「うちのハンバーグ、牛7割にしたら味が良くなった。売れるようになった」
それは嬉しい。でも月末に原価を計算してみてほしい。
牛5:豚5の合挽きで180g約170円だったパティが、牛7:豚3にした瞬間に約215円になっている。1食45円のコスト増。 1日30食なら月40,500円、年間で48万円以上の差だ。
売値を上げずに牛の比率だけ上げたら、利益が消えるのは当然の話。ハンバーグ専門店の原価管理は、肉の配合比率を固定することから始まる。
先に結論
- 原価は肉の配合比率で100円以上変わる。 牛5:豚5→牛10割で170円→270円
- 焼き縮みで15〜25%の重量が減る。 実質原価は仕込み原価の1.2〜1.3倍
- ソース量を固定しないと原価が崩れる。 デミグラスは1食40〜60円かかることも
- セット価格は副菜まで合算して考える。 ライス+サラダで原価率が2〜3ポイント下がる
- 牛肉の仕入れ価格は季節で動く。 年末年始は高騰しやすい
ハンバーグの歩留まり
ハンバーグは焼くと縮む。この「焼き縮み」を計算に入れないと、利益の見積もりが狂う。
歩留まり = 焼成後重量 ÷ 成形前重量
焼き縮みの目安
| 肉の脂肪量 | 歩留まり | 180gパティの焼き上がり |
|---|---|---|
| 赤身多め(脂肪15%以下) | 85〜90% | 153〜162g |
| 標準(脂肪20%前後) | 80〜85% | 144〜153g |
| 脂多め(脂肪25%以上) | 75〜80% | 135〜144g |
脂が多いほうがジューシーで美味しいけれど、焼き縮みが大きい。仕入れ原価170円の肉が、焼き上がりでは実質200円以上になっていることを意識する必要がある。
合挽き比率と原価の関係
| 配合 | 180gあたりの肉原価 | 味の特徴 |
|---|---|---|
| 牛5:豚5 | 約170円 | バランス型。コスパ重視の定番 |
| 牛6:豚4 | 約195円 | やや牛寄り。多くの専門店の選択肢 |
| 牛7:豚3 | 約215円 | 牛の旨味が強い。高単価店向け |
| 牛10割 | 約270円 | 高級路線。売値2,000円以上が必要 |
※ 牛挽き100gあたり150円、豚挽き100gあたり100円で計算。
牛5:豚5から牛7:豚3に変えるだけで、1食45円のコスト増。 1日30食×25日で月33,750円、年間40万円以上の差になる。
配合を変えるなら、売値も一緒に見直す。配合だけ変えて売値を据え置くのはいちばん危険なパターンだ。
ハンバーグ定食1食の原価を分解する
例:180gハンバーグ定食(税抜1,100円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 合挽き肉(牛6:豚4) | 180g | 195円 |
| 玉ねぎ(炒め) | 30g | 8円 |
| パン粉・卵・牛乳(つなぎ) | 1食分 | 27円 |
| デミグラスソース | 50ml | 45円 |
| 付け合わせ(ポテト・人参・ブロッコリー) | 1食分 | 35円 |
| ライス | 200g | 45円 |
| サラダ | 1食分 | 40円 |
| 味噌汁 | 1杯 | 25円 |
| 合計 | 420円 |
原価率:420 ÷ 1,100 = 38.2%
これは少し高い。原価率35%以内に収めるなら、売価を1,200円に上げるか、ソースと付け合わせのコストを抑える必要がある。
原価率35%で逆算した売価
420 ÷ 0.35 = 1,200円
売価1,200円なら原価率35%。 ハンバーグ専門店としてはぎりぎり許容範囲だ。
ソースの原価管理
ソースはハンバーグの味を決める要素だけど、原価管理を怠ると大きなブレが出る。
ソース別の原価比較
| ソース | 1食あたりの原価 | 特徴 |
|---|---|---|
| デミグラスソース(市販ベース) | 30〜45円 | 安定した味。アレンジで差別化可能 |
| デミグラスソース(自家製) | 40〜60円 | 手間はかかるが味で差別化。廃棄ロスに注意 |
| 和風ソース(大根おろし+ポン酢) | 15〜25円 | 低コスト。ヘルシー志向に人気 |
| チーズソース | 35〜50円 | 高コストだが追加料金を取りやすい |
| トマトソース | 20〜30円 | コスパ良好。パスタにも転用可能 |
デミグラスソースは「たっぷり」かけると1食60円以上になる。 レードル(50ml)で「すりきり1杯」と決めるだけで、月に5,000〜8,000円の差が出る。
和風ソースは原価が半分以下。メニューに「和風おろしハンバーグ」を加えると、全体の原価率を下げるバランサーになる。
サイズ別の価格設計
| サイズ | 肉量 | 肉原価(牛6:豚4) | 総原価 | 推奨売価 | 原価率 |
|---|---|---|---|---|---|
| レギュラー | 150g | 163円 | 370円 | 1,050円 | 35.2% |
| 標準 | 180g | 195円 | 420円 | 1,200円 | 35.0% |
| 大 | 250g | 271円 | 530円 | 1,500円 | 35.3% |
| 特大 | 300g | 325円 | 600円 | 1,700円 | 35.3% |
サイズが大きくなっても原価率はほぼ同じ。でも粗利額はサイズが大きいほうが多い。
- レギュラー:粗利680円
- 特大:粗利1,100円
特大を選んでもらえれば、1食あたりの粗利が420円も多い。 メニュー表で「おすすめ」にする価値がある。
月次の利益シミュレーション
前提
- 営業日数:25日
- 1日の平均食数:30食
- 平均客単価:1,250円(セット込み)
月間売上 = 30食 × 1,250円 × 25日 = 937,500円
原価率35%の場合(管理が良い店):
原価 = 328,125円
粗利 = 609,375円
原価率42%の場合(配合ブレ・ソース多め・焼き縮み大):
原価 = 393,750円
粗利 = 543,750円
差額 = 65,625円/月 = 年間787,500円
原価率7ポイントの差が、年間79万円の利益差になる。
今週やること
- 合挽き肉の配合比率を固定して、仕入れ先に伝える
- 焼成前と焼成後の重量を3日間測って、自店の歩留まりを出す
- ソースの使用量をレードルで固定する
- セット価格の原価率を副菜込みで計算する
- サイズ別の粗利額を比較して、メニュー表の見せ方を調整する
関連ガイド
合挽きの配合とソースを登録すれば、ハンバーグ1食の原価が自動で出ます。牛の比率を変えたらすぐに原価率への影響がわかる。KitchenCost を使ってみてください。