Instagramで見かけた断面がきれいなフルーツサンド。「これなら売れそう」と思って始める人が増えている。
実際、フルーツサンドの市場は伸びている。テイクアウト中心で客席がいらない、1人でも回せる、SNSで拡散されやすい。参入しやすい業態に見える。
でも原価を計算してみると、いちごを4粒入れた時点で原価が200円を超える。クリームを50g絞って、食パンを2枚使って、透明フィルムで包む。1個の原価が350〜400円になるのに、売値は500〜600円——。
「映え」を維持しながら利益を出すには、フルーツの歩留まり管理と季節ごとの価格設計が欠かせない。
先に結論
- フルーツサンドの原価の60〜70%はフルーツ。 可食部(皮・芯・傷みを除いた重量)で計算する
- クリームは「目分量」を禁止。 10g増えるだけで原価が7〜8円変わる
- いちごの価格は季節で2倍以上変動する。 季節別の価格設定が必須
- 包材は1個30〜50円。 テイクアウト前提の業態なので必ず原価に入れる
いちごサンドの原価を分解する
いちごサンド1個(税抜500円)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| いちご(4粒・60g) | 120〜200円 |
| 生クリーム(50g) | 40円 |
| 食パン(8枚切り2枚) | 30円 |
| 砂糖 | 3円 |
| 透明フィルム | 15円 |
| シール・タグ | 5円 |
| 紙袋 | 10円 |
| 合計 | 223〜303円 |
いちごが安い4月(1パック400円台)なら原価率44%、高い12月(1パック1,000円超)なら原価率60%に達する。
同じレシピなのに、季節だけで原価率が16ポイントも変わる。 これがフルーツサンドの怖さだ。
フルーツの歩留まり——「買った量」と「使える量」は違う
フルーツは皮・芯・ヘタ・傷みなどのロスが出る。仕入れ価格ではなく可食部の原価で計算する必要がある。
主なフルーツの歩留まり
| フルーツ | 可食部率 | 1個あたり可食部 | 仕入れ目安 |
|---|---|---|---|
| いちご | 90〜95% | 12〜15g/粒 | 30〜80円/粒 |
| キウイ | 80〜85% | 70〜80g/個 | 50〜80円/個 |
| マンゴー | 60〜65% | 180〜200g/個 | 500〜800円/個 |
| バナナ | 65〜70% | 80〜100g/本 | 15〜25円/本 |
| みかん | 70〜75% | 60〜80g/個 | 20〜40円/個 |
| シャインマスカット | 95% | 8〜10g/粒 | 60〜100円/粒 |
マンゴーは可食部率が60%しかない。500円で仕入れても、使えるのは300円分の重さしかない計算だ。
シャインマスカットは1粒60〜100円。3粒入れるだけで原価に180〜300円が乗る。「高級フルーツ」をメニューに入れるなら、売価もそれに合わせないと赤字になる。
クリーム量の「気前よさ」が利益を食う
クリームはフルーツの次に原価に効く材料だ。
クリーム量と原価
| クリーム量 | 原価 |
|---|---|
| 40g | 32円 |
| 50g | 40円 |
| 60g | 48円 |
| 80g | 64円 |
40gと80gで32円の差。1日30個売れる店なら:
32円 × 30個 × 25日 = 24,000円/月
「たっぷりクリーム」を売りにするなら価格に反映する。標準メニューなら絞り袋の回数で固定するのが一番確実だ。
季節ごとの価格戦略
フルーツサンドは季節で原価が大きく変わる。同じ価格で通年販売するのは危険だ。
季節別おすすめフルーツと原価帯
| 季節 | 主力フルーツ | 1個あたりフルーツ原価 | 推奨売価帯 |
|---|---|---|---|
| 春(3〜5月) | いちご(安値期)、キウイ | 80〜130円 | 450〜550円 |
| 夏(6〜8月) | マンゴー、桃、メロン | 150〜250円 | 600〜800円 |
| 秋(9〜11月) | シャインマスカット、柿、いちじく | 120〜200円 | 550〜700円 |
| 冬(12〜2月) | いちご(高値期)、みかん | 120〜200円 | 550〜650円 |
夏と秋は高単価フルーツが主力になるため、「プレミアムライン」として価格を上げるのが自然。「季節限定」の表記があれば、お客さんも高くて当然と受け止める。
逆に春のいちご安値期は回転率で稼ぐチャンス。価格を下げるか、サイズアップして満足度を上げる。
包材は「見た目の投資」——でも原価には入れる
フルーツサンドはテイクアウトが前提。断面を見せるための透明フィルム、ブランドシール、紙袋。これらは「見た目への投資」だが、原価には必ず含める。
| 包材 | 1個あたり |
|---|---|
| 透明フィルム | 10〜20円 |
| ブランドシール | 3〜8円 |
| 紙袋(小) | 8〜15円 |
| 保冷材(夏) | 5〜10円 |
| 合計 | 26〜53円 |
1個あたり30〜50円。月1,000個売れる店なら包材だけで月3〜5万円。
今週やること
- いちごサンド1個の原価を分解する(フルーツ・クリーム・パン・包材)
- フルーツの可食部率を実測する(買った重量 vs. 使った重量)
- クリームの使用量を「絞り袋○回」で固定する
- 今月と来月のフルーツ仕入れ価格を比較して、価格改定が必要か判断する
- 包材コストを1個あたりで計算し、原価に加える
フルーツサンドは「映え」で売れる。でも「映え」のコストを数字にしないと、忙しいのにお金が残らない状態になる。まずはいちごサンド1個の原価を出してみてほしい。
フルーツサンドの原価をレシピ単位で管理するなら。フルーツの仕入れ値を更新するだけで、季節ごとの原価率がリアルタイムでわかります。KitchenCost を使ってみてください。