1頭利益はいくらか
  • 目標の1頭利益まで、いくら足りないか
  • 基本料金で上げるべきか、追加料金に分けるべきか
  • 値上げ後に、予約数と再予約率がどう動いたか

この4つを追えば、値上げは感覚ではなく検証できる施策になります。

なぜ今、料金表を見直すべきか

トリミングサロンの利益は、薬剤費だけでは決まりません。

シャンプー剤、リンス、イヤークリーナー、シーツ、タオル洗濯、ドライヤーの電気代、掃除時間。さらに、もつれ、毛量、保定が必要な犬は同じ「小型犬」でも作業時間が変わります。

2025年平均の消費者物価指数は総合で前年比+3.2%でした。令和7年度の地域別最低賃金の全国加重平均は1,121円で、前年から66円上がっています。

消耗品と人件費が同時に上がる中で料金を据え置くと、見た目の売上は同じでも、1頭ごとの利益は少しずつ削られます。

1頭原価に入れるもの

最初から細かくしすぎる必要はありません。まずは次の4つに分けます。

項目入れるもの見落としやすい点
薬剤費シャンプー、リンス、保湿剤、耳洗浄希釈後の1回使用量で見る
消耗品費シーツ、コットン、リボン、袋、替刃の按分無料サービス扱いの小物も入れる
光熱費ドライヤー、給湯、洗濯、空調の按分大型犬・長毛犬は時間で増える
作業時間コスト施術、受付、会計、掃除、タオル処理施術時間だけで止めない

とくに抜けやすいのが作業時間です。

「60分のメニュー」と言っても、実際には予約確認、写真、会計、床掃除、タオル処理で10〜15分使っていることがあります。この時間をゼロ円にすると、自分の働き分を値引きしているのと同じです。

オーナーひとりの店でも、時間単価は必ず置いてください。自分の時給を入れない計算は、利益計算ではなく売上計算に近くなります。

使う式は3つだけ

1頭原価 = 薬剤費 + 消耗品費 + 光熱費 + 作業時間コスト
1頭利益 = 現在料金 - 1頭原価
必要料金 = 1頭原価 + 目標1頭利益

作業時間コストは、次のように出します。

作業時間コスト = 時間単価 × 作業時間(時間)

1頭原価と目標利益から必要料金を出す計算モデル

1頭原価に目標利益を足すと、必要料金が見えます。値上げ幅は現在料金との差分です。

小型犬シャンプーカットで計算する

例として、現在料金4,500円の小型犬シャンプーカットを見ます。

  • 薬剤費: 180円
  • 消耗品費: 120円
  • 光熱費: 90円
  • 作業時間: 60分
  • 時間単価: 1,500円
  • 現在料金: 4,500円
作業時間コスト = 1,500 × 1 = 1,500円
1頭原価 = 180 + 120 + 90 + 1,500 = 1,890円
1頭利益 = 4,500 - 1,890 = 2,610円

ここで、目標の1頭利益を2,900円にします。

必要料金 = 1,890 + 2,900 = 4,790円

4,790円ぴったりの料金表は使いにくいので、実務では4,800円に丸めます。

値上げ幅 = 4,800 - 4,500 = 300円

月80頭なら、1頭あたり300円の改善で月24,000円の利益増です。

この24,000円は派手な数字ではありません。ただ、タオル洗濯代、消耗品の上昇分、予約管理に使う時間を吸収するには十分意味があります。値上げは一発で大きく利益を変えるものではなく、薄くなった利益を戻す作業です。

+300円と+500円の分け方

値上げ幅を全メニュー同じにすると、納得感が崩れやすくなります。

基本メニューは+200〜300円で十分でも、もつれ、毛量、保定、シニア犬対応で15分伸びるメニューは、同じ幅では足りません。

時間単価1,500円で15分増えるなら、追加の時間コストは375円です。

追加15分の時間コスト = 1,500 × (15 ÷ 60) = 375円

ここに消耗品や予約枠の圧迫を入れると、+500円前後の追加料金には根拠があります。

対象改定の考え方
小型犬の基本メニュー+200〜300円でテスト
毛量が多い犬追加時間を見て+500円前後
もつれ・毛玉対応基本料金ではなく追加料金化
保定・シニア犬対応予約枠を長く取るなら別料金も検討
大型犬・長毛犬犬種名より実作業時間で再設計

お客さまに伝えるときも、「全体的に値上げします」より「作業時間やケア内容に応じて料金を見直します」の方が受け止められやすいです。

料金表は3層に分けると直しやすい

小さなサロンほど、料金表を細かくしすぎると運用が重くなります。まずは3層で考えると整理しやすいです。

役割
基本料金通常の作業時間で終わる前提の価格小型犬シャンプーカット4,800円
時間追加毛量・もつれ・保定などで作業が伸びる分15分ごと+500円
特別対応シニア犬、噛み癖、複数スタッフ対応など事前相談または別見積もり

