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居酒屋のドリンク原価率|生ビール・日本酒・サワーの原価計算と利益改善の実務

居酒屋ドリンクの原価率を種類別に解説。生ビール30%、サワー10〜15%、日本酒30〜50%。FD比率の最適化と飲み放題の原価設計まで、具体的な数字で分析。

更新 2026年2月7日
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目次

要点まとめ

  • ドリンク全体の原価率は20〜25%が目安。ビールは高く、サワー・ハイボールで取り返す
  • FD比率はフード6:ドリンク4を目指す。ドリンク比率が上がれば全体の原価率が下がる
  • 飲み放題は3段階プラン(ライト・スタンダード・プレミアム)で客単価をコントロール
  • オリジナルドリンクで価格競争から脱却。「自家製〇〇サワー」は原価ほぼ同じで売価を上げられる

「売上はあるのに、なぜか利益が残らない」——居酒屋を経営していて、そう感じたことはありませんか?

2024年、居酒屋を含む「酒場・ビヤホール」の倒産は212件。飲食店の全業態で最も多く、過去最多を更新しました(帝国データバンク調べ)。東京商工リサーチの集計でも、2024年度の「飲み屋」倒産は276件で過去最多。原因の約9割が「販売不振」——つまり、売上はあっても利益が残らなかったということです。

食材費・光熱費・人件費は上がり続けています。2025年4月にはビール大手4社が5〜8%の値上げを実施し、800品目以上が値上がりしました。「なんとなく」の価格設定で乗り切れる時代ではなくなっています。

でも、裏を返せばドリンクの原価管理を見直すだけで、利益構造が変わるということでもあります。

この記事では、居酒屋のドリンク原価率を種類別に整理して、「どこで利益を取って、どこは割り切るか」を一緒に考えていきます。


そもそも「ドリンク原価率」って何を見ればいい?

ドリンク原価率は、1杯あたりの仕入れ原価が販売価格に占める割合です。計算はシンプルです。

ドリンク原価率(%) = 1杯あたりの原価 ÷ 販売価格 × 100

たとえば、生ビール1杯の原価が150円、販売価格が500円なら:

150円 ÷ 500円 × 100 = 30%

この「30%」が高いか低いかは、ドリンクの種類によって変わります。ビールなら普通ですが、サワーで30%だったら何かおかしい。大事なのは、ドリンクごとの「相場」を知っておくことです。

原価率ざっくりした目安
15%以下かなり良い。サワー・カクテル中心ならこのあたり
15〜20%良好。バランスの取れたメニュー構成
20〜25%平均的。多くの居酒屋がこの範囲
25〜30%やや高め。ビール比率が高い可能性
30%以上要注意。メニュー構成か価格設定を見直したい

ドリンク別の原価率——「稼ぎ頭」と「集客装置」を分けて考える

居酒屋のドリンクには、利益を稼ぐものと、お客さんを呼ぶためのものがあります。これを混同すると、「全部利益を出さなきゃ」と思って疲弊するか、「全部安くしなきゃ」と思って儲からなくなります。

🍺 生ビール —— 集客装置

お客さんの「まず1杯目」。でも原価率はドリンクの中で最も高い部類です。

項目数値
樽ビール仕入れ約10,000〜15,000円/20L樽
1杯あたり容量約350〜400ml
1杯あたり原価約150〜200円
一般的な販売価格490〜590円
原価率約25〜35%

瓶ビール(中瓶500ml)だと仕入れ280円前後。600円で販売しても原価率47%と、かなり厳しくなります。

生ビールは「看板」であって「稼ぎ頭」ではありません。1杯目はビールで迎えて、2杯目以降にサワーやハイボールへ自然に流す——これが居酒屋ドリンクの王道パターンです。

ビールサーバーの定期洗浄も忘れずに。味が落ちると「残し」や「もういらない」が増えて、結局損します。

🍋 サワー・チューハイ —— 稼ぎ頭

居酒屋の利益を実質的に支えているのがサワーです。甲類焼酎を炭酸やお茶で割るので、1杯あたりの原価が驚くほど低い。

サワーの種類1杯あたり原価販売価格目安原価率
レモンサワー30〜50円400〜490円7〜12%
ウーロンハイ35〜50円380〜450円8〜13%
緑茶ハイ35〜50円380〜450円8〜13%
グレープフルーツサワー40〜60円400〜490円9〜14%
梅干しサワー50〜70円430〜500円10〜16%

レモンサワー1杯の中身を分解してみると:

