「コーヒー1杯の原価って50円くらいでしょ? 500円で売れば粗利450円。カフェって儲かるよね」
開業前にこう考える人は、実はかなり多い。
でも現実には、個人カフェの約7割が3年以内に閉店する。 原価率が低いはずのカフェで、なぜこれほど多くの店が消えていくのか。
先に結論
- コーヒー単品の原価率は8〜12%。でもカフェの利益率は10〜15%がやっと
- 原因は「回転率の低さ」。 カフェの滞在時間はラーメン屋の3倍
- 同じ10席でも1日の売上差は約3倍
- セットメニューとテイクアウトで客単価を上げるのが生存戦略
原価率10%の「カラクリ」
たしかに、コーヒーの材料原価率は低い。
| メニュー | 売価 | 材料原価 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| ブレンドコーヒー | 500円 | 40〜60円 | 8〜12% |
| カフェラテ | 550円 | 80〜100円 | 15〜18% |
| ケーキセット | 1,100円 | 350〜400円 | 32〜36% |
| サンドイッチ | 800円 | 250〜300円 | 31〜38% |
コーヒー単品で見れば、原価率は10%前後。
ところがここに落とし穴がある。カフェの利益を圧迫しているのは材料費ではなく、「回転率の低さ」と「固定費の重さ」だ。
カフェの本当の敵は「滞在時間」
ラーメン屋の平均滞在時間は20〜30分。牛丼チェーンなら15分。
一方、カフェは60〜90分。コーヒー1杯で1時間以上座られることも珍しくない。
同じ席数でも回転率がまるで違う。
10席のラーメン屋:1日8時間 × 回転3回 = 240杯(客単価900円で売上21.6万円)
10席のカフェ:1日8時間 × 回転1.5回 = 120杯(客単価600円で売上7.2万円)
同じ10席で1日の売上差は約3倍。
原価率がいくら低くても、席が埋まっている時間あたりの売上が低ければ、家賃・光熱費・人件費を回収できない。
月商100万円の壁
個人カフェの月商は100〜150万円が目安。月商100万円のカフェの収支を見てみよう。
| 項目 | 金額 | 割合 |
|---|---|---|
| 売上 | 100万円 | 100% |
| 材料費 | 25万円 | 25% |
| 人件費 | 30万円 | 30% |
| 家賃 | 15万円 | 15% |
| 光熱費・通信費 | 8万円 | 8% |
| その他経費 | 7万円 | 7% |
| 利益 | 15万円 | 15% |
利益15万円。ここからオーナーの生活費を出すわけで、決して楽ではない。
しかもこれは「うまくいっている場合」の数字だ。売上が月80万円に落ちると利益はほぼゼロ。
コーヒーの原価率が10%でも、カフェの利益率は10〜15%がやっとという現実を知っておくべきだ。
「客単価600円」からどう抜け出すか
コーヒー1杯で帰るお客さんが多ければ、客単価は500〜600円にとどまる。
利益を残しているカフェは、**「1人あたりいくら使ってもらうか」**を意識的に設計している。
ドリンク+αの導線を作る
「本日のケーキ」をカウンターに置くだけでセット注文率が上がる。黒板に「+200円でミニスイーツ」と書くだけでも違う。
ポイントは無理に売り込むのではなく、「目に入る位置」に置くこと。
原価率の違うメニューを組み合わせる
コーヒー(原価率10%)+ケーキ(原価率35%)のセットで1,000円。全体の原価率は約25%。
ケーキ単品の原価率は高くても、コーヒーと組み合わせることで全体の利益を底上げできる。 この「メニューミックス」は利益を出しているカフェの共通戦略だ。
テイクアウトで「席を使わない売上」を増やす
席に座られない売上は、回転率の問題を回避できる。原価率は変わらなくても固定費の負担が減る分だけ利益率が上がる。
テイクアウト比率を20〜30%に引き上げるだけで、月の利益は数万円変わるという試算もある。
今週やること
- メニュー別の粗利と提供時間を一覧にする。 「原価率は低いが滞在時間が長いメニュー」と「原価率は高いが回転が速いメニュー」が見えてくる
- セットメニューの利益率を計算する。 コーヒー+フードの組み合わせで、全体の原価率がいくらになるか確認する
- 原価を仕組みで管理する。 KitchenCostのようなアプリなら、ドリンクもフードもレシピ単位で原価を自動計算できる。仕入れ値が変わったときに「セットメニューの利益率がどう変わるか」がすぐわかるのは、日々の判断に直結する
コーヒーの原価率は、たしかに低い。でもそこだけ見て安心していると、足元をすくわれる。
大事なのは「原価率が何%か」ではなく、**「1日の営業で、いくら手元に残るか」**だ。
カフェの回転率とメニュー粗利をまとめて把握するなら。KitchenCost を使ってみてください。