すべてを犬種表だけで決めようとすると、同じ犬種でも毛量や状態の差でズレます。

逆に「作業時間」を軸にすると、説明がしやすくなります。お客さまにも「犬種で高くしている」のではなく「必要なケア時間に合わせている」と伝えられます。

失敗しにくい改定手順

  1. 予約数が多い上位3メニューを選ぶ
  2. それぞれの1頭原価と1頭利益を出す
  3. 基本料金で上げるもの、追加料金に分けるものを決める
  4. +200円、+300円、+500円の3案で月利益を試算する
  5. 既存予約への適用ルールを先に決める
  6. 2〜4週間前に告知し、まず1〜2メニューから適用する
  7. 2週間後に予約数、再予約率、1頭利益を見直す

最初から完璧な料金表を作ろうとすると止まります。

まずは主力3メニューだけで十分です。そこで利益が薄いメニューが見えたら、次にオプション料金や犬種別の調整へ進みます。

告知文は短くていい

値上げの説明で長い文章を書きすぎると、かえって不安を強めます。

必要なのは、理由、開始日、対象メニューの3つです。

いつもご利用ありがとうございます。
薬剤・消耗品・光熱費の上昇と、施術品質を維持するため、
2026年○月○日より一部メニューの料金を改定いたします。

対象メニューと新料金は店頭・予約ページにてご案内します。
今後も一頭ずつ安全に、丁寧に対応してまいります。

常連向けには、予約時に一言添えるだけでも反応が変わります。

今回、基本料金は300円だけ調整します。
毛玉やもつれがある場合は、作業時間に応じて追加料金を分ける形にしました。

この言い方なら、単なる値上げではなく、作業量に合わせた料金整理だと伝わります。

既存予約への適用ルールを先に決める

トラブルになりやすいのは、価格そのものより「前に予約した分まで上がるのか」です。

迷ったら、次のルールが無難です。

  • 告知前に入っている予約は旧料金
  • 告知後の新規予約から新料金
  • 回数券や前払いがある場合は期限まで旧条件
  • 毛玉・もつれなど当日判明する追加料金は、事前に基準を見せる

このルールを先に決めておくと、スタッフがいる店でも説明がぶれません。

値上げ後に見る数字

値上げ後は、予約数だけで判断しないでください。

見るべき数字は3つです。

指標見る理由
1頭利益値上げで利益が戻ったか
再予約率常連が離れていないか
追加料金件数追加料金ルールが機能しているか

予約数が少し下がっても、1頭利益が改善し、再予約率が大きく落ちていないなら、改定は失敗ではありません。

逆に、予約数は変わらなくても追加料金の説明で不満が増えているなら、料金表ではなく案内方法を直すべきです。

やりがちな失敗

薬剤費だけで判断する。 シャンプー剤が30円上がったから30円上げればいい、という話ではありません。時間、光熱費、タオル処理まで入れないと足りません。

全犬種一律で上げる。 小型犬、長毛犬、毛量の多い犬、シニア犬では作業時間が違います。一律改定より、基本料金と追加料金を分けた方が納得されやすいです。

予約数だけを見る。 値上げ後に予約が1〜2件減っても、1頭利益が改善して再予約率が維持できていれば、経営としては前進です。

告知を直前に出す。 予約済みのお客さまには不公平感が出ます。2〜4週間前に伝え、既存予約への適用ルールを先に決めてください。

今日やること

  • 上位3メニューの現在料金を書き出す
  • 薬剤費、消耗品費、光熱費、作業時間を入れて1頭原価を出す
  • 目標1頭利益を決める
  • +200円、+300円、+500円の月利益を比べる
  • 基本料金で上げるものと追加料金に分けるものを決める
  • 既存予約への適用ルールを決める
  • 告知開始日と適用開始日を決める

まとめ

トリミングサロン料金の値上げ幅は、相場から先に決めるものではありません。

1頭原価を出し、目標利益との差分を見る。そこから+300円で足りるのか、時間が伸びるメニューだけ+500円にするのかを決めます。

常連が離れる不安を減らすには、金額そのものより、根拠のある料金表にすることが先です。

まずは小型犬シャンプーカット1つだけでいいので、今日の数字で計算してみてください。

関連ガイド: ネイルサロンの値上げと告知文 / まつ毛サロンの予約枠コスト / 値上げ告知のタイミング

よくある質問

トリミングサロンの値上げ幅は何円から考えるべきですか?

小型犬の基本メニューなら、まず+200〜300円で試算するのが現実的です。毛量・もつれ・保定などで15分以上伸びるメニューは、追加時間コストを根拠に+500円前後を検討します。

トリミング料金は近隣相場だけで決めても大丈夫ですか?

相場は確認すべきですが、最終判断には足りません。薬剤・消耗品・光熱費・作業時間を入れた1頭原価を出し、自店の利益不足分から値上げ幅を決める方が安全です。

作業時間コストにはどこまで入れますか?

施術時間だけでなく、受付、写真、会計、掃除、タオル処理など、その犬1頭のために使う時間を入れます。ここを抜くと利益が実際より多く見えます。

値上げ後は予約数だけを見ればいいですか?

予約数だけでは判断できません。1頭利益、再予約率、追加料金の発生件数を一緒に見ます。予約が少し減っても、利益と再予約が維持できていれば改定は成功に近いです。

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