「韓国料理って儲かるんでしょ?」
新大久保のトッポギ店やキンパ専門店の行列を見て、韓国料理ビジネスに興味を持つ方が増えています。
でも、実際にどれくらい利益が出るのでしょうか? 数字で検証してみましょう。
要点まとめ
- トッポギの食材原価率は**65〜75%**と高く、単品では利益が出にくい
- 客単価2,500円以上を確保しないとデリバリーは赤字
- キンパは人件費込みで原価率70%、思ったより利益が少ない
- 揚げ物と飲み物が利益を支える柱
飲食店原価率の現状(2025年)
帝国データバンクの調査によると、飲食店の96.0%が仕入れ価格の上昇に直面しています。2025年の飲食店倒産は1,002件で過去最多を記録しました。
従来「30%以下」と言われてきた飲食店の原価率は、食材価格高騰により平均36%前後まで上昇しています。韓国料理も例外ではありません。
トッポギ - 原価率 vs 実際の収益
基本トッポギの食材原価(1人前)
| 材料 | 使用量 | 単価 | 原価 |
|---|---|---|---|
| トック(餅) | 150g | 2.5円/g | 375円 |
| オデン(練り物) | 50g | 3円/g | 150円 |
| コチュジャン | 20g | 4円/g | 80円 |
| 砂糖・水飴 | 15g | 1.5円/g | 23円 |
| ネギ・キャベツ | 30g | 2.5円/g | 75円 |
| 調味料・スープ | - | - | 50円 |
| 合計 | 約750円 |
販売価格890円の場合:
食材原価率 = (750 ÷ 890) × 100 = 約84%
え、84%? これでは赤字です。
実は新大久保の食べ歩きトッポギは**集客商品(ロスリーダー)**として機能していることが多いのです。セットメニューや追加注文で利益を確保します。
専門店価格での計算
新大久保のトッポギ専門店では1人前700〜1,200円程度。1,100円で計算すると:
食材原価率 = (750 ÷ 1,100) × 100 = 約68%
まだ高いですが、2人前・3人前のシェアメニューなら:
2人前セット 1,800円の場合:
- 食材原価: 1,300円
- 原価率: 72%
トッポギ+チーズ+ラーメン追加セット 2,500円の場合:
- 食材原価: 1,600円
- 原価率: 64%
セットメニューにしないと厳しい原価構造です。
デリバリー販売の現実
1,100円のトッポギをUber Eatsで販売すると:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 販売価格 | 1,100円 |
| 食材原価 | 750円 |
| 容器・袋代 | 180円 |
| 配達手数料(35%) | 385円 |
| 決済手数料(3%) | 33円 |
| 残り | −248円(赤字) |
単品でデリバリー販売すると赤字になります。
これが韓国料理店が「最低注文金額1,500円以上」や「セットメニュー推奨」にする理由です。
客単価が生命線
例:トッポギ+揚げ物+キンパセット 2,980円
| メニュー | 食材原価 |
|---|---|
| トッポギ(2人前) | 1,300円 |
| 揚げ物5個 | 400円 |
| キンパ1本 | 350円 |
| 容器代 | 250円 |
| 合計 | 2,300円 |
店内: 2,980 - 2,300 = 680円の利益
デリバリー: 2,980 - 2,300 - 1,043 - 89 = −452円
2,980円でもデリバリーでは赤字。韓国料理のデリバリーは非常に厳しいビジネスモデルです。
揚げ物(ティギム) - 隠れた高収益メニュー
品目別原価分析
| 品目 | 食材原価 | 販売価格 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| 野菜天ぷら1個 | 60円 | 200円 | 30% |
| キムマリ(海苔巻き揚げ)1個 | 80円 | 250円 | 32% |
| さつまいも天1個 | 90円 | 280円 | 32% |
| イカ天1個 | 150円 | 400円 | 38% |
| エビ天1個 | 200円 | 450円 | 44% |
野菜中心の揚げ物は原価率30%台で比較的良好です。
油代を忘れずに
| 項目 | コスト |
|---|---|
