要点まとめ
- イートインメニューをそのまま配達すると手数料分だけ損失が発生する
- デリバリー専用メニューは原価率25〜30%以下で設計する
- 30分後に食べても美味しくなければリピートは生まれない
- セットメニューで客単価アップ、容器代の比率を下げる
デリバリー専用メニュー開発 - 利益が残るメニュー設計
「100件配達したのに、なぜ利益が残らない?」
出前館・Uber Eatsの手数料(約35%)、容器代(100〜300円)、決済手数料…イートインで販売するよりも利益率が大幅に下がるケースが多いです。
この構造で利益を出すには、最初からデリバリーコストを反映して設計したメニューが必要です。
イートインメニュー vs デリバリー専用メニュー
| 項目 | イートインメニュー | デリバリー専用メニュー |
|---|---|---|
| 味の基準 | できたての味 | 30分後でも美味しい味 |
| 原価計算 | 材料費中心 | 材料費+容器代+手数料 |
| 調理設計 | 注文後調理 | 事前仕込み+素早い仕上げ |
| 価格設定 | 店内価格 | デリバリーコスト反映価格 |
店内メニューをそのまま容器に入れて配達すると、手数料分だけ損失が発生します。
デリバリーで利益が出るメニューの3条件
1. 原価率を低く設計
イートイン原価率: 30〜35%
デリバリー原価率: 25〜30%以下推奨
手数料(約35%)と容器代が追加で発生するため、同じ利益を確保するには材料費比率を下げる必要があります。
2. 時間が経っても品質維持
配達平均所要時間: 約30分
この間に、しんなりする揚げ物、伸びてしまう麺、冷めると固まるソースは、レビュー評価を下げます。30分後に食べても美味しくなければリピートは生まれません。
3. 調理がシンプル
ピーク時に注文が集中すると、複雑なメニューはボトルネックになります。調理工程が少なく、事前準備が可能なメニューがオペレーションに有利です。
原価率を下げる設計方法
方法1: 主材料の比率調整
高価な材料の比率を減らし、安価な材料でボリュームを補います。
変更前
ステーキ丼
- ステーキ 200g(800円)
- ご飯、野菜、ソース(200円)
- 原価: 1,000円 / 販売価格: 2,200円
- 原価率: 45%
変更後
ステーキキューブ丼
- ステーキ 150g+きのこ・玉ねぎ炒め(650円)
- ご飯、野菜、ソース(200円)
- 原価: 850円 / 販売価格: 2,200円
- 原価率: 39%
方法2: 高原価材料はトッピングに
メイン料理に高価な材料を入れると原価が上がります。トッピング選択オプションに分けると:
- 基本メニューの原価が下がる
- トッピング追加のお客様 → 客単価アップ
- 選択権はお客様に
❌ エビ丼(エビ 150g) → 原価高い
✅ 丼+エビトッピング選択(エビ 80g) → 原価調整可能
方法3: 半製品の活用
手作りより半製品の方が安くて品質も安定する場合があります。
| 項目 | 自家製 | 半製品 |
|---|---|---|
| 冷凍コロッケ | 1個 100円 | 1個 60円 |
| とんかつ | 1枚 450円 | 1枚 280円 |
| パスタソース | 1人前 150円 | 1人前 80円 |
デリバリーでは安定した味+早い調理+低い原価が手作りより重要な場合が多いです。
30分後も品質が維持されるメニュー
デリバリーに不向きなメニュー
| メニュータイプ | 問題点 | 代替案 |
|---|---|---|
| サクサク揚げ物 | しんなりする | タレ系、ソース揚げ |
| ラーメン | 麺が伸びる | つけ麺、まぜそば |
| サラダ | 野菜がしなびる | ドレッシング別容器 |
デリバリーに向いているメニュー
丼もの
- ソースが染み込んで時間が経っても味を維持
- ご飯が温度維持の役割
- 例: 牛丼、カレー、麻婆丼
別容器セット
- 麺とスープ/ソースを分けて包装
- 食べる直前に合わせる
- 例: つけ麺、冷やし中華
焼き物
- 冷めても電子レンジで復元可能
- 例: 焼肉、焼き鳥
タレ系チキン
- ソースコーティングでサクサクではなくしっとり系
- 冷めても味を維持
- 例: ヤンニョムチキン、甘辛チキン
客単価を上げるセット構成
デリバリー手数料は割合(%)、容器代は定額です。
1,500円注文 → 容器代 200円 = 13%