甲類焼酎 60ml:約20〜30円
炭酸水 200ml:約10〜15円
レモン果汁 10ml:約5〜10円
氷:約3〜5円
────────────────────
合計:約38〜60円

甲類焼酎は4L入り(大五郎、宝焼酎など)で約2,000円。1杯60ml使用で原価約30円です。

ここで覚えておきたいのは、「当店特製〇〇サワー」と名前を付けるだけで、原価はほぼ変わらないのに販売価格を上げられるということ。レモンにはちみつを足して「自家製はちみつレモンサワー」にすれば、原価+15円で販売価格を100〜130円上げられます。

🥃 ハイボール —— もうひとつの稼ぎ頭

ここ数年、居酒屋のトレンドといえばハイボール。原価率はサワーに次いで低く、「何杯でもいける」イメージで杯数を稼ぎやすいカテゴリーです。

ハイボールの種類1杯あたり原価販売価格目安原価率
角ハイボール50〜70円400〜490円11〜17%
ジムビームハイボール60〜80円430〜520円12〜18%
知多ハイボール80〜120円500〜600円14〜22%
メーカーズマークハイボール100〜140円550〜650円16〜24%

角瓶(サントリー角)は業務用4Lで約6,000円。1杯30ml使用で原価約45円。プレミアムウイスキーに変えると原価は上がりますが、販売価格も上げやすいので利益「額」はそこまで変わりません。

🍶 日本酒 —— 原価率が最も高い「こだわり枠」

日本酒は銘柄による価格差が大きく、原価管理が一番難しいカテゴリーです。

ランク仕入れ価格(一升瓶)一合あたり原価販売価格目安(一合)原価率
普通酒800〜1,200円80〜120円400〜500円20〜25%
本醸造1,200〜2,000円120〜200円500〜600円24〜33%
純米酒1,500〜2,500円150〜250円550〜700円27〜36%
純米吟醸2,000〜3,500円200〜350円650〜900円28〜42%
純米大吟醸3,000〜6,000円300〜600円800〜1,500円30〜50%

獺祭(純米大吟醸)だと一合あたり原価が400〜500円。800〜1,000円で販売しても原価率40〜50%です。

日本酒の原価を下げるコツは3つあります。

1. 地元の蔵元から直接仕入れる 中間マージンを10〜15%カットできます。地酒をアピールポイントにもできて一石二鳥。

2. グラス売り(90ml)を増やす 一合(180ml)ずつ出すより回転が速く、1杯あたりの原価も下げやすい。

3. 飲み比べセット 3種×90ml=900〜1,200円。原価の低い銘柄と高い銘柄を組み合わせれば、平均原価率をコントロールできます。SNS映えするので集客効果もあります。

🫗 焼酎 —— 甲類と本格焼酎で役割が違う

焼酎の種類仕入れ価格目安1杯あたり原価販売価格目安原価率
甲類(割り材用)2,000円/4L20〜30円サワーで400〜490円5〜8%
本格芋焼酎1,500〜3,000円/一升80〜170円400〜600円16〜33%
本格麦焼酎1,200〜2,500円/一升70〜140円400〜550円16〜28%
黒糖焼酎1,500〜2,500円/一升80〜140円450〜600円16〜28%
プレミアム焼酎5,000〜15,000円/一升280〜830円800〜1,500円30〜60%

甲類焼酎はサワーの「裏方」。サワーの原価が安いのは、この甲類焼酎のおかげです。

本格焼酎はロック・水割り・お湯割りで出すので、割り材コストがほぼゼロ。原価は高めですが、割り材分のコストがかからないのがポイントです。

森伊蔵・魔王といったプレミアム焼酎は原価率だけ見ると厳しいですが、「うちは置いてる」というだけで集客装置になります。

🍸 カクテル —— 見た目の割に原価が低い

カクテル1杯あたり原価販売価格目安原価率
ジントニック50〜80円480〜580円10〜16%
カシスオレンジ40〜70円450〜550円8〜14%
モスコミュール50〜80円480〜580円10〜16%
カルーアミルク50〜80円480〜580円10〜16%
梅酒ソーダ60〜90円450〜550円12〜18%