| 揚げ油18L | 約4,500円 |
| 1日使用量 | 3〜5L |
| 揚げ物1個あたり油代 | 約25〜40円 |
実際の原価には1個あたり30円程度を加算してください。
キンパ - 手間がかかるメニュー
キンパ1本の食材原価
| 材料 | 原価 |
|---|---|
| ご飯 180g | 90円 |
| 海苔1枚 | 45円 |
| たくあん | 20円 |
| ハム | 50円 |
| 卵1/3個 | 20円 |
| ほうれん草 | 35円 |
| にんじん | 15円 |
| ごぼう | 25円 |
| ごま油・ごま | 25円 |
| 合計 | 約325円 |
販売価格600円の場合:
食材原価率 = (325 ÷ 600) × 100 = 約54%
キンパの本当の問題:人件費
キンパ1本を巻く時間:2〜3分
時給1,200円で換算すると:
- 1時間にキンパ20〜25本
- キンパ1本あたり人件費:約50〜60円
| 項目 | コスト |
|---|---|
| 食材原価 | 325円 |
| 人件費(換算) | 55円 |
| 容器代 | 40円 |
| 実質原価 | 420円 |
実質原価率 = (420 ÷ 600) × 100 = 70%
キンパは手間がかかりすぎるため、人件費を考慮すると利益が非常に少ないメニューです。
メニュー別収益性比較
| メニュー | 食材原価率 | 人件費負担 | デリバリー適性 | 総合評価 |
|---|---|---|---|---|
| トッポギ | 65〜75% | 低い | セット必須 | ⭐⭐ |
| スンデ | 55〜65% | 低い | セット必須 | ⭐⭐ |
| 揚げ物 | 30〜40% | 中程度 | 追加メニュー向き | ⭐⭐⭐ |
| キンパ | 50〜60%* | 高い | 単品可能 | ⭐ |
| ラーメン | 40〜50% | 低い | 配達不向き | ⭐⭐ |
| 丼物 | 45〜55% | 中程度 | 単品可能 | ⭐⭐ |
*人件費含まず
ポイント:日本の韓国料理店は、原価の高いトッポギを集客商品にしつつ、揚げ物と飲み物で利益を確保する構造が多いです。
収益シミュレーション例
前提条件
- 月商200万円
- デリバリー20%、テイクアウト30%、店内50%
- 平均客単価1,500円
コスト構造
| 項目 | 比率 | 金額 |
|---|---|---|
| 食材原価 | 42% | 84万円 |
| 容器・包装 | 4% | 8万円 |
| 配達手数料 | 7% | 14万円 |
| 家賃 | 10% | 20万円 |
| 人件費(オーナー除く) | 15% | 30万円 |
| 光熱費・その他 | 7% | 14万円 |
| コスト合計 | 85% | 170万円 |
| 営業利益 | 15% | 30万円 |
月商200万円で営業利益30万円。オーナー自身の労働時間を考えると、時給換算では厳しい水準です。
韓国料理店開業前のチェックリスト
損益分岐点の計算
目標月収:40万円
必要売上 = 40万 ÷ 0.15 = 約267万円
1日売上 = 267万 ÷ 26日 = 約10.3万円
客単価1,500円 = 1日69人
1日69人を安定的に集客できるか?が重要な判断基準です。
現実的な質問
- 立地の競合:新大久保なら集客は見込めるが、家賃も高い
- 仕入れルート:トック、コチュジャンなど韓国食材を安定的に仕入れられるか
- 労働時間:開業当初は12時間以上の労働を覚悟できるか
- デリバリー依存度:手数料35%を吸収できる価格設定が可能か
今すぐやること
- 主力メニュー3品の食材原価率を計算する
- デリバリーの損益分岐点(最低注文金額)を確認する
- 揚げ物・飲み物の利益率を確認する
- セットメニューで客単価アップを設計する
関連ガイド
まとめ
- トッポギの**食材原価率は65〜75%**と高く、単品では利益が出にくい
- 客単価2,500円以上を確保しないとデリバリーは赤字
- キンパは人件費込みで原価率70%、思ったより利益が少ない
- 揚げ物と飲み物が利益を支える柱
「韓国料理は原価が安い」は日本市場では当てはまりません。仕入れ価格と為替変動も考慮して、しっかり原価計算をしてから開業を検討してください。
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