3,000円注文 → 容器代 200円 = 6.7%
注文金額が高いほど容器代の比率が下がります。
セットメニューの効果
| 構成 | 価格 | 原価 | 粗利 |
|---|---|---|---|
| 丼単品 | 1,200円 | 420円 | 780円 |
| 丼+ドリンク | 1,400円 | 470円 | 930円 |
| 丼+ドリンク+サイド | 1,800円 | 550円 | 1,250円 |
200円追加で売っても粗利が150円増えます。
セット構成のコツ
-
ドリンクは高粗利
- 原価50円のドリンクを200円で販売 → 粗利率75%
-
サイドは低原価で
- 漬物、味噌汁、サラダ、卵
-
お得感の演出
単品合計: 1,600円 セット価格: 1,400円 → 「セット注文で200円お得!」
2025〜2026年デリバリーメニュートレンド
ワンボウル健康食の成長
日本でも「一皿完結」メニューが急成長中です。丼もの、ボウル系、カレーなど、手軽に栄養バランスが取れるメニューへの需要が高まっています。
背景:
- 単身世帯の増加
- 洗い物の手間削減
- 健康意識の高まり
メニュー例:
- チキンサラダボウル
- プロテイン丼
- タコライス
カロリー・タンパク質表記
健康を意識するお客様が増え、栄養情報への関心が高まっています。
適用方法:
- メニュー名に健康キーワード: 「高タンパク鶏胸肉丼」
- カロリー表記: 「このメニューは約450kcalです」
容器の簡素化
一人暮らしはゴミ処理が大変です。
❌ 容器5個、ビニール3個、ソース4個
✅ 容器2個でスッキリ
容器を減らせば、コスト削減+エコイメージ+顧客満足度アップにつながります。
デリバリー専用メニューチェックリスト
原価チェック
- 材料費原価率 30%以下か?
- 容器代込みでも 35〜40%以下か?
- 手数料(約35%)を差し引いても利益が出るか?
品質チェック
- 30分後に食べても美味しいか?
- 容器の状態で揺れても問題ないか?
- 電子レンジで温めても美味しいか?
オペレーションチェック
- 15分以内に調理完了できるか?
- 事前に仕込みできる工程があるか?
- ピーク時にボトルネックなく対応できるか?
マーケティングチェック
- 写真映えするか?
- メニュー名が分かりやすく目立つか?
- 客単価を上げるセット構成があるか?
実践例: 丼専門店のメニュー再設計
Before(イートインメニューをそのまま配達)
| メニュー | 価格 | 原価 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| 牛カルビ丼 | 1,000円 | 380円 | 38% |
| チキン丼 | 900円 | 320円 | 36% |
| エビ丼 | 1,100円 | 450円 | 41% |
After(デリバリー専用に再設計)
| メニュー | 価格 | 原価 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| 牛カルビ丼 | 1,100円 | 350円 | 32% |
| チキンマヨ丼 | 1,000円 | 280円 | 28% |
| プロテイン鶏胸肉丼 | 1,000円 | 250円 | 25% |
| セット(丼+ドリンク+卵) | 1,400円 | 350円 | 25% |
変更ポイント:
- 原価率の高いエビ → 低原価の鶏胸肉に変更
- 健康キーワード追加(プロテイン)
- セットメニュー構成
- 価格 100円引き上げ(デリバリーコスト反映)
まとめ
デリバリー専用メニュー = 低い原価率 + 品質維持力 + 早い調理
- イートインメニューをそのまま配達すると手数料分損する
- 原価率 25〜30%以下で設計
- 30分後に美味しくなければリピートは生まれない
- セットメニューで客単価アップ
- 調理時間 15分以内が目標
今すぐやること
- 現在のデリバリーメニューの原価率を計算する(容器代込み)
- 30分後の品質テストを実施する
- 客単価を上げるセットメニューを設計する
- 調理時間15分以内に収まるかオペレーションを確認する
デリバリーメニューの実際の利益率を事前に計算したい方は、KitchenCostで原価シミュレーションをお試しください。
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