全体を見渡して「どこで稼ぐか」を決める

原価率を低い順に並べると、利益戦略の全体像が見えてきます。

ドリンク種別原価率の目安1杯あたり原価利益への貢献
ソフトドリンク5〜10%10〜20円★★★★★
焼酎(甲類割り)5〜8%20〜30円★★★★★
サワー・チューハイ7〜15%30〜60円★★★★★
カクテル8〜18%40〜80円★★★★☆
ハイボール10〜22%50〜140円★★★★☆
本格焼酎16〜33%80〜170円★★★☆☆
生ビール25〜35%150〜200円★★☆☆☆
日本酒20〜50%80〜600円★★☆☆☆
ワイン(グラス)25〜40%150〜300円★★☆☆☆

ただし、大事なのは「原価率」だけではありません。**「利益額 × 出数」**で考えてください。

生ビールは原価率が高くても、1時間に100杯出る店なら十分な利益額を生みます。逆に、原価率が低いカクテルでも1日5杯しか出なければ大した額にはなりません。


FD比率——フードとドリンクのバランスが利益を決める

FD比率は、全売上に占めるフードとドリンクの比率のことです。

FD比率想定全体原価率コメント
フード7:ドリンク328〜32%ドリンクが弱い。利益改善の余地あり
フード6:ドリンク425〜29%理想的。繁盛店に多い比率
フード5:ドリンク523〜27%バー寄り。ドリンクが強い店

なぜドリンク比率を上げると全体の原価率が下がるかというと、フードの原価率(30〜40%)に比べてドリンクの原価率(20〜25%)が低いからです。つまり、ドリンクが1杯多く出るたびに、全体の利益率が少しずつ上がるという構造です。

ドリンク比率を上げる5つの方法

  1. 乾杯ドリンクの即時提供 — 着席30秒以内にオーダーを取る体制をつくる
  2. 空グラスの即時回収 — グラスが空いたら「お次何にしますか?」と声をかける
  3. 飲み放題プランの導入 — 1杯あたりの単価は下がるが、杯数と客単価は上がる
  4. ドリンクペアリングの提案 — 「この刺身には○○の日本酒が合いますよ」の一言
  5. 季節限定ドリンク — 「限定」は注文率を上げる効果があります。秋は「ひやおろし」、夏は「冷やし甘酒サワー」など

飲み放題の原価設計——赤字にしないための考え方

飲み放題は集客の柱ですが、設計を間違えると利益を食いつぶします。

基本の計算

客1人あたり原価 = 平均杯数 × 1杯あたりの平均原価
原価率 = 客1人あたり原価 ÷ 飲み放題の価格 × 100

2時間飲み放題1,500円の例

一般的に、2時間コースで客1人あたりの平均は5〜7杯です。

ドリンク杯数1杯原価小計
生ビール2杯150円300円
サワー3杯40円120円
ソフトドリンク1杯15円15円
合計6杯435円
原価率29%

29%は飲み放題として適正範囲です。多くの飲み放題は原価率20〜30%に収まります。

利益を守るポイント

実は、飲み放題ではお客さんの行動パターンが味方してくれます。最初の1〜2杯はビールでも、3杯目以降はサワーやハイボールに移る人が多い。つまり、後半になるほど原価が下がるんです。

そのほかに気をつけたいのは:

  • オリジナルサワーを充実させる — 原価30〜50円で「当店限定」の付加価値をつけられる
  • 高原価品は飲み放題から外す — プレミアム日本酒やワインは別料金に
  • 時間制限を厳守する — 延長はプラス500円など、ルールを明確にしておく

3段階プランで客単価をコントロール

プラン価格(税抜)内容想定原価率
ライト1,000円サワー・ハイボール・ソフトドリンク15〜20%
スタンダード1,500円+生ビール・カクテル・梅酒22〜28%
プレミアム2,000円+日本酒・焼酎・ワイン25〜32%

ライトプランがあると「飲み放題は高い」と思っていた層も取り込めます。逆に、プレミアムがあることで「せっかくだからプレミアムにしよう」という心理も働きます。


利益を改善する7つの実務

1. 2杯目の誘導を仕組みにする

ビール(原価25〜35%)からサワー・ハイボール(原価10〜20%)への切り替えで、2杯目以降の利益率が大きく変わります。

  • メニューの目立つ位置にサワー・ハイボールを配置する
  • 「おすすめ」「当店人気No.1」のPOPをつける
  • スタッフが「2杯目はハイボールいかがですか?」と声がけする

2. オリジナルドリンクで価格競争から抜け出す

「レモンサワー400円」だとチェーン店と比較されます。でも「自家製はちみつレモンサワー530円」なら、比較対象がなくなります。

ドリンク原価販売価格原価率
普通のレモンサワー40円400円10%
自家製はちみつレモンサワー55円530円10.4%

原価の差は15円。売価の差は130円。この差が、月間で見るとかなりの金額になります。

3. 日本酒は「飲み比べセット」で出す

3種×90ml(合計270ml ≒ 1.5合)を900〜1,200円で提供。

  • 一合ずつ頼まれるより回転が速い
  • 原価の低い銘柄を混ぜて平均原価率をコントロールできる
  • 見た目が良いのでSNSにも載りやすい

4. 季節メニューで注文率を上げる

「限定」という言葉には、注文率を20〜30%上げる効果があるとされています。

季節ドリンク例原価目安
桜リキュールのサワー45〜60円
冷やしすだちハイボール50〜70円
ひやおろし日本酒(グラス)100〜200円
自家製ゆず酒のお湯割り50〜70円

5. ソフトドリンクも手を抜かない

ソフトドリンクの原価率は5〜10%で、利益率は最も高いカテゴリー。ドライバーや飲めない方のためだけでなく、全体の原価率を下げる大事な存在です。

6. 注ぎ方と分量を統一する

「ちょっと多め」が積み重なると、月単位で数万円のロスになります。

  • 焼酎・ウイスキーはジガーカップで計量
  • 生ビールの泡比率は液体7:泡3で統一
  • サワーの焼酎は60mlを基準として全スタッフに共有

7. 仕入れ価格を毎月チェックする

2025〜2026年は、仕入れ値が上がり続ける環境です。

  • 2025年4月 — ビール大手4社が5〜8%値上げ、800品目以上が対象
  • 円安 — 輸入ウイスキー・ワインの仕入れ価格に直撃
  • 物流費 — 輸送コストの上昇が仕入れ全体に影響
  • 2026年10月 — 酒税改正でビール・発泡酒・新ジャンルの税率が統一

月1回は仕入れ価格をチェックして、四半期ごとにメニュー価格を見直しましょう。「気づいたら原価率が5%上がっていた」は、よくある話です。


原価管理、手作業でやっていませんか?

ドリンクメニューが20種類以上あると、手作業での原価管理は現実的ではありません。仕入れ値が変わるたびにExcelを開いて、全メニューの原価率を計算し直す——正直、面倒ですよね。

KitchenCostを使えば、焼酎やウイスキーなどの仕入れ価格を一度登録するだけで、1杯ごとの原価と原価率が自動計算されます。仕入れ値が変わったら、関連するすべてのドリンクの原価が即時更新。フードメニューと合わせた全体の原価管理もできます。


今すぐやること

  • 主要ドリンク10種類の1杯あたり原価を計算する
  • FD比率(フード対ドリンクの売上比率)を確認する
  • 2杯目誘導のためのサワー・ハイボールのPOPを作成する
  • 飲み放題プランの原価率を再計算する
  • 仕入れ価格の最終確認日を確認する(1ヶ月以上前なら、今日チェック)

参考資料


関連ガイド:

よくある質問

居酒屋のドリンク原価率はどのくらいが適正ですか?

ドリンク全体で20〜25%が目安です。ただし、生ビール(25〜35%)やプレミアム日本酒(40〜50%)は高めなので、サワー(7〜15%)やハイボール(11〜20%)で帳尻を合わせる構成が基本です。2025年4月のビール大手4社の値上げ(5〜8%)で仕入れ値が上がっているため、月1回は仕入れ価格を確認しましょう。

飲み放題の原価率はどう計算すればいいですか?

「平均杯数 × 1杯あたりの平均原価 ÷ 飲み放題価格」で算出します。2時間コースの場合、客1人あたり平均5〜7杯で、ビール2杯+サワー3杯+ソフトドリンク1杯の構成なら原価は約435円。1,500円プランなら原価率29%で適正範囲です。

ドリンクの価格を上げたいが、客離れが心配です

一度に100円上げるより、まずオリジナルドリンク(自家製レモンサワーなど)を追加して選択肢を増やす方法が安全です。原価はほぼ変わらず販売価格を100〜130円上げられます。既存メニューの値上げは30〜50円ずつ段階的に行い、1週間の売上と客数を見て判断しましょう。

2026年の酒税改正は居酒屋にどう影響しますか?

2026年10月にビール系飲料の酒税が統一されます。ビールは税率が下がるため仕入れ値が若干下がる一方、発泡酒や新ジャンルは税率が上がります。居酒屋では生ビールが主力なので、仕入れ値の変動は限定的ですが、メニュー価格を見直す良いタイミングです。

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